ライブ日記2004(2005年4月15日完結)

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 目 次

 はじめに

2004年春の本州ツアー

  3月24日(水)フェリー
  
3月25日(木)東京 国分寺・クラスタ
  
3月26日(金)東京 新橋・レッドペッパー(ゲスト 打田十紀夫)
  
3月27日(土)千葉 船橋・喫茶アンダンテ
  
3月28日(日)大阪 街山荘
  
3月29〜30日 お休み
  
3月31日(水)倉敷音楽舘(with masaki & kazuko)
  
4月1日(木)帰り

2004年秋〜冬の本州ツアー(写真付き)

  11月28日(日)東京 国分寺・クラスタ(with Alexei Rumiantsev & Hiromi Rumiantseva)
  
11月29日(月)東京 新橋・レッドペッパー(with AKI、Sketch)
  
11月30日(火)お休み
  
12月1日(水)横浜・ぐりふぉれ屋(with 南澤大介)
  
12月2日(木)お休み
  
12月3日(金)東京 新宿・バックインタウン(with 打田十紀夫)
  
12月4日(土)千葉 インストア・ライブ&新柏・キッチンパタータ(オープニング・アクト 清水穣)
  
12月5日(日)名古屋 インストア・ライブ& ウエスト・ダーツ・クラブ(with 川合ケン)
  
12月6日(月)お休み
  
12月7日(火)大阪 摂津市・カフェテラス讃(オープニング・アクト 井本忠信/岡本孝浩)
  
12月8日(水)広島・ OTIS!
  
12月9〜10日 お休み NEW!!
  
12月11日(土)大阪 吹田・5th-street(オープニング・アクト 伍々慧) NEW!!
  
12月12日(日)足止めによる一泊 NEW!!
  
12月13日(月)フェリー NEW!!

はじめに

 この日記は、好評を博した『ライブ日記』の2004年版です。『ライブ日記』は、自分のライブ活動の中でも特に「本州ツアー」について、懐かしくも過去の栄光(もしくは黄昏の日々?)として回顧するという目的で書かれるものです。

 一年前の出来事で、思い切り古新聞で、時期を外していて、多分大事なことをいっぱい忘れたりしていて、「日記じゃないじゃん!」とか怒られそうで申し訳ないのですが、やっと自分の過去を振り返る気にもなったし時間もできたので、どうか大目に見て下さい。興奮冷めやらないままリアルタイムで「感激した」と書くよりも、時間をおいて冷静に振り返った方がよい場合もあると思うので。

 改めて、私のライブに様々な形で関わった人たちへの感謝と敬意を込めて記します。

2005年1月23日
浜田 隆史

・2004年春の本州ツアー 3月25日〜31日

 

 1.3月24日(水)フェリー

 「春の本州ツアー」と銘打った恒例のライブ・シリーズは、今回で3回目。私は、プロギタリストとしては知名度もそれほどなくまだまだ駆け出しで、特に春のツアーは毎回きちんとペイさせるのが大変なのですが、ファンの皆さんに支えられて、いろいろと楽しみながら行っています。

 ツアー開始前に、私は大きな宿題を三つ片づけていました。一つは恒例でもある季刊の「アイヌタイムズ」の編集と校了。アイヌ語ペンクラブは、良い意味で同好会的性格の組織で、これも全くのボランティア活動なのですが、すでにこの時点で8年目。良くこんなに長く続いていると思います。
 さらに一つは、私にとって初の電子出版本『ミュージシャンのためのスットコドッコイ辞典』(2004)の執筆作業。販売はこの後の4月以降でしたが、すでにこの時点でほぼ書き終えていました。こんなメチャクチャ痛快で楽しい本を未だに買っていない人がいるのですから、世の中情けないなあ(?)。

 もう一つが、本業のギター関連で、『ライブ・ラギング2』(2004)の制作と増産(CDRアルバムのため、増産も意外と大変な作業です)。ライブ盤の第二弾は、本当はもう少し前にできるはずだったのですが、2003年後半は急遽『赤岩組曲』の制作に没頭する流れだったため、ライブ盤はこの時期にやっと完了したのです。なんだか、ツアーのたびに無理やり新しいアルバムを作っているように見られるかも知れませんが、作りたいものは仕方なし。友人たちとの共演を含んだ楽しいライブ盤になり、前作に負けず劣らず私は大好きなのです。

 さて、そのツアーの最初は、久しぶりにフェリーで新潟、バスで池袋までという道のり。フェリーは大好きですが、これまでは時間がなくて飛行機にしてしまうことが多かったので、ここではリッチな気分を楽しみながら旅をしました。そう、私の感覚では、フェリーは決して貧乏学生の移動手段ではなく、もはやリッチな船旅なのです。
 コンビニ弁当買い込みましたが。

 

 2.3月25日(木)東京 国分寺・クラスタ

 東京ライブの時にはいつも会場に行く前にTABに寄っています。打田さんの顔を見るだけで、なんだか和んでしまいます。旅の疲れをしばし癒したところで、いつもお世話になっているクラスタでのツアー初日。久しぶりに共演者無しの完全ソロでやりました。というか、今回のツアーは準備期間が短くて、なかなか共演の方とスケジュール調整できなかったというのが本当のところでした。もちろんソロは望む所なのですが、せっかく私にはギタリストの友人が多いので、そういう機会もたびたび設けて、みんなで楽しくやりたいとも思うのです。

 冬の間に書いたりアレンジした曲から、おなじみのラグタイムまで、ライブではおなじみの「上半身スイング」を織り交ぜながら(?)演奏した様子が、クラスタのホームページの写真で閲覧できますので、興味のある方はご覧下さい。

http://www.classta.com/photo0403.htm

 私が春や秋にツアーをするとき、クラスタには必ずライブを入れてきました。私にとってはすでに、なくてはならないホームグラウンドのようなお店になっています。これからも、スケジュールさえ合えば、ぜひよろしくお願いします。

 

 3.3月26日(金)東京 新橋・レッドペッパー(ゲスト 打田十紀夫)

 前日共演した、Alexei さんたちとの繋がりから、この時初めて新橋のレッドペッパーでやらせていただきました。このジャズ・バーは、新橋のとあるビルの地下にある、とても不思議な空間。縦長の店内、くつろげるソファとテーブル、ステージ、そしてこだわりの店長。我が故郷・小樽にも、昔はそれぞれに独特の雰囲気を持つジャズ喫茶やバーがあり、私は懐かしさと同時に居心地の良さを感じました。
 こんな素敵なお店が、東京のほぼど真ん中にあるなんて、さすがは日本の首都。

http://www31.ocn.ne.jp/~redpepper/index.html

 この日のライブには、あの打田さんにゲスト出演をお願いして、久しぶりに共演が実現。私も負けじとラグタイムで応戦。特にストンプにいつも以上の力が入りました。亀工房のギタリスト・前澤君も、ちょうど空き日程のため見に来てくれたので、余計に燃えました。
 打田さんの演奏はますます洗練されていて、まさにプロの業を感じました。ライブ終了後、落語にも造詣の深い店長が、打田さんのステージングに落語との共通点をかいま見たようでした!
 ともかく、これからもぜひお世話になりたい、愛すべきお店です。

 

 4.3月27日(土)千葉 船橋・喫茶アンダンテ

 この日は、年に一度ほどお世話になっている、紅茶のおいしい素敵な喫茶店でのソロ・ライブでした。北習志野という場所で、土地勘のない私などはいつも迷いながらたどり着いておりますが、しゃれた外観にスタインウェイのピアノ(ああ、私ピアニストだったら良かった)、バルコニーから覗く風情ある景色など、心から和める空間です。

http://www003.upp.so-net.ne.jp/andante/

 昨年は知り合いのギタリスト、一卓嗣くんとのジョイントでしたが、ここではソロ演奏ということで、以前できなかった曲などもいろいろやりました。その一くんが見に来てくれたりして、「ああ、どうせならやっぱりジョイントの方が良かったかな」とも思ったりしました。
 比較的小さい会場なのですが、意外にもどの会場よりも『ライブ・ラギング2』がたくさん売れました。もちろんスタジオ録音盤が売れるのもうれしいのですが、自分のライブを見て、さらにライブ盤まで買っていただけるというのは、ミュージシャン冥利に尽きるというもの。ライブ活動をするミュージシャンで良かったと思うのです。

 ライブが終わって時間があったため、一くんのお家におじゃまして、近所の大規模デパートなどでしばし歓談した後、またもTABへ。その後、例によって新宿発大阪行きの深夜バスに乗りました。私の場合、ツアーと深夜バスが切っても切れない関係になりつつあります。

 

 5.3月28日(日)大阪 街山荘

 朝早くに、大阪駅着。
 毎度の事ながら、さすがにグロッキー状態。コーヒーを胃に流し込んでカツを入れ、初めてのお店である街山荘へ。

 街山荘さんとのご縁は、この一年ほど前からでした。知り合いの掲示板に宣伝書き込みがあったのを私が見つけて、「いつかライブをやらせて下さいね」などと話していたところ、ちょうどこのツアーでスケジュールが合ったため、お世話になったのです。
 ちょっと早めにお店に到着。内装に丸太を使ったカナダのロッジ風のお店。実は、数年前に長野県のロッジが火災のため焼失し、現在はその再建のため日夜がんばっているというエカシさん(街山荘の店長のニックネーム)と、私はしばし語らいました。エカシというのはアイヌ語で祖父という意味で、その名の通りアイヌ文化にもとても関心の深い方。私もそういう話で人と語らうのは久しぶりで、ついつい時が経つのを忘れてしまいました。
 こういう個性的で愛すべき方との出会いが、ツアーの醍醐味でもあるのです。

 ライブでは、いつも見に来ていただいている方を中心に、リラックスした演奏が楽しめたと思います。お店の雰囲気(本来はジャズ・バー)が、ラグタイムと非常にマッチしていて、実は私が一番楽しんでいたのかも知れません。
 終演後、エカシさんやその息子さんたちと夜通し語らい、ついにお店で一泊させていただきました。
 大阪で時間のあるときは、一度は寄りたいお店です。

http://machi.icube.co.jp/ 

 

 6.3月29日〜30日 お休み

 昨日一泊させていただいた街山荘に別れを告げ、その後、大阪の安ホテルに転がり込みました。どのくらい安いかというと、もう教えたくなくなるくらい安い。天王寺動物園駅周辺なのですが、日雇い労働者のためと思われる格安ホテルの数々。この辺については2003年秋の「ライブ日記」でも触れました。

 何と最低価格で600円くらい(多分貸しベッド的なところだと思いますが)というすさまじさ。2000円代前半の価格でテレビ・冷蔵庫付きというのも信じがたい。私のいつも泊まるところは、多分この辺りでは若干高い部類に入るのですが、一階には高速インターネット端末もあり、何も言うことがない快適さです。宿泊費が出費の大きな部分を占める本州ツアーでは、ここまで安いホテルは本当にありがたいのです。大阪のツアーでは必ず一度は利用しています。

 本当の予定では、30日に倉敷・音楽舘で知り合いのPETAさんがコンサートをやるので、それを見に行くつもりだったのですが、当日はかなり激しい雨に見舞われ、さらにあまりにホテルの居心地が良くて、申し訳なかったのですがこのままヌクヌクとお休みしてしまいました。PETAさんには後に電話であやまっておきました。

 

 7.3月31日(水)倉敷音楽舘(with masaki & kazuko)

 翌日、大阪から倉敷までのバスに乗りました。バスの旅は、慣れると本当に快適で、席取りゲームのようにあわてなければいけない電車よりも好きなのです。もちろん時間は掛かりますが。実際、なかなか道路が込んでいたりして、時間がどんどん過ぎていきました。
 開場の2時間前くらいに倉敷駅について、ちょっと余裕が出たのか、今回お世話になる「倉敷音楽舘」まで歩いていこうと思い立ちました。いつもは、バスで行ったり、関係者に車で送っていただいたりと、一度も歩いていったことがなかったので、地図を頼りにして、試しにチャレンジしてみたのです。

http://ww3.tiki.ne.jp/~t-yagi/

 趣のある町並み、美観地区などを通って楽しんでいたのもつかの間、だんだん道に迷い始めた自分に気がつきました。重たい荷物とギターを背負って来た身にとっては負担が大きく、ちょっと失敗。ぐるぐる回って何とかたどり着いたら、もう開場まで時間があまりありません。音楽館で待っていたmasakiさんとの再会を喜ぶヒマもなく、あたふたとリハーサル。
 やっと落ち着いて、客席からmasakiさんの演奏を久しぶりに拝見。ここは本当にいい環境の整っているライブハウスで、そこにmasakiさんの好演も相まってぐいぐい引き込まれました。今回は奥さんのkazukoさん抜きで、ギターソロの演奏を楽しみました。
[註:2006年にmasakiさんからご指摘があり、このくだりは間違いで、実はこの日は masaki & kazuko での演奏だったようです。記憶が定かでなくて申し訳ございません。]
 私もツアー最後ということで、おそらくこのツアーで一番力の入った演奏をお届けしました。岡山のpicking garageさんの方々はじめ、お越しいただいたお客様のおかげで、何とか無事にツアーを終えることができました。

 夜は岡山まで戻り、またまた手近な安ホテルで一泊。岡山は、なぜかビジネスホテルの多いことでも知られています。このビジネスホテルは、今だから言うとかなり暗く面妖な雰囲気で、共同風呂の時間はすでに終わっていました。疲れを癒すのもそこそこに、久々にドキドキ(というかハラハラ)しながら何とか一泊しました。これもまた旅の醍醐味。

 

 8.4月1日(木)帰り

 翌日、今度は岡山から大阪までのバス。続いて、最初は大阪から新潟までの長距離バスに乗り、そこからフェリーで小樽までと考えていたのですが、よく見たら舞鶴までバスで行って、舞鶴からフェリーに乗った方が断然安上がりなのです。おまけに、行きで使えた小樽←→新潟間の往復割引が、帰りの航路が舞鶴でも使えるとのことで、迷わず路線変更。これだけで6000円以上の交通費が浮きました。
 節約の話ばかりで申し訳ありませんが、こういうことを考えながら旅をするのは、結構好きなのです。

 さてここでツアーの最後に、空き時間を使って、私としては初となる、大阪でのストリート演奏を敢行しました。といってもアンプも何も持っていなかったので、梅田周辺でもひと気の比較的少ない場所で、ほとんど練習がてらの演奏でした。道路に面していたこともあり、弾いている自分ですらあまりギターの音が聞こえない始末。案の定、通行人には全然聴いてもらえず寂しかったのですが、ただ一人立ち止まってくれた人がいたので、気分よく弾いているとCDまで買っていただきました。話を聞くと、何とTABにもよくいらっしゃる方で、私のことも知っていたのだそうです。いやあ、何という出会いでしょうか。
 ともかく、この方のおかげで、最後の最後にいい思いもできたのでした。

 この春のツアーは、私としては少々小規模なツアーになりましたが、いろいろな貴重な出会いも含めて、意義深いものでした。2005年春のツアーもよろしくお願いします。

2005年2月12日

 

 

・2004年秋〜冬の本州ツアー 11月28日〜12月11日

 2004年、秋と言うよりも初冬という本州のあちこちでライブをやりました。おかげさまで、このツアーはまたまた過去最高の盛り上がりでした。お世話になった方々、そしてお越しいただいたお客様に、改めて感謝いたします。
 このツアーは、直前に発表した二種の新作、『歌箱』『メイプル・リーフ・ラグ』(日本ラグタイムクラブのオムニバスCD)発売記念ツアーの意味合いも含まれていました。さらに、直前の26日(金)に札幌でカナダのギタリスト、ドン・ロスと亀工房のライブがあり、良い刺激を受けながらツアーに望んだのです。

 このツアーで初めて、私はデジタルカメラを持っていきました。しかし、自分が写すばかりで、逆に自分が写っている写真が少なかったので、もっと人に頼んで写してもらった方が良いなと反省しました...。

 

 1.11月28日(日)東京 国分寺・クラスタ(with Alexei & Hiromi)

 行きは景気良く飛行機で。たまたま激安チケットが取れたのです。
 交通費節約は、何と言ってもツアーの基本です。

 この日はいきなり夢のラグタイム共演! もはや首都圏ではおなじみのロシア人ピアニスト、Alexeiさんご夫妻のラグタイム・デュオとの、本格的な共演ライブ。Alexeiさんたちがいつもレギュラー出演されているレッドペッパーでなく、ここクラスタにて初共演というのも、なかなか面白い出来事だったと思います。
 私が「観客として」楽しんでしまいました。

 Alexeiさんのラグタイム・ピアノ、以前横浜のライブで拝見したときはオールド・ジャズのセットが割と多かったのですが、ここでは比較的クラシック・ラグを多く取り上げられていて、もう感激の一言でした。特にスコットの Frog Legs Rag やハンプトンの Cataract Rag はすばらしい演奏でした。裕美さんの歌もますますノリまくっていて、相変わらず素晴らしいパフォーマンスで、ラグタイムとオールドジャズの魅力を伝えてくれました。

 興味深かったのは、「Little Black Baby」などのスコット・ジョプリンの歌曲も取り上げていたことです。今の日本でこのプログラムをここまで自然に演奏できるのは、たぶんこの人たちだけでしょう。ラグタイム・ファンにはたまらない内容でした。

 Alexeiさんたちとの共演は、私にとって珍しい本格的なピアノ・ヴォーカルとの共演となりました。特に、あの「クライマックス・ラグ」をピアノとギターで弾きまくったのですが、弾いていて天に昇るような、まさにクライマックスを味わえた演奏でした。見に来れなかった人にはすみませんが、この日のライブは本当に心から楽しかったです。

http://www.classta.com/photo0411.htm

 

2.11月29日(月)東京 新橋・レッドペッパー(with AKI、Sketch)


[写真1:Sketchさん]
 続きまして、満を持して敢行された「三人の変態Vol.2」ライブ。「Vol.1」は、2003年の春、今は無き海老名のライブハウス「シュガー」で行われたのですが、私が風邪をひいていろいろ難儀した、という話はすでに以前の「ライブ日記」で述べました。あの時のリベンジを期して、再び三人の変態がここに集結しました。

 Sketch さんは2004年6月に、小樽と札幌で私とジョイント・ライブを行いました。一方のAKIさんも8月に私とジョイント・ライブをしていて、2004年の我々はあちこちでジョイントしていたのです。
 トップの Sketch さんは三人衆の中で一番の常識人(?)。タコマのギターで、ポピュラリティー溢れる選曲とチェット・アトキンス的な心憎い演奏。お客さんの喝采を浴びていました。

 続いてのAKIさんは、今回特にはじけた演奏で、エモーショナルなプレイの数々を堪能しました。この日最も変態の名にふさわしかったのは、間違いなくAKIさんだったと思います。
 私も負けじと応戦。今回はトリをつとめさせていただいたこともあり、マタンプシ(アイヌの鉢巻き)を締めてはりきりました。
 この楽しいライブシリーズ「三人の変態」、また機会がありましたら是非ご覧いただきたいと思います。


[写真2:AKIさん]

[写真3:浜田 隆史]

[写真4:三大ギタリスト、歴史的共演!]

[写真5]:
「一番の変態はAKIさんです!」
「えっ? そうかな?」

 

3.11月30日(火)お休み

 今回のツアーは、休みが結構あるという点で余裕がありました。ただ、休みが多いというのはすなわち泊まりが多いと言うことで、どこかにお世話になるか、自分で宿を取らねばなりません。あまり知り合いのお家にご厄介になるのも気が引けるので、長いミュージシャン生活を見越して(?)、この日は噂の安宿を取りました。東京のいわゆる「山谷」(地下鉄南千住駅の界隈)にある安宿街をネットで目星をつけておいたのです。この辺りはお金のない外国人向けのお店もあるらしく、2002年のサッカーワールドカップの時には諸国のサポーターであふれかえっていたそうです。

 途中、カワセ楽器によってから行こうと思ったら、4日お世話になる「闘うオヤジ」山下さんが偶然いらっしゃったのでビックリ。山下さんは山谷の地理に詳しく、ついでもあるとのことだったので、一緒に行きました。大阪でこの手の安宿は慣れていましたが、東京でも利用できるのは大変助かります。山下さんのご案内のおかげで無事に宿に到着しました。料金は2500円。もっと安いところもありましたが、何故かこのくらいでないと落ち着かないので...
(写真は、そのホテルの部屋。テレビ、冷蔵庫、冷暖房器具も完備)。

 泊まり心地は快適の一言。一番端の部屋で窓の採光も広く、暑いくらい。トイレも風呂も共同なのは全くお構いなし。実際、私は小樽の信香町時代にそういう生活を数年やっていました。ハードディスクの容量が足りなくなってきたので、近くのお店で食べ物のついでにCDRを買い、夕食をしながら昨日までのライブ音源を焼きまくり。

 お風呂は意外にもデラックスで、窓からの見晴らしもいいし泡まで出ます。
 なんだかお金持ちになったような気分(実際はまるで反対なのですが...)
 おすすめです。

 

4.12月1日(水)横浜・ぐりふぉれ屋(with 南澤大介)

 はじめてのお店、噂には聞いていた「ぐりふぉれ屋」さんでのライブ。南澤君とは久しぶりの共演となりました(写真:二枚とも南澤君)。
 「ソロ・ギターのしらべ」でもおなじみのアレンジの妙はもちろんですが、その飾らないトーク、歌もののクオリティーなど、ライブならではの南澤君の魅力が楽しめました。当日は何とアメリカからいらっしゃったお客様までいて、満員御礼。感謝感激でした。

 あの Sketch さんもお客様として来場し、これは下手なプレイはできません。私も負けじと軽快なラグタイムで応酬。写真が残っていないのが残念ですが、南澤君と「ケータイ許さない」「枕の歌」で歴史的なデュエットまでしてしまいました。多分、仰天映像だったと思います。覆面君の代わりにサポートくれて、どうもありがとうございました。
 泊まりは桜木町のカプセルホテル。前回横浜で利用した「アコーディオン・カーテン」式の古風なカプセルでなかったのがちょっと残念でしたが、おかげで熟睡できました。

 

5.12月2日(木)お休み

 空き日程二日目。
 友人でたびたび共演している一くんとの秘密会合。とあるお店での音楽談義に花が咲きました。
 一くんとはこの後の3月に再び共演をしたのですが、もっともっと音楽の世界でガツンと行ってほしい人です。それだけのものを持っている、隠れた名ギタリストなのです。

 

6.12月3日(金)東京 新宿・バックインタウン(with 打田十紀夫)

(写真左:打田さん、右:見づらいですが浜田。会場は熱気の渦?)

 首都圏でのメイン・イベントの一つ、打田さんとのジョイント・ライブです。
 おかげさまで満員御礼、またまた非常に充実したライブでした。

 トップバッターの私は、今回のツアーのテーマソングとも言うべき「ケータイ許さない」を歌うのに熱が入りすぎて、何とステージ上からイスがずれ落ち、ドッタンと転落してしまうと言うアクシデントが起こってしまいました。後ろのカーテンがクッションになってくれて大事は無かったのですが、はい上がってすぐに何とか歌おうとしてアタフタもがいているのが大ウケだったらしく、やんやの喝采。打田さんにも「ボクもああいうネタをやりたかったのに、やられちゃったなあ」と言われる始末。いやあ、こんなことってあるんですねぇ。

 打田さんは各種ギターを取りそろえ、それぞれの良さを引き出しながら個性的なブルースの魅力を再認識させ、またその軽妙なトークで心和ませてくれました。何回見ても、やっぱり魅力的なパフォーマンスです。
 そして二人の共演。何と二人で同時に覆面をかぶってステージに上るという、フィンガーピッキング・ギター史上最大の珍事(暴挙?)が起こりました。ところが、私のパンダ覆面(私は覆面君の覆面を彼から借りました)はまだしも、打田さんが覆面(これがまた、真っ黒なプロレス覆面)を付けてステージに上ったことで、みんながその真偽を計りかねて静まり返ってしまい、お笑いという点では完全に滑ってしまいました。ああ、この時の写真、誰か撮っていなかったかなあ。

 ともあれ、打田さんと共演した「ウエスト・コースト・ブルース」、最高でした。ラグとブルースの完全なる合体でした。

 

7.12月4日(土)千葉 インストア・ライブ&新柏・キッチンパタータ(オープニング・アクト 清水穣)

(写真左:今回のツアーはマタンプシが基本。右:サイレント・ギターを使って歌うたい中。)

 一年ぶりの千葉・柏でのライブ。東京から柏までは意外に遠く、時間に遅れるのではないかとヒヤヒヤしましたが、何とか間に合うとさっそく新星堂前でのライブでウォームアップ。インストア・ライブは、いつものライブハウスよりいろんなお客さんの顔を見ながら演奏できるのが楽しく、反応があるとさらにうれしいものです。

 次はキッチンパタータでのライブ。清水穣さんは、私や他のミュージシャンなどの映像配信を手がけている方ですが、ギタリストとしても素晴らしく、いつものバンド演奏と違うソロスタイルにも関わらず、ウッディー・マンやブラインド・ブレイクなどのギターの名曲をびしばし決めてくれました。私もしばし堪能しました。

 私も楽しんでプレイできました。この時の様子はビデオ撮影されて、後日清水さんが送ってくれました。後になって見てみると、おおっ、我ながらなかなかいいプレイじゃないですか。自分の演奏を映像でプレイバックすることはあまりないので、感激でした。この時の「サボイア・ラグ」の演奏が、現在ビデオ配信されているのは、インデックスページでもお知らせしています。デジカメ映像が残っていないため、ここに載せた写真はそのDVDから取ったものです。

 山下さんはじめ、「闘うオヤジの応援団」の皆さんにはいつもお世話になっています。この場をお借りしまして、お礼申し上げます。

 

8.12月5日(日)名古屋 インストア・ライブ& ウエスト・ダーツ・クラブ(with 川合ケン)

 名古屋へは、例によって前日の夜中に東京発の夜行バスで、早朝に着きました。東京→名古屋夜行バスというパターンができてしまったのですが、実は毎回毎回ハードなのです。乗ったことのある人ならわかるでしょうが、東名高速は交通量が多く、またドライバーが寝ないように道路にいろいろと(ゴロゴロゴロとタイヤが大きな音を立てるような)仕掛けがあるため、寝ようとする人にとっては地獄。ほとんど眠れないまま、名古屋駅へ。

 バスターミナルで髭を剃り、少々時間を潰し、川合ケンさんと再会。ご自宅でお風呂までお世話になってしまい、感謝感激。その後、石橋楽器名古屋栄店でのインストア・ライブ。一回のツアーで二カ所もインストア・ライブをしたのは初めてでした。川合ケンさんのウクレレによるトルコ行進曲に仰天。この人、何でもやるなあって感じです! 私も、楽器店という場所柄、普段ほとんどやらない「レクチャー形式」で自分の奏法を説明しながら演奏。なかなか楽しくウォームアップできました。

 眠気に襲われつつ、次の会場である藤ケ丘のウエスト・ダーツへ。いつもお世話になっている場所ですが、一年ぶりの出演です。しばしマスターやJRCの室町さん、青木さんと再会を喜んだ後、川合ケンさんの演奏。ウクレレはもちろん、あのストラムスティックの華麗な演奏が面白く、またまた引き込まれてしまいました。

[写真は、ストラムスティックを弾く川合さん]

 私はJRCオムニバスCD発売記念として、クラシック・ラグを中心に演奏。
 終演後は、宿の門限のため、いつもゆっくりできないのが残念ですが、ギリギリまで余韻を楽しんでいました。

 

9.12月6日(月)お休み NEW!!

 ツアー三度目の空き日程。どうせ空き日程を置くのなら、東京・名古屋間で一回入れたいところでしたが、ともかくこの日も貧乏旅行ということで、名古屋から大阪まで近鉄の鈍行でテクテクと移動。途中、連絡のため、全然用のない駅で降りて待っていると、なんだか今さらながら旅人の気分。遠くに風力発電の風車が見えたり、木枯らしの吹く公園があったり、いい感じ。

 大阪に着き、もはや定番となった安宿へ。明日までが大阪なので、二日分の宿をお願いしましたが、今思えば以前の二の舞にならぬように考えるべきでした...

 

10.12月7日(火)大阪 摂津市・カフェテラス讃(オープニング・アクト 井本忠信/岡本孝浩)

[写真:岡本君(左)と井本君(右)]

 大阪のカフェテラス讃、以前お世話になったお店ですが、場所が移動してからは初となります。若いギタリストの井本君と岡本君にお世話していただき、車でその場所へ。以前も素敵なお店でしたが、新しい場所もシックでいい雰囲気でした。

 お二人は、以前何度も共演した天満俊秀さんのお弟子さんで、その明瞭なタッチと誠実な演奏表現に感じ入りました。オリジナル曲もとても創意にあふれ、面白いものばかりでした。私、若い頃はこんなにもひたむきに弾いていただろうか、と思わず我が身を振り返ってしまいました。二人ともイケメンだし、うらやましい。

 満員のお客様を前に、私も気分は若い人、足踏みをビシバシ入れながらラグタイムの世界へ。

 一番大受けだったのは、やはり「ケータイ許さない」。しかし、「この中でケータイお持ちでない方はいらっしゃいますか?」というアンケート調査は、年を経る事に手を挙げてくれる人が圧倒的少数になっています。何かさらし者っぽくて、手を挙げる方が恥ずかしくなってきます。これで良いのか日本?

 その後の打ち上げ、井上楽器の井上さん、そして天満さんを加えてまたまた盛り上がりまくり、前回と同じく時間的に宿まで帰れなくなってしまい、再び梅田のカプセルホテルで一泊と相成りました。トホホ。
 歴史は繰り返す、とはこのことです。

[写真:浜田。]

11.12月8日(水)広島・ OTIS!

 次は、はじめての広島へ。当然の如く大阪←→広島間は高速バス。バスが苦手なミュージシャンなんているのかしら(いたら商売にならない)。着いたら安ホテル探し。幸いにしてまあまあの所を見つけると、広島名物の路面電車を楽しみながら、宿に到着。

 その後、会場となる OTIS! さんまでは何とか歩いて行けることが判明し、さっそく歩きまくり。いや、本当は見知らぬ街を散歩してみたいという気分だったのです。もっと時間があれば原爆ドームも見たかったのですが、それは明日に回し、取り急ぎ会場へ歩いていくと、なかなか時間が掛かってしまいました。

  OTIS! はかなり音楽好きの雰囲気ある店内。音楽集団「クールラニングス&ウパシクマ」としても活躍するマスター・佐伯さんとのお話がとても面白く、音楽やアイヌ文化の話なども合い、思わずクールラニングスCDを買ってしまいました。このCD、あの関ひとしさんや、知り合いの馬頭琴奏者・嵯峨くんなども参加していて、とても聴き応えのあるアルバムでした。4編のアイヌ民謡など、民族音楽的なアプローチに黒人音楽のような雑味を感じさせ、非常に地に足のついた音楽でした。
 あっ、思わず「好きなCD」コーナーになってしまった。

 初めての街、初めてのお店でしたが、この出会いもあって、とてもリラックスして楽しんで演奏できました。この日の演奏は、自分でも特によかったと思います。足踏みなんてうるさいくらいに鳴らしました。過去のCDや雑誌の記事などで、私のことをご存じだった方もいらっしゃり、ああ、ここまで来てよかったと感激しました。
 ああ、写真の一枚でも頼んで撮っていただくんでした。

 

12.12月9〜10日 お休み NEW!!

 広島からバスで帰る前に、たまたまバス・ターミナルの近くだった原爆ドームを見学。「一度は見ておきなさい」という神さまの思し召しでしょう。ここでやっと、広島に来たんだということを実感しました。

 さて、後は最後の大阪まで二日も休息日。というか、スケジュールが空いたまま今日を迎えてしまったのです。時間がもったいないといえばそれまでですが、時間もお金も、あればあっただけ使ってしまえるものです。高速バスで例の大阪の安ホテルに戻り、グーグー寝たり、洗濯したり、近くの街を散策したり、どこで安い外食をするか検討したり、まあまあ有意義(?)な時間を過ごしたのです。

[写真:原爆ドーム]

 

13.12月11日(土)大阪 吹田・5th-street(オープニング・アクト 伍々慧) NEW!!

 秋〜冬のツアー最後の日程は、吹田の「5th-street」。ウワサの伍々慧クンとの対面も楽しみでした。ちょっと迷いながらも無事にお店に着き、マスターとしばしギター談義。美味しいコーヒーを飲みながら、素晴らしい設備を整えたお店で心安らぐひととき。

 その後、伍々慧クンが到着。ちょっとクールな感じの好青年で、サッカー日本代表の中村俊輔に少し似ているかな? まだ高校一年なのに、すでにリハーサルがプロ以上のシビアさで、すごく気合いが入っていました。さすがコンテストの優勝者。私もこれからは少しまじめにリハしようかな...いつも3分以上は掛けないもので...

[写真:伍々慧クン]

 開演までには、小樽運河でお会いしていた方たちとか、以前のライブにいらしていただいた方の他、いろんな人たちにお越しいただき、とてもありがたかったです。おそらく十数年ぶりにプー横町のプー松岡さんにもお会いできました。プー横町は、私が学生時代からギター関連のレコードを買いまくった通販専門店。

 伍々クンの演奏はとても堂々としたもので、曲の完成度も高いものばかりでした。今でこれだから、将来いろんな音楽の影響をさらに吸収して成長すれば、一体どういうことになるのだろうか、とても楽しみなギタリストだと思いました。
 私は、この日がちょうど40才の誕生日。若いギタリストから刺激を受けることが多くなりました。さらに面白い音楽を目指して、これからもがんばっていきたいです。

 

14.12月12日(日)足止めによる一泊 NEW!!

 [写真:食い倒れ人形]

 さあ、フェリーで舞鶴から小樽に帰るぞ。と思っていたら、この日確認したところ、ちょうどフェリーの休航日に当たることが判明。ガーン。マジですか。

 代替交通手段をいろいろ考えましたが、宿泊費を入れても翌日のフェリーで帰る方が安いようなので、安ホテルに一日余計に泊まりました。やっぱりグーグー寝たり、生まれて初めて「なんば」の街を見学して、是非一度見てみたかった食い倒れ人形を拝見したり、それなりに有意義(??)な時間を過ごしたのです。

 

15.12月13日(月)フェリー NEW!!

 この日、やっとフェリーに乗船。一日おあずけを喰っていた分、故郷が恋しくて仕方ありませんでした。
 最新式のフェリーは、舞鶴←→小樽間が一日かからないと言う高速船。
 フェリーはこれからもたびたびお世話になるでしょう。飛行機なんて、味気ないね!

 ともあれ、関係者の皆さん、ライブをご覧いただいた皆さん、どうもありがとうございました。
 執筆が遅れてすみません!

(終わり)

 

 

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