ライブ日記 2012(2月 with 健さん)&ダコタ・デイヴ・ハル・ツアー (2012年2月26日更新)

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 目 次

はじめに

2月8日(水)神戸 シルクロード(with 小松崎健)
2月9日(木)和歌山 リュス モーネ(with 小松崎健)
2月10日(金)姫路 Live Bar Capo's(with 小松崎健)
2月11日(土)奈良 藝育カフェ Sankaku(with 小松崎健、かしはまきりえ)
2月12日(日)伊丹 LiveBar「ALWAYS」(with 小松崎健、Healing Dolces)
2月13日(月)兵庫 NPO法人 さわやか北摂 『居場所』(with 小松崎健)/2月13日(月)名古屋 遊器ゆあさ(with 小松崎健)
2月14日(火)千葉・市川 菅野公民館(with 小松崎健)
2月15日(水)東京 小金井市民交流センター小ホール(with 小松崎健)
2月16日(木)東京 西荻窪 サンジャック(Dakota Dave Hull/浜田隆史)
2月17日(金)東京 世田谷 スノウドニア(Dakota Dave Hull/益田洋)
2月18日(土)東京 水道橋 ふらっとんTIMES(Dakota Dave Hull/浜田隆史) NEW!!
2月19日(日)小樽 ゴールドストーン(BGM演奏の仕事) NEW!!

 

◎ はじめに

 おかげさまで、2011年末に結婚しまして、心機一転がんばっていきたいと思います。
 2012年は年始から、道内(小樽・札幌・釧路)を活発に回り、いつも以上に演奏活動に気合が入った年になっています。
 健さんとの2月の本州ツアーは、2008年から5年連続で続いていて、冬の風物詩となっています。
 今年はその中でも特に寒波に見舞われたツアーとして記憶に残ることでしょう(雪こそほとんど降られませんでしたが...)。

 さらに今回は、通好みなアメリカのギタリスト、Dakota Dave Hull のツアーサポートという、とても光栄な仕事がすぐ後に控えていました。
 さて、今回のツアーの顛末やいかに。

 

★ 2月8日(水)神戸 シルクロード(with 小松崎健)


 [写真:空港ではいつも一悶着ある(?)健さん。]
 初日、小樽から新千歳空港へ行く電車の中で、ウォークマンを家に忘れてきたことに気付きました。いきなりの忘れ物でしたが、今回のツアーで私が忘れたのはこの一点だけでした。この点は、かなり成長したのではないでしょうか?(あんまり自画自賛すると、いつかとんでもない揺り戻しが来そうで怖い)。

 その後、健さんと新千歳空港でいつものように合流して、なんとなく神戸へフライト。さすがに5年目、九州ツアーなどを含めると10近くのツアーをこなしていて、この辺は特にドタバタもなくスムーズなのです。

 健さんが、空港でもMacBook Airを使いまくりというのも、5年の年月の経過を物語るものでした(笑)。


 [写真:神戸・ポートアイランドにあるイケアを観光。]
 神戸空港には、この日お世話になる高橋どないなっとんねんさんご夫妻がお出迎えくださいました。

 いきなり連れてっていただいた「イケア」は、スウェーデン式な家具を備えた超巨大な販売店。食堂でスウェーデンカレーを食べました。
 これでもかこれでもかというくらいに出てくるオシャレな家具が溢れる店内を巡っていると、人の一生の文化を展示する博物館のごとく思えてくるのでした。

 ここで健さんから「ポーアイのイケア、パねえ!」という名言が生まれました。


 [写真:シルクロード、そして飲み会(笑)。]
 初日のシルクロード、気品ある純喫茶風の店内の奥にステージがあり、まったりした雰囲気の中で演奏。

 今回のツアーで初めて演奏する3曲の新曲があり、そこだけは多少緊張しましたが、初めてのお店で初めての方々との出会いがあり、いい感じで終演となったのでした。

 著名なマンドリニストの宮崎勝之さんが私たちのライブを見に来ていただき、大変感激でした! 打ち上げも楽しかったです!

 翌日は、いつもなら早起きの健さんが私よりぐっすり寝ていたという、ツアー始まって以来の珍現象が起こりました。

 

★ 2月9日(木)和歌山 リュス モーネ(with 小松崎健)

 今回のツアーは、日程の関係でなかなか一直線に移動することがかなわず、神戸→和歌山→姫路→奈良→兵庫という、行ったり来たりのジグザグな移動になりました。
 まあ、そんなツアーならではの思い出は、やはり移動の楽しさです。
 価格の安い、または時間が適切な経路を探したり、ユニークな駅名(たとえば「大物」と書いて「だいもつ」)に盛り上がったり。
 そして、寒いものの良い天候の中、今回も一年ぶりとなる和歌山・御幸辻(みゆきつじ)駅に到着したのでした。


 [写真:メリーチューンの木下さん(左)、一之澤さん。]
 駅でお出迎えいただいた、メリーチューンの木下加寿子さんと、なぜかお客のはずのくぽりんさん(笑)。男二人のむさくるしい旅の雰囲気から、あっという間に和むのでした。

 いろいろつもる話もそこそこにリハをして、なんだかあっという間にライブの時間となりました。

 オープニング演奏していただいたメリーチューン。ダルシマーとハープのデュオによるエンターテイナーが素晴らしかったです。ラグタイムの新たな可能性も感じる、とても意義深い演奏だったと思います。


 [写真:ライブ中の健さん、そして私(浜田)。]
 リュスモーネに出させていただくのは昨年に続き二度目ですが、響きが非常に豊かでかつ楽器の音が明確に聞こえる、小規模な室内楽には最適の空間です。ここで演奏すると、あまりの演奏のしやすさに、自分が実力以上に上手くなったような気持ちがする、そのくらい心地よさを感じることができるのです。

 外は雪こそ降っていないものの、かなり寒い印象でしたが、このアットホームな雰囲気の中で、会場一体が暖かい空気の中にいたと思います。

 わあ、この雰囲気の中で、私の言葉使いまで詩的になってきましたね(笑)。


 [写真:盛り上がる打ち上げの風景。]
 お越しいただいたみなさんには本当に感謝の言葉しかないのですが、やはり打ち上げも盛り上がりまくり...。珍しいジャパン・ビンテージのギター、そして珍しい楽器だらけのセッション、いただいた名酒・美酒。

 気がついたら、また私が宴会ストッパーになっていたのでした。ショボボン...しかし、ツアー中の移動・宿泊の算段は、私のiPhoneに掛かっているのでした。心を鬼にして「みなさん、もう寝ましょうよ〜」と言った私なのでした。

 

★ 2月10日(金)姫路 Live Bar Capo's(with 小松崎健)

 和歌山から姫路へは、直接移動せずに、一度大阪で途中下車。
 ここから三日間は、大阪の信じられない安宿(一泊1800円)に連泊して、少しでも旅の宿代を浮かせる計画なのです。
 ただし、姫路は大阪から割と遠く、終電の時間を考えるとなかなか厳しい旅でもありました。
 姫路の安宿も探したのですが、さすがに比べる対象が安すぎるので、たとえ犬のホテルでも太刀打ちできません...。

 移動中、お腹がすいたら、神戸でいただいた干しイチジクを食べるという、このツアーならではのマイブームもありました。


 [写真:外から見るとお菓子の家のようなロマンチックな「バークリー」。]
 姫路駅でお出迎えいただいたのは、ラグタイム・ピアニストの榎本里佳さん。日本ラグタイムクラブのオムニバス盤でも名演を残している凄腕ピアニストです。

 榎本さんに連れられて、本番のライブの前に「バークリー」というカフェレストランに行き、そこでライブの宣伝がてら、短いセットで演奏したのでした。

 お昼の自由気ままなライブ、珈琲片手に思い思いの方々にご清聴いただき、またもいい雰囲気で演奏できました。またここで、望外にもたくさんのCDが売れて、大感激でした!

 また機会がありましたら、是非立ち寄りたいステキなお店でした。


 [写真:カポスでのライブ。]
 そして、そこから車でかなりの距離を走り、やっとたどり着いた「カポス」。アコースティック音楽を楽しめる本格的なステージがある喫茶店です。

 ライブ前の腹ごしらえは、なんと最近小樽にも支店のできた丸亀製麺。今までの私は、かけうどんとぶっかけうどんの区別がついていませんでしたが、やっとわかりました〜!

 榎本さんや関係者の皆さんのおかげで、このライブも大いに盛り上がり、幸せな気分で演奏させていただきました。


 [写真:これがその干しイチジク。乾燥大麻じゃありません。]
 それにしても大阪連泊で終電が早いため、そそくさと帰ってしまい、ちょっと後ろ髪を引かれる思いでした。どうもすみません〜

 何とか終電に間に合い、大阪駅の異様な混雑も何とか乗り切って、健さんと大阪の安ホテルで、例によってささやかな打ち上げをするのでした。

 なんせ安ホテルで壁が薄いので、「浜田くん、声帯使うの禁止!」ということで、声帯を使わないエア・打ち上げとなったのでした。

 

★ 2月11日(土)奈良 藝育カフェ Sankaku(with 小松崎健、かしはまきりえ)

 この日は、ゆったりと朝寝坊できるくらいに余裕のある朝を迎えました。
 大阪から奈良へは、意外に近いので、時間にゆとりができるのです。
 それにしても、この日も寒かった〜!


 [写真:人気も安定してきた、健さんと「せんと」くん。]
 奈良でくぽりん(=かしはまきりえ)さんたちと合流して、そこからカレーのおいしいお店をご紹介いただき、食べたり練習したり。

 冬の古都ならではの、えもいわれぬ風景を車中で横目に見ながら、次の会場である「Sankaku」を目指したのでした。

 奈良も京都と同じく、見ているだけで吸い込まれてしまいそうな不思議なアーケード街があるのですが、「Sankaku」もそういう中の一角にあるのでした。


 [写真:かしはまきりえさんの美しいダルシマーの響き。]
 昔のダンスホールのようなつくりの、ステキなカフェ。中には、お店の名前が示すとおりの芸術作品もあり、そこはかとなく新しいアートな空間を演出しているのでした。

 オープニングで演奏したかしはまきりえさんの演奏、お会いするたびにどんどん素晴らしくなっています。3人でやったリール・メドレーは、私にとっては久しぶりの選曲でした。ダルシマー二台とギターでは、ギターの旗色が悪いのですが、青筋立ててがんばりました!


 [写真:健さんと山口智さん[ギター]。]
 そんなわけで、この日のライブも盛り上がり、気持ちよく演奏できました。

 終演後、まったりとした雰囲気の中で、お越しいただいていたハンマーダルシマー奏者の山口智さんが私のギターを弾き、健さんとアイリッシュ・セッションするという、うれしいサプライズまでありました。

 浜田隆史、失業...
 でも、ホントに素晴らしいものを見させていただきました。

 

★ 2月12日(日)伊丹 LiveBar「ALWAYS」(with 小松崎健、Healing Dolces)

 くぽりんさんにいただいたお酒が超美味しくて、その余韻の残るさわやかな朝。
 健さんはダルシマーワークショップなどのため、一足お先にホテルを出発して、私は夕方のライブリハの時間まで別行動になりました。
 二人旅ではなかなかこういう機会はないので、心に羽が生えたように自由を満喫(?)...

 といっても、昔ならよくやっていたギター屋さん巡りも、今となっては心配の種になるだけ。
 これからの旅路のため、阿倍野付近で格安チケット屋さんを探したり、バカな歌を作ったり、ごろごろしているだけでした。
 羽の生えた心にも、相変わらず足がついていたのでした。

 しかし、一人の移動の時間になってポカをやってしまいました。
 阪急線を下って乗り換え、伊丹線で伊丹に行くはずが、乗換駅の塚口駅を失念して、夙川駅まで行き過ぎてしまいました。
 時間も押していたので、ままよと一番早い上り電車に乗ったら、塚口駅はノンストップ。今度は十三まで行ってしまいました。
 行ったり来たりでなかなかたどり着けない、電車地獄を味わってしまいました(笑)。


 [写真:ヒーリング・ドルチェスの稲岡さん(右)、木南さん(左)。]
 また一年ぶりにお世話になるALWAYSにやっと到着。若手ハンマーダルシマー奏者の稲岡大介さんがいつも通りの気さくな笑顔で出迎えてくれました。

 その稲岡さんと、これまたハンマーダルシマー奏者でマルチプレーヤーの木南祐子さんが結成した、世にも珍しいハンマーダルシマーDuo、ヒーリングドルチェスの演奏に、心から魅了されました。

 オリジナル曲の独創性、正確無比の演奏、そしてフランス・シターや沖縄の三線、ピアノも駆使したバラエティーに富んだ構成。本当に素晴らしい音楽ユニットです。

 初めて拝見したフランス・シターは、最初は、東京の打弦楽器協会の会合で以前拝見した「ダルちん」みたいだなあ、と思っていたのですが(失礼!)、何と指で弾くという、どちらかというとハープに近いもので、とても興味深いものでした。


 [写真:ALWAYSのブログから引用させていただきました!]
 ヒーリング・ドルチェスの後は、健さんと私のユニット。なんとユーストリームで生中継されていたので、とても緊張...というのはなく、やっぱりいつも通りの楽しいライブになるのでした。

 おかげさまで満席、新曲の演奏も板に付いてきて、充実感いっぱいのライブとなったのでした。

 また、昨年からの約束だった、盲目のシンガーソングライター・戸梶賀世子さんとの共演を果たすことができました。「愛ちゃんのうた」、サポートしている自分も感動で、ちょっとウルッと来てしまいました。戸梶さんはしきりに健さんと私に感謝の言葉を述べられていましたが、こちらの方こそ、本当に心から感謝したいと思います。


 [写真:楽しいライブ終演後の記念写真!]
 それにしても、稲岡(いなっち)さんの三線への入れ込みは並ではない(笑)。ヒーリング・ドルチェスの本番でも1曲だけ三線をフィーチャーした曲があり、その曲ではバックが南国風の垂れ幕が下がったり...終演後は、三線を持った健さんとエイサー風のセッションが繰り広げられたりして、これまた楽しいひと時を過ごしたのでした。

 私と健さんの本州ツアーは、いつもバレンタイン・デーの前後に行われるのが慣例になってしまっていて、この日も幸いにもチョコをいただいてしまったのでした。貧乏旅行の中、とても助かります。朝食にパンと一緒にいただくと、また格別(笑)。

 そんなわけで、この日のライブも大成功。ただし、気掛かりは明日(月曜日)早朝の移動なのでした...

 

★ 2月13日(月)兵庫 NPO法人 さわやか北摂 『居場所』(with 小松崎健)
★ 2月13日(月)名古屋 遊器ゆあさ(with 小松崎健)

 昨日気掛かりと書いたのは、この日の朝の交通機関の込み具合。
 ツアー中は、なるべく平日の通勤または帰宅ラッシュを避けるのが定石ですが、今回はちょうど通勤ラッシュにかぶりそうな時間に移動したのでした。
 しかも、三連泊した安宿をチェックアウトして、フル装備の荷物付きだったのです。
 しかし、これも普段の行いでしょうか、覚悟していたほどのラッシュというほどでもなく、福知山線で川西池田まで、割とスムースに移動できたのでした。

 案ずるよりも産むが易し。
 旅なんて、そんなものですね。


 [写真:さわやか北摂「居場所」にて、終演後に珈琲をいただきました。]
 前年に引き続き、稲岡さんがお膳立てしてくれて、NPO法人・さわやか北摂で、ご年配の方たちに向けた演奏会をさせていただきました。

 前回もそうでしたが、皆さんからこちらの方が元気をいただいています。
 よく、「自分の音楽でみんなを元気にしたい」「癒しになってほしい」という音楽家の言葉があったりしますが、実は、そんなのは演奏者のおこがましい考えなのかもしれません。音楽はみんなで作っていくもの、演奏者だけでなく、楽しむ人々だって音楽家です。そして、皆さんが楽しんでくれる様子が、何よりも演奏者の力になるのです。

 2/14に、健さんのお兄さんの愛聴曲とのことで、千葉で演奏する予定だった「あざみの歌」を、いち早くここで演奏しました。まさにみんなで一つになって楽しむ、ステキな歌声が響いたのでした。


 [写真:終演後の打ち上げ。 また健さんが調子のいい事言ってます!]
 今回のツアーは、いつものツアーとは逆方向に移動していたのも特徴の一つでした。つまり、いつもの東京→大阪という西へ行く流れと逆で、大阪→東京という東へ行く経路でした。
 あいにくの雨の中、なんば駅の周辺で格安チケットを探す私。ふと考えたら、いつもは名古屋から大阪へのチケットを名古屋の行きつけのお店で買っていたので、ちょっと勝手の違う旅だと再認識しました。

 定番、近鉄アーバンライナーで格安かつ高速な名古屋への旅。名古屋に着いたら幸いにも雨が小康状態だったので、急いで「遊器ゆあさ」に行ったのでした。


 [写真:こういう写真を撮るのは何度目か、蓬莱泉の瓶を持ってチーズ!]
 遊器ゆあさも、健さんとの旅ではいつもお世話になっているお店で、今年も再びお店の方たちとお会いできたことをうれしく思います。

 ゆあさでのライブは、お店の音の響きがとてもよく、生音に包まれた良質のライブ感が得られるのです。しかし演奏中より打ち上げの写真が多くてすみません〜(笑)。

 お店のおばあちゃんの美味しい料理と笑顔も健在で、とてもうれしくなりました。また来年、ぜひお会いしましょう!

 あいにくの雨の中、名古屋(伏見)の安ホテルまでは、地下鉄からも多少歩く距離があるはずでしたが、なんと車で送っていただき、とてもありがたかったです。
 ここですんなり寝るつもりだったのに、やはり頂き物のお酒で最後の締めと相成ったのでした。マジで酒量がうなぎのぼり...

 

★ 2月14日(火)千葉・市川 菅野公民館(with 小松崎健)

 この日は、またまたツアー恒例の、洗濯日。


 [写真:最新式のコインランドリーと健さん。]
 以前、最新式のコインランドリーの値段が高くて、仕方ないので健さんと一緒に下着類を洗ってしまったというトホホな体験を書いていたのですが、

 すみません、またおんなじことをやってしまいました...。やはり健さんと一緒の洗濯槽でパンツを洗う羽目になってしまいました(T_T)。このやるせなさ。

 だって、一回1000円なんだもん。

 /もう二度と そう決めたのに もう一度


 [写真:北のモジャくんにいただいた、名古屋限定戦国武将ペロティー。]
 ツアー計画当初、この日は東京への移動日に設定していました。
 そもそも東名間は高速バスというのが最も安い移動手段です。東京→名古屋の移動なら割合スムーズですが、しかし名古屋→東京という方向だと、首都高上り車線での渋滞がきつ過ぎて、その日のライブに間に合わない可能性があるためです。

 しかし、ツアー計画もそろそろ決定という頃、毎年、柏のキッチンパタータに来て下さる「この本大好きの会」の菅澤さんが、今年は柏でのライブが無かったため、急遽企画して下さいました。そのため、普段は乗らない新幹線を使って名古屋から東京への移動となったのでした。

 名古屋駅では、出発直前に、退院した北のモジャくんご夫妻にお見送りに来ていただき、ビックリするやらうれしいやら。本当にありがとうございました〜!


 [写真:健さんの昔のブルーグラス仲間、早川さんとのツーショット。]
 菅野公民館は、なんと健さんが昔住んでいた町の近くなんだそうです。そういえば健さんは元々江戸っ子なのでした。てやんでい、べらんめえ。
 雨の中、最寄り駅の市川真間(いちかわまま)からダッシュで会場に向かったら、間違えて隣の女子校に侵入してしまうところでした。ああ、あせった(笑)。

 急遽開いていただいたのに、多くのお客様にお越しいただき、本当に感謝でした。「この本大好きの会」との繋がりから、最近はほとんど聴いたことがなかったハードトゥファインドの「りんごの花」を健さんが演奏して、その美しいメロディーに改めて聞き入りました。
 鼻笛のモスリンさんにもお手伝いいただき、満を持して「あざみの歌」をみんなで大合唱して、素晴らしいエンディングとなったのでした。

 打ち上げも例によって例のごとく盛り上がり、またもや終電が気になる旅なのでした。

 この日の晩は、いつもの南千住の安宿ではなく、南千住は一緒なのですが、チェックインが11:30まで可能な、安い中にもちょい高めのホテルに入りました。
 いつもは一泊2700円なのですが、ここは3100円...
 400円のぜいたくは、駅からも近くなったし、設備も改善しているし、タバコ臭いのが何とかなれば、なかなかに快適。

 ただ、夜中のお風呂の時間を過ぎてしまうと、朝に残されているのは1回10分200円のコインシャワーのみ。
 せっかく安宿に泊まっているのに、シャワー代が別途掛かるのはノーサンキューでした。
 また、そのコインシャワー、ホースの途中が固定されていて、下方面が自由に洗いづらかった・・・
 10分かけてじっくり洗いました。

 ホテルの設備には英語表示がなく、しかも男性専用。新築で綺麗なのに、おそらく外国人の方は使えないホテルです。
 上に長い構造なので入り口付近が狭く、ちょっとあずましくない(居心地がよくない)所もありました。
 私にはやはり、あの2700円の方の居心地のよさが忘れられず、2/16からまた泊まり直すことになるのです(後述)。

 

★ 2月15日(水)東京 小金井市民交流センター小ホール(with 小松崎健)

 南千住のちょい安宿をチェックアウトして、私と健さんは武蔵小金井の「自然館」に向かいました。


 [写真:サウスウィンドの心洗われる清涼な演奏。]
 「自然館」は、2010年夏の東北ツアーの最終日にお世話になったステキなカフェ。東京のハンマーダルシマーユニット、サウスウィンド(ハンマーダルシマー:青木陽子さん、フォークハープ:森悦子さん)の生BGM演奏があるというので、待ち合わせがてら、早めにお伺いしたのでした。

 アイルランドの伝承曲から有名な映画音楽まで、ほとんどノンストップで1時間ほどの演奏をたっぷり堪能しました。
 健さんも私も、しきりに目を丸くして楽しんでいました。

 その後、一泊の宿となる某マンションのゲストハウスにチェックインして、健さんとのツアー最後の会場となる小金井市民交流センターに向かいました。


 [写真:素晴らしいホールの、素晴らしい楽屋で撮った、たわいない一瞬。]
 小金井市民交流センターの小ホールは、今まで健さんと一緒に演奏した場所の中でもかなり広く、ホールコンサートという一種独特の緊張感があるのでした。

 しかし、今までの旅で培ってきた蓄積、それは時には技術だったり度胸だったりもするのですが、一番大事なお客様との心の繋がりを感じつつ(実は、小樽運河でお知り合いになった方も何人か来られて、感激でした)、不思議と肝が据わって、細部を気にせず堂々と演奏できたのでした。

 バタバタしていたためか、演奏に集中していたためか、まともな写真が一枚もなくてすみません!今回のツアーで一番たくさんCDが売れて、心からうれしい気持ちでした。


 [写真:左から木村林太郎さん、健さん、ダルシガールあすかさん。]
 打ち上げも、申し上げる必要のないほど盛り上がり、いつ果てるとも知れない...以下同文。

 ハープ奏者の木村林太郎さんなど、いろんな方々ともお知り合いになれてうれしかったです。
 さすがにお開き後は、グースカと寝てしまえたのでした。

 これで健さんとの本州ツアー全ての日程が終わりました。始まる前は長いツアーだと思っていても、終わってしまえばあっという間です。実は健さんはこの後に熱を出してしまうのでしたが、ツアーとツアーの合間に熱を冷まして風邪を治すなんて、正真正銘のツアーミュージシャンです!

 

★ 2月16日(木)東京 西荻窪 サンジャック(Dakota Dave Hull/浜田隆史)

 この日、健さんは次の予定のために北海道へ戻り、この日からいよいよ Dakota Dave Hull のライブ・ツアーが始まるのでした。


 [写真:iPhoneのカメラ切り替えで撮ったツーショット!]
 まず、ダコタ・デイヴ・ハルさん(以下、デイヴさん)に会う前にどうしてもしなければいけないことは、ギターの練習でした。健さんとのユニットと、自分がソロでやる曲にはあまり互換性がないのです。幸いにして平日なので、安いカラオケボックスを借りて、ソロ用の練習を集中してやりました。

 デイヴさんは、事前に私と同じ安宿に泊まっているのでした(かなり旅慣れている人のようで、世界の様々な国を旅して歩いているのです)。私はこの日からの3連泊で、自分のチェックイン時に、そのホテルでの対面となりました。

 心配していた英語のコミュニケーションは、まあまあ何とかかんとか、という感じ。同じ人間同士、伝えたいという気持ちがあれば、少なくとも、気合は伝わるものですね(笑)。


 [写真:体格の割には意外に小食なデイヴさん。餃子とチキンナゲット。]
 デイヴさんとお会いするのは初めてではなく、2010年3月6日に打田十紀夫さんとのジョイントライブ(初来日時)にゲストで出させていただいたときに、打ち上げも含めていろいろお話していたのでした。

 昔のフライング・フィッシュのLPやCDでコアなファンを獲得した話は、いまや語り草ですが、デイヴさんはそのときから、いえ、その以前から自分自身のアメリカ音楽を全くぶれずに追及し続けています。

 来日時に持ち込んだセミハードケースは、2本分を縫い合わせて一つとして使っているという力技ケースでした!

 長時間の歩きは苦手というデイヴさんですが、がんばって日本の電車の乗換えをこなし、西荻窪のサンジャックに到着しました。


 [写真:リハが終わり、ポーズを決めるデイヴさん。]
 いつもお世話になっているサンジャックにて、最初のリハの音が出たとたん、私はこういう光栄な機会を得ることができて、本当に幸せ者だと思いました。

 とにかく素晴らしい。自分が憧れて続けていたギターによるラグタイム、そしてアメリカ音楽の、道は少し違えど自然な進化をしていけばいつかはここに行き着く、という感じの自然な力強さが、デイヴさんのギターの一音一音に満ちているのでした。

 ギターは、フェアバンクスというメーカーのギブソンコピーモデルと、ナショナルのリゾネーター・ギターでした。
 もっともっと多くの人に見てもらわないともったいない、そんな初日のライブでした。


 [写真:光栄のセッション。ギタリストとして至福のひと時です。]
 そして、光栄にも最後は私とセッションしていただきました。2年前に打田さんと三人でやった「フレイト・トレイン」。思い出の曲で思う存分はじけることができて、感無量でした。

 デイヴさんはもちろんソロでのパフォーマンスが多いのですが、実はセッション・ギタリストとしても凄腕のベテランなのです。私のような若輩者とのセッションでも、相手を立てたり、うまく隙間を作ったり盛り上げたりはやしたりと、一緒にやっている共演者は、その凄さを肌で感じることでしょう。


 [写真:2本入りギターケースを引っ張られる打田十紀夫さん。]
 私もデイヴさんも、おそらくこの日一番うれしかったのは、打田十紀夫さんご夫妻が見に来てくださったことでした。

 お忙しい中、本当にありがとうございます!

 

★ 2月17日(金)東京 世田谷 スノウドニア(Dakota Dave Hull/益田洋)

 デイヴさんは、以前お体を壊されて以降、酒もタバコも一切やらなくなったとのことです。
 外国人のツアーのお世話というのは、なかなか経験のある人でないとわからない苦労があるものです。
 しかし、デイヴさんは好き嫌いもないし、食べる量も多くないし、お世話する立場から言えばむしろ楽な方でした。

 お昼にお連れしたCoCo壱番屋では、しきりに「エキセレント!」を連発していました!
 David Thomas Robertsさんといい、ココイチはアメリカ人好みの味なんでしょうか?

 ただし、足腰に不安があったため、駅からホテルまでは、ほぼタクシーでの移動になりました。
 それなのに、この日の会場近くに行くためのバスの乗り換えに手間取りました(渋谷駅のバスターミナルがどこか全くわからなくなった)。
 デイヴさんを疲れさせてしまって、ちょっと反省...。


 [写真:スノウドニアでリハ中のデイヴさん。]
 この日のライブは、私はただのスタッフで、以前お世話になった三宿のスノウドニアにて、益田洋さんとデイヴさんのジョイント・ライブという形になりました。

 都内の隠れ家的なバーで、LPレコードがこれでもかというくらいにいっぱいある店内。私自身もずいぶんお久しぶりでした。

 益田洋さんを待っている間も、リハの音出しですでに関係者一同、目が点になってます...
 ここでデイヴさんの弦の押さえ方をいろいろ教わったのですが、デイヴさんは手が大きく指も太いので、その利点を活かしきった様々に便利なコードフォームがあるのでした。自分は真似できませんが、少ない労力で大きい効果を得るという意味で、とても参考になることでした。


 [写真:カンプスのナイロン弦ギターを弾く益田洋さん。]
 そして、しばらくしてやってきた益田洋さんと合流して、近くのニューオーリンズ風の料理店で腹ごしらえとなったのでした。

 益田さんは翻訳ライターの仕事もされていて、英語はペラペラ。デイヴさんと超高度な英語で会話が繰り広げられていて、私はちんぷんかんぷん〜(笑)。でも、しばし肩の荷が下りた気分でもあったのでした(おそらく、デイヴさんもそうだったのでしょう)。

 そして、いよいよライブ、前半に益田さんが登場。現在制作中のオリジナル曲集から何曲か、そして日本を感じさせる曲、ビートルズなどの編曲物など、バラエティーに富んだ選曲。ナイロン弦の歌うようなタッチが印象的で、アメリカのルーツ音楽に根を下ろしたデイヴさんと好対照を成していました。


 [写真:リゾネーターで渋いトラディショナル曲を演奏するデイヴさん。]
 アメリカのルーツ音楽と一言で言っても、その裾野はいろんな方向に広がっています。デイヴさんは、やはり盟友であったデイヴ・ヴァン・ロンクのラグタイム的な世界観を引き継ぎ、そこにさらに別のアメリカ音楽の視点(たとえばタンゴ、オールドタイムなど)を加えた曲に特徴があると思います。

 前述したユニークな弦の押さえ方により、通常のギタリストが扱わないようなキーで変化をつける点もクリエイティブで、決して伝承をそのままで伝えない個性を強く感じました。

 優しいタッチはとことん優しく、そしてスイングするときはノリノリと、変幻自在のスタイルは、一つ一つが勉強になることばかりでした。

 昨日いらっしゃったお客様が再び来るということで、違うセットを弾いたのですが、本当に何曲覚えているのか、その引き出しの多さにも驚くばかりでした。


 [写真:益田洋さんとデイヴさん、興味深いセッション!]
 益田洋さんとのセッションも、お客さんとして見て初めてわかる、サービス精神のようなものを感じました。そして益田さんも、そんなデイヴさんを前にしてさらに楽しんでやろう、というしたたかなやり取りを感じました。

 「あっ、そこまでやるんだ〜」。
 本当に見ていて幸せになるようなノリが一番大事。二人の異色な組み合わせでしたが、音楽は理屈でなく、ただそのままで納得できるんだ、という瞬間を確かに感じたのでした。


 [写真:左から益田さん、マスターのDekkyさん、デイヴさん。]
 実は、デイヴさんはツアー用に自前のコンデンサ・マイクとプリアンプも持参していたのですが、この日のライブは唯一、その機材を使わないライブでした(実は私もデイヴさんがコンデンサマイクを持ってくるとは思ってなかったのです)。

 しかし、このお店のライブでの音も素晴らしく、適度な空間がギターの生の迫力をほぼ直接伝えていました。ギターのソロライブ、弾き語りなどには最適な空間といえると思います。

 こうして、二日目のライブも楽しく終了したのでした。

デイヴさんのコーヒー話:
デイヴさんは、お酒を飲まない代わりにかなりのコーヒー好き。
まず、朝食はコーヒーだけとの事。かなりの巨漢なのに、食べる量はそれほどでもないのが不思議で す。
この日にCoCo壱番屋のカレーを食べた時も、ホットコーヒーがないのでアイスコーヒーを頼んでいました。
さらに、ライブ前にスノウドニアのマスター、デッキさんにコーヒーを頼み、さらにさらに益田さんと三人で夕食した時にはダブルエスプレッソを飲むという熱中ぶり(^_^;)
まさに、逆AKIさん!(AKIさんはコーヒーが苦手なギタリスト)。
そのコーヒー好きが高じて、コーヒーに捧げる曲が何曲かあるのです。

 

★ 2月18日(土)東京 水道橋 ふらっとんTIMES(Dakota Dave Hull/浜田隆史) NEW!!

 今日も昨日と同じく昼食を一緒に食べようと思っていデイヴさんを待っていたら、約束の時間になってもお部屋から出て来ないのです。
 「ひょっとして部屋で死んでるんじゃなかろうか?」と不吉な事を考えてしまいましたが、実はすでに外出していて、
 新宿近辺をウロウロしていて、道に迷ってしまったとの事でした(^_^;)
 いやあ、焦った焦った。
 荷物を持って長時間歩くのはキツイようですが、迷った時に手ぶらだったのは何よりでした。


 [写真:長かったツアーも最後。万感の思いで演奏する浜田。]
 私も初めてお世話になったふらっとんTIMESは、八王子にあるふらっとんの二号店として出発したお店。東京のど真ん中で、レコーディングスタジオとしても使用できる設備と良質なPAが素晴らしいお店でした。

 久しぶりに、自分のことも書いておきましょうか。私は前半、二日前のサンジャックと少し違う選曲で、トラディショナルも取り入れたセットにしました。

 終演後、ホテルのロビーでデイヴさんとお話していると、「キミの演奏は素晴らしい、でも一つだけアドバイスをするとしたら、ジョプリンやスコットのようなクラシック・ラグは、もうほんの少し遅く弾くとさらに楽しめるだろう」と助言を受けました。自分でも気になっていた悪い癖だったので、確かにその通り。胸に刻んでおきました。


 [写真:デイヴさんの充実した演奏。]
 デイヴさんの来日ツアー最後の演奏も、とても充実していました!デイヴさんが長い経験から培って来た、真のアメリカ音楽を存分に楽しんでいただけた事と思います。

 この日のお客様には、前回(2年前)のライブを見られなかったHさん、また昨日お世話になった益田洋さんなど、いろいろな方にお越しいただき、本当に感謝です。おかげさまでツアー最高の盛り上がりを見せたライブになったのでした。


 [写真:デイヴさん、そして浜田。誰もがセッションしたくなる雰囲気。]
 私も光栄な気持ちで、最後のセッションを務めさせていただきました。

 終演後はデイヴさんのCDが飛ぶように売れて、売り子の私も売り甲斐がありました!


 [写真:それにしても、本当にダンディーないでたちの紳士でした!]
 そして最後、とあるカフェでのささやかな打ち上げで、コーヒーでくつろぐデイヴさん。

 行き届かないところが多々ある若輩者の私でしたが、デイヴさんには最後まで気楽にお付き合いしていただき、得難い体験ができました。ギタリストとして、音楽家として、学ぶところの多いツアーでした。デイヴさんには本当に感謝しています。

 そんなわけで、健さんのツアーからデイヴさんのツアーまで、十日あまりの長いツアーがやっと終わったのでした。

 

★ 2月19日(日)小樽 ゴールドストーン(BGM演奏の仕事) NEW!!

 翌朝、デイヴさんと、安宿の隣の喫茶店でいつものようにコーヒーをいただき、涙のお別れとなったのでした。
 どうか健康に気をつけて、これからの長旅も乗り切って欲しいです。

 さて、私はこの日、急いで小樽に戻って、ゴールドストーンでのBGM演奏の仕事があったのです。
 小樽に急いで戻ってみると、恐るべき低温、そしてちっとも減ってる気配のない雪の山山山...
 一気に現実に引き戻された気分でした。

 ホント、今でも、世界的なミュージシャンと共演していたことが夢のように思い出されてしまうのです。
 いつかまた何らかの形でお会いできることを信じつつ、私も次の活動に意欲を燃やしたいと思います。

 またどこかのライブ会場でお会いしましょう!

(完)

 

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