ライブ日記2005春(2005年8月23日更新)

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 目 次

 はじめに

2005年春の本州ツアー(写真付き)

  3月23日(水)フェリーで出発
  3月24日(木)東京 代官山・フーチークーチー(with 小川倫生、一卓嗣)
  3月25日(金)栃木 鹿沼・饗茶庵(with 小川倫生)
  3月26日(土)栃木 宇都宮・カーブ(with 小川倫生)
  3月27日(日)東京へ(空き日程1)
  3月28日(月)東京にて(空き日程2)
  3月29日(火)東京 国分寺・クラスタ(with 覆面シンガー)
  3月30日(水)東京 新橋・レッドペッパー(Alexei Rumiantsev & Hiromi Rumiantseva のゲストとして)
  3月31日(木)名古屋 愛・地球博の見学
  3月31日(木)名古屋・Jazz 40/30(Bob Milne のゲストとして)

  4月1日(金)大阪 高槻・MAEDAコーヒー(with ROOTS)
  4月2日(土)大阪 岡町・あーとらんど PIA(with 天満俊秀) NEW!!
  4月3日(日)岡山・奉還町りぶら(with 湯淺佑一、masaki & kazuko) NEW!!
  4月4日(月)フェリーで帰還 NEW!!

 

はじめに

 この日記は、過去好評を博した『ライブ日記』の2005年版です。『ライブ日記』は、自分のライブ活動の中でも特に「本州ツアー」について、懐かしくも過去の栄光(もしくは黄昏の日々?)として回顧するという目的で書かれるものです。

 私のライブをご覧になった方は、それを追体験できるでしょう。不幸にして未だご覧になったことのない方は、それを疑似体験できるかも知れません。どのくらい盛り上がったのか、それとも盛り下がったのか、読んで参考にしたり安心(?)したりする同業者の方もいるかも知れません。私のことを全然知らない人が、ただの読み物としてご覧になることもあるでしょう。
 私にとっての貴重な出会いを、多くの方々にも知っていただけるように、ここに記します。

2005年5月1日
浜田 隆史

・2005年春の本州ツアー 3月24日〜4月3日

 

 1.3月23日(水)フェリーで出発

 「春の本州ツアー」と銘打った恒例のライブ・シリーズは、今回で4回目。
 前回2004年の春のツアーは、正直言ってそれほど稼げませんでした。ライブの本数も少なかったし、共演者無しの自主企画ライブが多かったからかも知れません。最初、今年の春のツアーはお休みしようとさえ思っていました。アイヌ語関連のお仕事もあり、それなりにやることはあったし、このところ続いていた「出発時にあわせた新作CD」も今回はなかったのです(ちょっと最近CD出しすぎ?)。

 ところが、たまたまラグタイム・ピアノ奏者の Bob Milne さんが名古屋で日本ラグタイムクラブとの交流会を希望しているという情報が入り、どうせならコンサートを企画しようということになりました。こうして、名古屋での予定が確定した段階で、私はその時期に合わせて急遽ツアーの予定を組みました。どうせやるならといろいろ予定を入れていった結果、ジョイント・ライブが中心となり、別の方に企画していただいたものが多くなりました。

 この日の午前中、フェリーで小樽港を出港。すでにフェリーでの旅はおなじみになってしまいました。数年前は、よく飛行機も使っていたのですが、この時期は航空会社の繁忙期に当たり、企画の時期が遅かったということもあって、安いチケットが手に入らなかったのです。
 航空会社の繁忙期ということは、つまり旅行のシーズン。フェリーも珍しくかなり混んでいて、学生たちがやかましくあたりをうろつく状況。いつもの気楽な旅とは行きませんでしたが、それなりに楽しく本州へ向かったのです。

 一言だけ気になったことを書きましょう。学生たちが、洗面所のコンセントを勝手に借用してケータイを充電したまま放置していましたが、あれはどーにかならないものか...外国なら盗まれても文句言えません。

 

 2.3月24日(木)東京 代官山・フーチークーチー(with 小川倫生、一卓嗣)

[写真:向かって左から小川くん、浜田、一くん。]

 久しぶりに代官山のフーチークーチーでライブ。しかも、以前にもジョイント・ライブを行っている一くん、小川くんとのオムニバスライブという、かつてない夢のような企画。以前からこういうライブがやりたいねと三人で示しあっていたのですが、何年越しかでやっと実現したのです。

 「新・三人の変態」というライブシリーズ名も考えましたが、私はともかく他の二人はヘンタイのイメージとはちょっと遠い清涼なギター・スタイルなので、泣く泣く取り下げたという次第... 今日に限っては、ギター界のアイドルグループ結成(?)のつもりでいきました!

 一くんのギターをライブで聴いた人はラッキーでしょう。何故か今まであまりライブをやっていなかった人なのです。

 しかし、特にオムニバス盤『Acoustic Guitar / Solo』での名演をご存じの方は、彼の生ライブを是非体験していただきたいと思います。印象的なメロディー、繊細な表現力は、隠れた名ギタリストと言っても過言ではありません。もういいかげんCD出してよ。

 徹底して自虐的なMCと音楽とのギャップが、かなり面白かったです。

 小川くんは、この後栃木県で二つのライブを企画していただきました。そもそものきっかけは、二人ともビーチボーイズのブライアン・ウィルソンのファンで、例の『スマイル』についてメール談義しているうちに「じゃあジョイントしましょうか」ということになったのです。

 この日久しぶりに小川くんの生ライブを見て、相変わらずの充実した音楽的内容に唸ってしまいました。ブライアンの名曲「ラヴ&マーシー」の弾き語りもステキでした。

 私(浜田)は光栄にもトリをつとめさせていただきました。ピックアップ派の二人に合わせて、私もギター内蔵のハイランダーで音を出しました。

 やはりハイライトはビーチボーイズ特集。今回のツアーの「裏テーマ」でした。「グッド・バイブレーション」のギターソロアレンジは、まだまだチャレンジの段階ですが、もう行くところまで行くぜ!

 この日の歴史的ライブシリーズ、また実現できるといいなと思います。

(追加執筆予定)

 

 3.3月25日(金)栃木 鹿沼・饗茶庵(with 小川倫生)

 昨日のライブ終了後、お客さんとして来てくれた渡邉さんのお家に小川くんと共にご厄介になり、おかげさまで楽しい夜を過ごしました。
 次の日の午前中から小川くんの車に便乗して、東京から栃木へ! めちゃくちゃ遠い...。免許があるのにずっとペーパードライバーの私は、小川くんに済まないと思いつつも車窓の景色を楽しみました。カーステレオからは超マニアックなビーチボーイズ関連音源が流れ、いい気分。

 小川くんの実家から目と鼻の先にある「饗茶庵」の別館(HANARE)に到着。大正時代の民家を改造したアートスペースで、素敵なレトロ感覚に溢れていました。
 リハーサルからワクワク状態。

 開始前には、お忙しい中たくさんの方たちにお集まりいただき、感謝感激。鹿沼市という職人たちの歴史ある街で、文化的なものに触れる機会が多いのでしょうか、皆さんが積極的に楽しんでいらっしゃいました。

 小川くんのイマジネーション溢れる曲は、こういうアートな空間によく似合うと思いました。私はまたもビーチボーイズの新アレンジ他、バラエティーに富んだレパートリーで応酬。実に気持ちよく演奏できました。
 唯一の心残りは、終演後の時間が押していて、民宿の門限のために打ち上げに参加できなかったことかな。

 

 4.3月26日(土)栃木 宇都宮・カーブ(with 小川倫生)

 翌日、小川くんの実家で、時間まで音楽談義。小川くんは私よりもいろんな音楽に造詣が深く、特にブライアン・ウィルソンのフォロワーたちについて多くの音源を聞かせていただき、大変美味しい耳の栄養になりました。小川くんのご両親もとてもおおらかな人たちで、初対面の私にもいろいろお世話をしていただきました。音楽だけでなくいろんなことを楽しんでいる、とてもステキな家庭だなあと感じました。

 その後、次の会場となる「カーブ」へ、また小川くんの車で向かいました。この素敵なお店の二階がイベント・スペース的になっていました。昨日の饗茶庵といい、本当に洒落た感じの良い場所でした。

[写真:お客一人、ではなくてリハ。開演時には超満員でした。]

 荷物を置いて、実は栃木県でのもう一つの楽しみであった「宇都宮のギョウザ」を食べに連れていってもらいしまた。二年前に一度小川くんとジョイントしたときは、時間がなくて果たせなかった憧れのギョウザ。二年越しの夢がついに実現。地元でも評判のお店らしく、そのおいしさは折り紙付き。意外にあっさりしていていくらでも食べられそうでした。定食に水ギョウザをつけてもそんなに高くなく、大満足。
 餃子の女神のお姿が、私にも見えました!

 本番。小川くんのプレイを三日連続で聴きましたが、三日とも素晴らしいパフォーマンスを堪能しました。この日はカントリーっぽい歌も歌ってくれたり、芸風も幅広いのです。
 もちろん私も燃えに燃えてプレイ。久しぶりに弦まで切ってしまいました。

 この日で小川くんとのジョイント・シリーズが無事終了。この日PAを担当してくれた近藤さん、お店の関係者の皆さん、そして小川くんとご両親に心から感謝いたします。

 

 5.3月27日(日)東京へ(空き日程1)

 本当はこの日、アレェクスェイ&裕美さんのライブが浅草で行われるので見に行くつもりだったのですが、いかんせんお昼からのライブという事で、朝起きたらもう時間的に間に合いそうにないので、断念してしまいました(新幹線を使えば良かったのでしょうが、なんたって行き帰りフェリーに乗るような人間ですから...)。栃木県と東京都の意外に遠い距離を改めて感じました。

 小川くんに駅まで送っていただき、そこから鈍行で一路東京へ。この日の宿となる南千住の安ホテルに、時間を合わせて行きました。
 空き日程をいかにマイペースでハッピーに過ごすことができるかが、良いツアーの秘訣だと思います。私は前に、横浜のギタリスト Sketch さんが小樽に来た際に、せっかく寿司の美味しい小樽に来ているのにファミレスに入ったりとか、あまりにもマイペースだったのが面白くて色々書きましたが、私も人のことは言えません。別段どこにも出歩かずに、ごろ寝して、大河ドラマ「義経」を見て(実は昔から「判官びいき」なのです)、洗濯して、お風呂入って、ビール飲んで、あっと言う間に一日が終わってしまいました。

 

 6.3月28日(月)東京にて(空き日程2)

 空き日程の二日目は、当初待ち合わせしていた人がいたのですが、所用でお会いできないようだったので、予定変更。次はTABに寄ろうとしましたが、あいにくTABも留守のようでした。ありゃりゃ。外は雨なので、ちょっとした公園で骨休めというわけにも行きません。
 こういう時の私の行動パターンは、以前にもご紹介しました。
 図書館に行くのです。

 以前はよくアイヌ語に関する調べものをしに行っていた、国会議事堂前の国立国会図書館に、久しぶりに寄ることにしました。ギターに大きな荷物まで抱えていたのでちょっと不安でしたが(警備員には私が怪しげなテロリストに見えたかも...)、大きめのロッカーに荷物を押し込み、ギターは受付で預かっていただき、堂々と入ってしまいました。
 私がよく来ていた頃(1994-95あたり)とは全然システムが変わっていて、まず入り口が別館からになっていました。入館には専用のIDカードを発行してもらうことになっていて、それは受付で簡単にできました。また、本の検索にはパソコンを利用できるようになっていて(以前は専用の端末しかなかった)、本の申込みも端末からできるようになっていました。もちろん、検索時間も大幅に短縮。いやあ、便利便利。

 以前から確かめたかった澤井トメノさんのテキスト集など、二三の調べものをして、それなりに充実したひととき。検索が必要ない辞書や百科事典などの開架図書コーナーにも寄ってハワイ語の語彙集を眺めているうちに、すっかり時間が経ってしまいました。

 夜は、明日お世話になる国分寺クラスタにて、吉村真奈美さんのラグタイム・ピアノ公開練習を鑑賞&録音。スコット・ジョプリンの曲で、練習の段階をすでに越えていました。こうしてラグタイムの人口がどんどん増えてくれるとうれしいなあ。

 

 7.3月29日(火)東京 国分寺・クラスタ(with 覆面シンガー)


 本州ツアーでは必ずお世話になっている国分寺のクラスタ。もう何度目のライブでしょうか。昨日も来ていたということもあり、こう言っては何ですが勝手知ったる我が家のようにリラックスして、実に楽しんで演奏できました。

 このお店での録音は、いい音で入ります。過去のライブ盤でも抜群の生音に仕上がっていました。ギターという楽器は、もともと市民会館みたいなだだっ広い場所で弾くものではないということが、こういう適正な規模の場所でやるとよくわかるのです。

 本当は私のソロ・ライブのはずだったのですが、あの覆面君も偶然東京に遊びに来ていたらしく、急遽ご出演いただきました。
 覆面君、髪伸びたね?

 

 8.3月30日(水)東京 新橋・レッドペッパー(Alexei Rumiantsev & Hiromi Rumiantseva のゲストとして)



左から長澤さん、浜田、アレェクスェイさん、
裕美さん、そして大矢さん。
 本日が東京の最後の予定。ロシア人ラグタイム・ピアニストのアレェクスェイさんと裕美さんのライブは、私も観客として楽しみに行く感覚です。3日前のライブは見に行けなかったので、この日は思う存分楽しませてもらいました。

 有名なラグから、全くどこで発見したのかわからないような超マニアックな曲まで、裕美さんのはつらつとしたヴォーカル、アレェクスェイさんの多彩なラグタイム・ピアノが冴えわたりました。私もゲストとして弾かせていただきましたが、共演するたびに人生最高の瞬間を更新している感じがしています。
 6月にはすでに彼らの北海道ツアーが決定していて、その予行演習という意味合いでも大変有意義でした。

 客席には、ずっと以前からお会いしたかった日本一のラグタイム研究家・大矢さんがいらっしゃり、さらに北海道札幌市からもラグタイム愛好家のグランドファーザー・長澤さんからいらっしゃり、気分は日本ラグタイムクラブの部会みたいな感じでした!

 楽しかったライブも終わり、私は急いで新宿へ行き、名古屋行きの夜行バスに飛び乗ったのでした。ああ、やはり避けられない深夜バス...私もいつかはグレードアップして、ここを何とか新幹線にしたいものです。

 

 9−1.3月31日(木)名古屋 愛・地球博の見学


リニアの万博八草駅。すでに行列。
 夜行バスを使った目的の一つは、もちろん「愛・地球博を見る」ためです。

 実は明日の4月1日は、当初フリーの予定だったので、明日ゆっくり万博を回るつもりだったのですが、急遽大阪ライブの日程が変更になったため、この日しか名古屋にいられなくなったのです。でも、是か非でも万博を見たい、もっと正確に言えば「ユカギル・マンモスが見たい!」という、ただそれだけのために万博に行くつもりだったのです。

 でも、行ったら行ったで、その他にもいろいろ珍しい体験をしてすっかり楽しんでしまいました。まずリニア・モーター・カー。羽田のモノレールとどこが違うのかよくわかりませんでしたが、実用化された日本初のリニアとあって、話の種として乗りました。

 ここからはしばし、万博レポートをいたしましょう。

 開場入り口は、時間前にも関わらず長蛇の列。まっすぐな行列を作れなくて、とぐろを巻いていました。この頃は、「客足が予想を下回っている」という噂があったのですが、全然そんなことありませんでした。

 ICチップの入った入場カードは、大人一枚4600円
 今の私には大金でしたが、全てはマンモスのため。

 かなり待たされて、やっと入場。
 会場をぐるりと一周する高架の通路を、チャリタクや写真の燃料電池電車などが行き交っていました。
 万博会場でも宝くじ販売中とは恐れ入りました。
 モリゾーとキッコロもびっくり。
 まずマンモスを見るための整理券をもらうのに二時間行列。次にもう一つのお目当てだった長久手日本館に入るのにまたまた二時間待ち。行列で時間がどんどん過ぎ去るのは、どこでも同じようですが、はっきり言って疲れました。

 長久手日本館は、竹籠が繭のように全体を取り囲んだユニークな造形。確かに興味深い展示もありましたが、一番の売りは360度のホログラムによる立体映像...。

 私は、個人的に視覚など人間の感覚を欺くような(いわゆるバーチャルな)テクノロジーに懐疑を抱く人間なので、自然への回帰を謳う万博でもそういう点での技術革新が強調されているように見えたのは、少し気になりました。

 ところ変わって、郷土の文化を紹介する会場のステージでは、地元の子供ギタリストたちがソルなどのクラシック曲を演奏していました。なんだか微笑ましかったです。

 がんばれ、渡辺兄弟

 万博のゴミ箱。これは笑いました。
 未来のゴミ箱は、分別も完璧を期さなければならないのです。

 切れたギターの弦はどれに入れるんでしょうかね?

 万博ご紹介の最後は、面白い展示の多かったエジプト館。もっといろいろ回りたかったのですが、行列の待ち時間が災いして、ほとんど回れませんでした。

 肝心のマンモスですが、またまた行列で待たされて、マンモスとまるで関係のないワイドスクリーンの映像を見させられて、ちょっとぐったり。
 やっと冷凍保存中のマンモスを見ることができたのですが、ベルトコンベアで強制移動させられるため、正味1分くらいしか間近に見ることができませんでした。おまけに写真撮影も禁止でした。トホホ。

 でも私は、技術ではどうごまかしようもない、自然の歴史を示す確かな証拠を、この目に焼き付けてきました。意外にも艶を帯びた象牙。毛の付いた額。まだ筋肉の付いているたくましい足。
 やっぱり来て良かったです。

 9−2.3月31日(木)名古屋・Jazz 40/30(Bob Milne のゲストとして)

 マンモスを見て、ふと気が付くと時間もどんどん過ぎ去ってしまい、まだ全然回れていない愛・地球博を後ろ髪を引かれる思いで後にしました。

 何と言っても今日のメイン・イベントは、本場アメリカのラグタイム・ピアニスト、ボブ・ミルンさんのライブなのですから。私と名古屋の日本ラグタイムクラブの室町さん・青木さんが企画した、ラグタイム・ファンにとって絶好の機会でした。

 初めてお世話になる Jazz 40/30 さんは、とてもアットホームな雰囲気で、くつろげる空間でした。
 私も前座として、クラシック・ラグ中心にプレイ。

名古屋が誇るウクレレ奏者の川合ケンさんも、オープニングに参加しました。何とウクレレでメイプル・リーフ・ラグを演奏! ギターでさえできる人が少ないのに、素晴らしいパフォーマンスでした。相変わらずスゴイ人です。
日本ラグタイムクラブの発起人で事務局の室町一攻さんのピアノ演奏。ちなみに、室町さんは私と共作ラグも作っています(CD『オリオン』の「キティー・ケークウォーク」と「道化師の夢」)。

こうして日本のラグタイム奏者が揃ってパフォーマンスする機会もなかなかないのです。感激!

順番は前後しますが、ボブ・ミルンさん、私、ギターの青木さん、川合さんのジャム・セッションもありました。楽しかった!

ついにボブ・ミルンさんのラグタイム演奏!

ボブさんはほとんど日本語を話せませんでしたが、同行したスティーブ・マイヤーさんが絶妙な通訳を織り交ぜながら、終始なごやかにステージが繰り広げられていきます。まさに夢のような時間でした。

それにしてもタフ! 音楽的にも懐が深い上に、いろんなスタイルの演奏を時にはラフに、時には繊細に、時にはあっさりと、時には粘り強く行い、しかもほとんど疲れ知らずで軽々とこなしていました。さすがラグタイム界のベテランです。

聴き手を楽しませるコツを知っているのでしょう。おかげで長時間の演奏なのに全く飽きるところがなく引き込まれていき、いつの間にか時が過ぎ去っていきました。

とても優しい人柄と、ラグタイム〜ブギウギ〜ストライドと超ノリノリで演奏していく姿に、素晴らしい円熟味を感じさせる真のミュージシャンを感じました。

アメリカでの共演歴もある太神楽のパフォーマンスまで楽しめました。

この夜の模様は、大矢さんのホームページにも詳しく紹介されていますので、どうぞご覧下さい。

http://www.pat.hi-ho.ne.jp/~giichi-oya/index.html

 

 10.4月1日(金)大阪 高槻・MAEDAコーヒー(with ROOTS)

 昨日の興奮さめやらぬまま、次の目的地の大阪へ。
 半年前と一緒の交通手段(近鉄)を使い、名古屋からゆっくりと大阪へ向かいました。
 MAEDAコーヒーは、大阪の井上楽器さんのご厚意により、紹介していただいた素敵な喫茶店。ROOTSの天満さん、平野さん、そして井本クンと再会し、しばし語り合いました。お忙しい中皆さんにご協力いただき、私は感激の嵐状態。店長の前田さんの大阪芸人風トークに爆笑しながら、いい雰囲気で本番を迎えました。

 初めてのお店にも関わらず、皆さんのおかげでイスが足りないほどの満員状態。私も久しぶりにROOTSの演奏が見たかったのですが、物理的に不可能でしたので、楽屋から聞き耳を立てて聴きました。初めて聴く曲も多く、ゆったりしながら癒されていく自分がいました。私もアイリッシュの編曲、やってみようかな...

 写真が残っていないのが残念ですが、私も思いきり楽しく演奏しました。お店の構造上、イスの配置が演奏者を取り囲む形で、お客さんとの距離も非常に近い。普通ならこんな近距離で四方八方から見られるのはすごく緊張してしまうことですが、私は逆に見られると燃えてしまうのです。たくさんの人の目を感じながら演奏できるなんて、ミュージシャン冥利に尽きるというもの。もちろん商売として当たり前なのですが、普段、ストリートで多くの通行人に無視され続けている私としては、なおさらそう感じるのかも知れません。CDもいっぱい買っていただき、舞い上がってしまいました。

 ライブも終わり、例によって楽しい飲み会へ。もうこの人たちとの飲み会はおもしろ過ぎです。お泊まりは天満さんの事務所をお貸しいただくことになり、私は大阪のライブでホテルの門限の恐怖から初めて解放されました。改めまして、天満さんのご厚意に感謝!

 

 11.4月2日(土)大阪 岡町・あーとらんど PIA(with 天満俊秀) NEW!!

次の場所は岡町のあーとらんど。また天満さんのご紹介で、素敵なスペースで演奏させていただきました。

元中華料理店だった場所を再利用して、町の文化活動に活用しているとのことで、威風堂々とした壁や天井の装飾からすでにアートでした。運営されている方々の気さくな雰囲気が伝わり、とてもリラックスして本番に望みました。

天満さんは、ユニットのROOTSとしての活動が有名ですが、もちろんギター・ソロ奏者としても素晴らしい人です。アイリッシュなどの編曲物の他に、オリジナルのブルース風の曲がクール。MCも楽しく、エンターテナーの一面が感じられました。

私もガンガン弾きまくりました。お客様の心地よい反応は、壁の後ろのタイトル「たのしいラグタイムギターコンサート開催」にふさわしいものでした。

終了後は、スタッフの皆さんとたのしい飲み会。こういうアットホームな人たちと知り合えて、ツアーをやってよかったと心から思いました。天満さんはじめ、大阪でお世話になった皆さん、どうもありがとうございます!

 

 12.4月3日(日)岡山・奉還町りぶら(with 湯淺佑一、masaki & kazuko) NEW!!

春のツアー、最後は岡山まで行きました。いつもお世話になっている masaki μさんに企画していただき、奉還町の貸しスペースでの演奏となりました。

トップはmasakiさん、そして奥さんのkazukoさんとのユニット。masakiさんのギターを聴くと、その独特の存在感と、時間の使い方の巧みさに唸ってしまいます。岡山のギター界は、masakiさん抜きには語れません。

噂には聞いていたものの、初めて湯淺クンの演奏を目の当たりにして、その楽曲の完成度の高さに驚きました。masakiさんのページによると「2003年モーリスのコンテストで楽曲賞を受賞。2004年には同コンテストで3名での決勝の上の準優勝」とのことで、さもありなん、と思いました。

日本のフィンガースタイル・ギター界の未来は明るい!

トリは私が務めさせていただきました。

独特の雰囲気を醸し出す照明に包まれて、お客様の反応を見ながらレパートリーを変えていきます。この日のライブは珍しく「投げ銭」方式だったため、どんな曲をやったら皆さんが喜んでくれるか、その場で判断していきました。これは、ストリートをやっている私のくせで、功罪相半ばと言うところでしょうか。ともあれ、無事最後を締めくくりました。

帰りの時間が迫っていたので、終了後はあまりゆっくりもできず、最後はmasakiさん(&ジュンくん)と軽く打ち上げをして帰りました。さらば岡山、また来る日まで!

 

 13.4月4日(月)フェリーで帰還

 岡山のライブが終わり、その日のうちに新幹線で大阪まで戻り、そこから電車で東舞鶴までという経路をたどりました。いつもなら大阪→舞鶴は高速バスを使うところですが、時間が既に過ぎていたのです。偶然にも東舞鶴方向の電車に乗ったあたりで、大阪環状線で人身事故が発生したらしく、予定から大幅に遅れてしまいましたが、何とか無事到着。東舞鶴では雨が降っていたため、近くの方々とタクシーを相乗りしてターミナルに到着。

 旅は、もう少し時間を掛けてゆっくり楽しみたいものですが、一度フェリーに乗ってしまうと、早く帰ることばかり考えてしまいます。私にとって故郷の小樽は、「遠くにありて思うもの」ではないんだなあ、といつも思います。

 ツアー終了からまた時間が経過してしまいましたが、何とか執筆を終わることができました。改めまして、お世話になった方々や私のライブをご覧いただいたお客様方に心から感謝したいと思います。次回のツアーは11月と12月の二本立てです。またよろしくお願いいたします。(完)

 

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