6.マーチン CF. Martin

 別に外国製のギターにコンプレックスがあるわけではないが、なぜか今までの私のギター人生では、外国製ギターは重要なポジションにつかなかった。現在所有しているギターの中で、外国製はマーチンM−38一本のみである。
 
 過去、私はいくつかの外国産ギターを購入している。マーチンの他にもギルドモスマンなどを購入したが、なぜか私の愛器として定着することはなかった。やはり私は「ギター国粋主義者」なのだろうか。そもそも、私はそんなによいギターを探し当てる耳がないようなのだ。
 話は変わるが、私は味覚もそんなに鋭くない。料理もレバーとネギ以外はえり好み無く、比較的まずいものでもうまそうに食べているらしく、母親にたいそう喜ばれていた。食は全ての人間の基本であるから、私は「そこそこに食べられればいいじゃん」という感じで生きてきた、いい加減な男なのかも知れない。まあ、味にこだわりすぎて煙たがられるよりはいいかなあ。振り返って考えれば、ギターの音も、こだわろうと思えば果てしない点では、料理の味と大差ないのかも知れない。
 

M−38

表面板:スプルース単板
側板・背面板:ローズウッド単板
指板:ローズウッド
ネック:マホガニー
 
使用アルバム:「海猫飛翔曲」
 
 Mタイプのギターというところがとってもマニアック(現在は「OOOO」という型番になっている)。私には、どうもこのMタイプの存在意義はよくわからない。Fタイプのボディーシェイプの再現など、成り立ちはわかるのだが、それでもトリプルオーやOMと差別化されている意義がよくわからないのだ。
 
 このギター、実は知り合いから譲り受けたものである。音は最高によく、安定感のある野太い音だ。さすがマーチンである。このギターが縁で、昔のマーチンクラブの会報で自分のことを紹介していただいたこともある。
 一度だけ、ツアーに持っていったことがあるが(2000年、トム・ロングさん・打田さんとのジョイント)、私のラグタイム・ギター・スタイルだと中低音のボリュームがありすぎて、PAでの調整が必要だったようだ。
 しかし実際、今まで数曲の録音に使用した他は、どうにも出番がない。ヤマハで弾き慣れてしまっていて、このギターはそれに比べると指板が平べったくて、弾きづらいというのが正直なところだ。まあ、機会があれば録音に使いたい。
 
 

D−18ST(現在は無し)

表面板:スプルース単板
側板・背面板:マホガニー単板
指板:ローズウッド
ネック:マホガニー
その他:サンバースト仕様
 
使用アルバム:「最後のペンギン」
 
 大学入学とほぼ同時期(?)、小樽市の老舗の楽器店で購入した、生涯二台目のギター。それまでがヤマハのFG−250だったから、大幅なグレードアップだった。もちろん私も出資したが、むしろ親から多大な支援をいただいて「買ってもらった」唯一のギターである。「初心者だからこそ、いいギターを持たないと上達しないよ」と、楽器店おきまりの誘い文句に乗った形だったが、当時はやっとバレーコードができるようになったくらいの腕前で、「豚に真珠」状態だった。
 
 このD−18STは、派手な印象を極力排除しているマーチンには珍しい、サンバースト仕様のギター(ただし、後からペイントした可能性あり)で、よいギターだった。特にコードの鳴りが抜群によかった。以前の持ち主がピエゾ・ピックアップを付けていて、学生時代はそのありがたみがわからなかったが、今考えれば実に使えるギターだった。
 いつまでも「豚に真珠」ではくやしいので、私はこのギターで、大学時代の4年をかけて練習しまくった。現在の自分の基本的なプレイ・スタイルは、このギターによって創られたものだと思う
 
 ただ、フィンガースタイルで弾くのにドレッド・ノートのギターは似合わないのでは、という先入観が当時からあった。京都の通販店「プー横町」から紹介されるフィンガースタイル・ギタリストで、Dタイプのギターを持つ人など、マイケル・ヘッジス以外ほとんどいなかったはずだ。
 その後フィールズを買ってしまったためメイン・ギターの座はそちらに移行し、とうとう会社員時代に、別のギターを手に入れるため下取りに出してしまった。これは、今でももったいなかったと思う。
 
(写真は、まだ大学生、22歳の頃、今は無き札幌「キツネハウス」でのライブ。)

 

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