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Studio Live Recordings 2000.11/橋本洋輔トリオ(Yugen-005、2000年)

 新世紀最初に書かせていただくレビューは、私と同じく小樽在住のギタリスト&シンガー・ソング・ライター、橋本洋輔さん率いるトリオの7曲入り自主制作CD(CD−R)です。すでにこの他に3枚のCD「プライマリー・シーン」「コントラスト・イン・ループス」「ネバー・モア e.p.」を制作している実力派です。以前に何度かお会いしたことはありましたが、本格的にアルバムを聴いたのはこれが最初でした。

 グループ名だけ見るとジャズみたいですが、そうではありません。シンガーソングライターと言うのは誤解があるかと思うくらい、ここでの橋本さんの音楽はひたすらかっこいいロックそのものです。曲目はおそらく過去3作の中からの曲が中心になっているようですが、私の敬愛するファンクミュージックの鬼才キザイヤ・ジョーンズも思わせる、タイトで生のグルーブ感が心地よいです。
 特に代表曲と思われる「Never More」や「Nowadays」は、不思議に脳裏に残るものを持っています。エネルギーのある倦怠感とでも言いましょうか、私のつたないボキャブラリーではうまく表現できない何か突き抜けたものなのです。橋本さんの、安易な妥協や調和を拒んだクールな歌詞と、スマートな歌いっぷり。その音楽世界の中核で、橋本さんのエレキ・ギターのソロ、カッティングやハウリング・フレーズが、独特のソリッド感を演出しています。

 注目したいのは、トリオによるライブ・レコーディング(もちろん一発録音)という演奏形態が、やはりジャズまたはブログレッシブ・ロックの雰囲気を醸し出している点です。ドラムとベースの方々も、その辺の盛り上げ方がすでにただ者ではなく、クリムゾンやクリームのような洗練されたインプロの世界も堪能できます。もっとインスト曲も聴いてみたくなりました。2000年末の小樽「あじや」年末オムニバス・ライブで実際に聴いた演奏でも、(ドラムはコンガに変わっていましたが)素晴らしいパフォーマンスが楽しめて、大晦日の一番の収穫でした。

 今度はぜひフルアルバムで、より深い聴き方をしてみたくなってしまう、そんな魅力のある音楽でした。これほど実力のあるミュージシャンが、私と同じ小樽に住んでいるというのはとてもうれしく、心強いことです。

 

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