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★ ヤポニカ/亀工房(KAME-KOBO MUSIC KKB-003、2006年)
http://www7.ocn.ne.jp/~kamekobo/

1.ふるさと / 2.あんたがたどこさ / 3.みかんの花咲く丘 / 4.やしの実 / 5.じんじん / 6.かえるの歌 / 7.七つの子 / 8.小さい秋みつけた / 9.ずいずいずっころばし / 10.紅葉 / 11.たき火 / 12.とおりゃんせ / 13.冬景色

 

 デビューCD『マイ・タートル・イマジネーション』(2001)、セカンドCD『ジャーニー』(2003)と順調にその歩みを進めてきた、ハンマーダルシマーとギターの音楽ユニット・亀工房が、この三枚目となる『ヤポニカ』(2006)で、何と日本の童謡や唱歌のアレンジを手がけました。

 子供の頃に親しんだ、日本人の心のメロディーを題材に、夫婦デュオならではの息のぴったり合った弦楽器の音色が響きます。このきらめくような美しい音楽、聴いているだけで自然と涙が出てくる人もいるのではないでしょうか。
 最初の「ふるさと」から最後の「冬景色」まで、CD裏ジャケットの素朴な絵のように、巡る季節のイメージが音楽で綴られていきます。その懐かしいイメージは、彼らの本拠地である長野県高遠の自然豊かな風景とも繋がっているようです。
 合間に挿入される数曲のわらべ歌での、自由奔放な「音遊び」を聴くと、彼らが子供の頃の心に戻って演奏している様が目に浮かびます。

 もう言うまでもありませんが、彼らの演奏は、巷にあふれるお手軽な「名曲集」のレベルとは全く異なるものです。
 彼らの編曲や演奏の細かい妙技はもちろん聞き所ですが、しかしただ上手いというだけではなく、実力のある音楽家が陥りやすい「マニアックな作り込み」を避けるセンスの良さが光っています。例えば妙に凝ったコードを使ったり、やたらに必要ないあやを付けたりせずに、元の素朴なメロディーの魅力を最大限に生かした、自然かつ効果的なサウンドを聴くことができます。
 これは、演奏者の都合よりもまず聴き手のことを思いやれるような心境だからこそ生まれる姿勢であり、だからこそ彼らのアルバムは何度繰り返し聴いても心地よいのだと思います。

 テーマ、構成、その他いろんな意味で、この作品集は「コンセプト・アルバム」としても楽しめるでしょう。
 彼らの音楽に、また一つ素晴らしい作品が加わりました。

 

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