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【む】

むずかしい【難しい】[形容詞]
 @成し遂げるのが困難である。演奏家は、演奏の難しい曲を克服することを無上の喜びと感じるものだが、専業作曲家や編曲家にとってそんな事はどうでもいい苦労である。指示した通りに弾けない奴が悪い。まだまだ演奏家の地位は低いのである。
 A難解な。理解するのが困難である。芸術家にとって、この語が客の口から出てきたらしめたもの。常識では、もっと親切丁寧に、わかりやすくまとめなければいけないのだが、そこを難解なまま押し通してこそ新しい未来が開ける。芸術とはある種の挑戦であり、理想と現実の間でさまよう妥協の軌跡であってはならない。そのためほとんどの芸術家は、なるのも大変だし、なった後も大変だし、あらゆる意味で困難を極めた気むずかしい人生を送るのが普通だ。人に好かれる人間になりたいのなら、芸術家になることはあまりお勧めできない。→芸術性。

むっく【ムック】[名詞]
 「book 本」と「magazine 雑誌」の合成語(mook)。厳密に言えば雑誌でも本でもない、しかし曖昧に言えば雑誌でもあるし本でもあるという、非常に定義の難しい媒体。特にメディアによく取り上げられるジャンル、例えば音楽やスポーツ関係のムックが多いのはご存じの通り。この「mook」という語は和製英語らしく、英和辞典にはまるで載っていない。ネットで調査すると、むしろ変な意味の俗語が検索にヒットした。日本人の英語力の高さは確かに称賛に値すると思うが、母語話者にすら通じない英語を作ってどうすんの。

むてき【無敵】[名詞](補遺)
 敵になる者がいないほど強いこと。例:「無敵艦隊」。無敵は、軍事バランスが一方的に安定している状態なので、戦史的にはイマイチ盛り上がりに欠ける。転じて、音楽評論家の一部は、この語を「抜群」「絶好調」と同じ意味で使うことがある。例:「無敵のツアー」。同様の気持ちから、必ず人を殺すという意味の「必殺」という名詞を「決定的」のような意味で使うこともある。例:「必殺のアルバム」。気持ちはよく分かるが、やはりオーバーな表現である。音楽愛好家にとって、音楽は戦いでも殺人でもないことは言うまでもない。まあ、売れ線狙いのミュージシャンにとってはその限りではないかも知れないが。

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