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【り】

りーどがっき【リード楽器】[名詞]
 @リード(reed)と呼ばれる板を空気で振動させて音を出す楽器の総称。音の発生源に注目した分類のため、楽器の外観や操作する部品に注目した分類(「管楽器」や「鍵盤楽器」など)とかみ合わない。ピアノを弦楽器と呼ぶが如し。学者さんは分類が得意なのだから、もっと気合いを入れてきちんと分類してくれないと困る。木管楽器の一部、ハーモニカや笙、アコーディオンやバンドネオンなどもリード楽器。あのお気楽なカズーをこれに入れるのは、どうも気が進まない。
 A和製英語的な使い方で、ソロを取るような主要楽器のことを言う(「lead 率先する、リードする」)。今の音楽の典型的なリード楽器は、女性ボーカリストの裏声や鼻声である。

りくえすと【リクエスト】[名詞](補遺)
 英語の「request 願い、要請」。音楽においては、聴き手が聴きたい曲を聴かせてくれるように音楽の提供者に要請することを指す。音楽家には、リクエストを可能な限り受けるのが仕事である流しのような人もいるし、どんなに頼まれても決してリクエストを受け付けないことを自らのプライドの根幹としている意固地な人もいる。場合によっても人によっても異なるが、どちらかと言えば、私は後者の種類の音楽家である。せっかくいい気分で自作曲を演奏していても、お客様の聞きたいのはやっぱり禁じられた遊び。何と、演奏している真っ最中にリクエストしてくる無礼者もいる。知らない曲なんて1秒だって聴いていられないのだ。私は現在、禁じられた遊びを文字通り禁じ手として封印している。ひどい拷問、またはスゴイ色仕掛けでも受けない限り、もう一生弾くことはあるまい。→ナツメロ。

りすぺくと【リスペクト】[名詞]
 英語の「respect 尊敬」。日本においては、あるアーティストが別の実力派アーティストに敬意を表するのに良く用いられる。例:「私、あの○×さんをリスペクトしてます」。まったく普通の日本語である「尊敬」より字数の多い英語をわざわざ使用するのには、それなりの理由があると思う。推測してみよう。/1.英語を使うことによって、何となく洋行帰りのような粋な感じを演出する。または実際に洋行帰りで、言語中枢が日本語に切り替わっていない。/2.英語には「関心を払う」「一目置く」というニュアンスもあり、その簡単なニュアンスを日本語でうまく表現できない人が仕方なく使う。/3.実は大して尊敬していないのに「尊敬」と率直に言うのが恥ずかしいため、わけのわからない英語でお茶を濁す。まあ、理由はどうあれ、この言葉を用いる輩はただのカッコツケだと私はサスペクト(疑う)している。

りずむかん【リズム感】[名詞]
 英語「rhythm リズム(拍)」の感覚だが、この言葉はただ頭で感じることではなく、実際にそのリズムを叩き出すことを指すことが多い。わかっちゃいるけど何か合わない・合わせられないのがリズムの難しいところ。特にギターの独奏者は、合わせる基準となる伴奏リズムを自分で作らなければならない。演奏の難易度によっては一定のテンポが維持できずに、速くなったり遅くなったり詰まったりと、リズム感はかなり怪しい。とりあえず拍が合ってることにして聴いていかないと、曲が先に進まない。要するに「ギタリストはリズム感が悪い」というのが定説だが、高校・大学のバンドメンバー勧誘の際には話が逆転することがある。どういうことかというと、ギタリスト志望の新入部員が、部長からドラムスをやってみないかと誘われるとき、「ギター弾きはリズム感もいいんだよ」「元ギタリストだったドラマーは多いんだよ」などと口説かれるのである。実際は、安易なギタリスト志望者が多すぎるのを憂慮した部長のバランス感覚が働いたセリフに過ぎないが、これでコロッとだまされる青年もいる。なるほど、元ギタリストのドラマーが多いわけだ。

りは【リハ】[名詞]
 英語「リハーサル rehearsal」の略語で、催し物の予行演習のこと。音楽の分野であれば多くの場合、事前の「音出し」を指す。開演の数時間前にサッと行っておくものだが、ものの30秒で終わる私のようなズボラな人もいれば、持ち込み機材が多すぎて混乱し、足に絡まったコードをほどく作業だけで30分かかってしまう人もいて、その使用時間は人によってまちまちである。一般のライブハウスでは、ここでアーティストから無理難題をふっかけられることのないように、必要以上にそっけない態度をとる場合もあるので、ささやかな希望が実現するまで時間いっぱい粘る、あきらめの悪いアーティストが多い。なお、リハをせずにいきなり出演することを「ぶっつけ本番」というが、これをしたがる面倒くさがり屋もやっぱり音にはうるさいので、PA担当者はいい迷惑である。

りばーぶ【リバーブ】[名詞]
 残響音、また残響音を付加する装置のこと。昔はエコーと言ったが、アナログ時代のエコーとデジタル時代のリバーブとは性能に大きな隔たりがある。確かに機械の進歩に伴い、昔からはまったく信じられないくらいに超高性能となった。しかし、下手くそな歌や演奏、劣悪な録音場所をお手軽に美化するという、よこしまな目的だけは全く変わっていない。一部の良心的なライブハウスのPAは、歌手が過大なリバーブを要求したらイエローカードを出すことがある。

りふ【リフ】[名詞]
 英語の「riff」。曲の伴奏として、反復する短いフレーズのこと。リフを中核として曲を作る方法が、特にブルースやロック音楽によく見られる。もちろん名高いリフはいっぱいあるが、どんなくだらないリフでも、シツコク繰り返すことで市民権を得ることがある。これは、TVにおけるタレントの認知度と、ある意味で共通している。つまり、流行文化の多くは、技術的な成熟はあまり問題ではなく、露骨に繰り返すことで生ずる催眠状態の中で生み出されるということだ。どんなものでも、流行らせたかったら繰り返すこと。

りべんじ【リベンジ】[名詞]
 英語の「revenge 仕返し、復讐」。近年、格闘技の世界から転じて誤用され始めた外来語で、雪辱戦(リターンマッチ)の他に名誉挽回のための戦いをも意味する。例えば、ミスばかりしているアマチュアバンドが「リベンジだ!」と言って難曲に再度トライして、再び撃沈したりする。また、以前全く客を呼べなかったお店で「リベンジだ!」と言って二回目のライブを行い、結局まるでダメだったりする。こういう場合、軽くメシを抜いたりするなど、知名度のない自分自身に復讐を考えたくなってくる。ともかく、この刺激の強い語は、外国で使うと無用な誤解を招くだろうから注意したい。リベンジのための人生なんて、心が小さいぜ。

りゆう【理由】[名詞]
 @何かの原因。訳。例:「秋田に美人が多い理由を考えてみよう」/答え:「水がおいしいから?」「米がうまいから?」「いや、ブスが少ないから」。
 A動機や目的。ミュージシャンに彼らの行為の理由を尋ねると、大抵は「理由なんてネーヨ」「やりたいからやってんだヨ」と暴走族みたいなことを言われることがある。言い方や口調に違いはあっても、ミュージシャンであればその主旨はほぼ同じになるのが不思議だ。それは、多分質問が悪いと思うのだが、答え方も悪い。理由(A)においては、世襲やその他のなりゆきで何となくとか、金が絡んでるなどという以外、誰にだって大した理由はない。もしくはまったく反対に、いっぱいありすぎて一口で話せない。この場合、理由はとりあえず最も単純な@の意味において答えるべきである。例:「キミはなぜ歌を唄ってるの?」/答え:「歌がうまいから」。つまり、暴走族的な理由が必要となるのは、主に下手にも関わらず唄う人である。なお、理由(A)には、本音と建て前(言い訳、口実)がある。これは明確に区別されなければならない。例:「アメリカはなぜ戦争したのか?」/答え:「イラクの大量破壊兵器の脅威を無くするためだ」。今のところ、その肝心の兵器が見つからない(平成16年3月現在)。つまりこの理由、本音だったとしたら戦争犯罪になりそうなので、建て前と言わざるを得ない。ミュージシャンは、この本音と建て前が比較的わかりやすい人たちだ。彼らの平和主義・博愛主義に、実は商売上の都合という真の理由があることは「ピース」の項で述べたが、うすうす感づいていても口に出さないのがファンのつとめ。ほんのささやかな希望を買うのに、こっちにはどうでもいい理由なんて考えるのはよそうってこと。

りゅうこうか【流行歌】[名詞]
 流行っている(いた)歌。→歌。

りん【凛】[形容動詞](補遺)
 「凛と(して)」の形で用いられる。『大辞林 第二版』によると、「(1)態度や姿などがりりしくひきしまっているさま。(2)声や音がよく響くさま。(3)寒気のきびしいさま。」とある。鈴や電話が鳴るような金属の擬音「リンリン」から来ているようにも思えるのだが、かなり実体のない謎の語。同じ擬態語の「キリッと」「キリリと」「シャキッと」「ビシッと」などとの差異は不明。最近は、ちょっとまじめな全てのものが凛としつつある。

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