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【ろ】

ろーでぃー【ローディー】[名詞]
 ミュージシャンの荷物運びに雇われた人のことで、業界用語で「ボーヤ」とも言うらしい。一昔前は「バンド・ボーイ」と言われていて、私の世代にはこちらの方が言葉としてなじみがある。別にマスコット・ガールと似たような意味ではなくて、ホテルの「ボーイさん」のような感覚だったろうか。また、ボーイとかボーヤとか言っても、男性とは限らないらしい。未詳だが、ローディーはどうやら「load 荷」から作られた俗語英語らしく、なかなか普通の英和辞典には登場しない。ちなみにネット検索では、英語のページに俗語で次の定義がひっかかった。「loadie = persistent drug user ヤクに溺れた人」。さすがにヤク中では仕事にならない。ローディーは、単に荷物運びだけではなく、様々な裏方さんとしての作業をやってくれるらしい。「らしい」「らしい」ばっかりで恐縮だが、私はローディーとは縁がないので、知らないものは仕方がない。ツアーでカプセルホテル巡りをするような零細芸人は、自分の荷物くらい自分で持たなければいけない。私の知り合いのギタリストには、一人で4本のギターを担いでツアーに行く人もいる。人間は意外と力持ちなので、体調が良ければ、多分もう1本くらいは大丈夫だろう。

ろっく【ロック】[名詞]
 ロック音楽。基本的にはエレキ・ギターを中心にしたバンド編成を特徴とする軽音楽(現在のカントリーもほとんど同じ)。日本ではグループサウンズ(GS)と呼ばれていた時期もある。昔は若者の音楽だったが、現在はむしろご年輩の方が好むもので、初期のロック愛好者にはそろそろ介護が必要になってきている。広義にはリズム・アンド・ブルースから分化したロックンロールも包括するが、狭義には、踊るのが恥ずかしくなってきて「roll 転げ回る」を取り払った、芸術気取りの音楽を指す。最初期のロック・バンドにはベンチャーズらが挙げられるが、やはりビートルズがそのはしりだとも言える。その岩のように固そうな名前の印象とは逆に、様々な音楽を柔軟に取り入れて多くのスタイルに分化した。いきなりだが、この音楽はすでに死んでいるという。その死亡時期については諸説あり、バディー・ホリーが死んだとき(1959年)が最も早い(まだビートルズもデビュー前なのに)。他にもヘルス・エンジェルズの黒人刺殺事件(1968年)、ビートルズの解散(1970年)、ザ・バンドの「ラスト・ワルツ」(1976年)、ジョン・レノンの暗殺(1980年)、ロシアのロック・ミュージシャン、ヴィクトル・ツォイの死(1990年)など、全部本当ならロックは常に死に続けていることになる。これらは、強い影響力を持っていたアーティストの活動停止時期とだいたい一致する。つまり、あのローリング・ストーンズやキンクスが解散しなければ、とりあえず死を免れていると見る人も多い。しかし私が思うに、どんな若者の音楽も、踊れなくなるといつか死ぬ。roll を取った時点で、すでに rock の死は決まっていたのかも知れない。

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