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【る】

るーとおん【ルート音】[名詞]
 英語の「root」で、和音の基礎になる音、つまり根音のこと。単にルートとも言う。ルートがわからないとベーシストは務まらない。逆に言えば、ベーシストはルートとホンのちょっとの経過音さえ弾いていればよい。バカ正直にルートを弾きたくないとか、延々とアドリブ・ソロを取りたいとかという、ちょっとハジけたベーシストは、バンドの役割分担がわかっていない。今からでも遅くないからギタリストに転向した方がいい。

るしあー【ルシアー】[名詞]
 フランス語の「lutherie 弦楽器商」から転じて、現在では特に「手工弦楽器製作者」のような意味で使われているらしい。英和辞典にすら載っていないような言葉だから、意味がわからなくても全然気にすることはない。誰が最初に言い出したか知らないが、カッコつけた物言いがミュージシャンの専売特許ではないことがこの一語でわかる。ちなみに、職業を表す言葉は、コピーライター、ハウスマヌカン、フラワーコーディネーター、エステティシャンなどの例でも明らかな通り、解説されないと分からない言葉を使うことで高級感を出す傾向がある。

るび【ルビ】[名詞]
 イギリス英語の「ruby」。漢字に振る小さな読み仮名は、日本の文学にとって宝石のルビーと同じくらい大事であると言う意味で、イギリス人は東洋文化にも詳しかったのだろう(もちろんウソなので信じないように)。この豆粒のような活字は、難漢字への読み仮名付加という本来の目的を大きく逸脱し、出来の悪い詩や小説やマンガに振りかける魔法のゴマとして実に多用される。ルビにまで込められた詩人の技術や魂なんて、朗読や詩吟や歌謡という行為の前では全く無に等しい。博学家たる文学者にはルビは本来不要なのだが、無知蒙昧な大衆どもに自分の知識と文学センスをひけらかしたい俗物たちは、わざとわかりにくい漢字や言い回しを使って、テクニカル・ターム(専門用語)の裏解説をしたり、隠語の裏解説をしたり、なじみ口調の裏解説をしたり、ストーリーの裏解説をしたり、代名詞の裏解説をしたり、とにかく勝手に裏解説をしたりするのである。こんな感じで(なんかバカみたいだね)
(編注:電子出版本ではルビで表現していました。以下同様)。彼らの博学のおかげで、例えば現在の流行歌の一部は、同じ日本国民の歌でありながら、歌詞カードから目を離すとまるで意味が通らなかったりする(これはルビのせいばかりではないが)。歌詞、文学なども含め、ここ数十年で最も優れたルビ表現の傑作を挙げるならば、「季節(とき)」とか、「宇宙(そら)」などという歌謡曲のものではなく、私は自信を持って次の言葉を挙げるだろう。「射精(で)る!」。成年コミックでよく使われるこの語は、ルビ中毒症にかかった愚かな作家たちの恐るべき文学センスを最も象徴的に表している。参考:→カタカナ語(A)。

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