CDとLPの比較(2011年6月2日更新)

mixi日記にて(今更ながら)検討している、昔のCDとLPの音質比較。

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はじめに

 最近、私はソニーのウォークマン「NW-A857」を購入して、昔のLPをデジタル化したものを入れて聴いています。
 このウォークマンは容量が64GBあるので、以前からやってみたかった「ロスレス圧縮」(圧縮していないwavデータの情報を損なうことなく、データ量を半分くらい圧縮すること)でもたくさんのアルバムが入るため、LPを44.1kHz+16bitのCD音質で聴くことができるのです。
 そこで多くのLPを聴いて、改めて感じたのは、「レコードの音っていいなあ〜」ということでした。

 それに比べて、昔のCDをリッピングして、同じようにロスレス圧縮したものをこのウォークマンで聞くと、確かに音は綺麗なのですが、LPの伸びやかで臨場感のあるサウンドに比べて、なんだか物足りない音に感じます。話には聞いていましたが、1980年代くらいのCD黎明期には、マスタリング技術がまだ発達していなくて、あまりいい音ではないということが言われています。
 今更といわれそうですが、どうせやるならできる限りきちんと比較してみたいと思い、ここに備忘録もかねて記すものです。

 

比較対象/機材

CD:『バイオグラフ/ボブ・ディラン』(1985)のCD1枚目・1曲目「Lay Lady Lay」
 1.ウィンドウズPCでリッピングしたデジタルデータ
 2.プリメインアンプのREC OUT端子から出力したアナログ信号をUSBインターフェースで取り込んだデータ

LP:『グレーテストヒッツ第II集/ボブ・ディラン』(1971)のLP1枚目・A面3曲目「Lay Lady Lay」
 3.プリメインアンプのREC OUT端子から出力したアナログ信号をUSBインターフェースで取り込んだデータ

機材:
プリメインアンプ:マランツ PM-80a
レコードプレーヤー:ケンウッド KP-7010
MCカートリッジ:オーディオテクニカ AT33ML/OCC
USBインターフェース:タスカム US-122mkII
録音ソフト:Cubase LE5
スペクトラムアナライザー:Blue Cat's FreqAnalyst

アナログ信号を取り込むときの形式は、44.1kHz/24bitで、それをウォークマンで聴けるように16bitに変換して保存しています。

 

波形の比較(全曲聴いたときのピーク波形)

  1.CD(ウィンドウズPCでリッピング) 2.CD(アナログ信号を取り込み) 3.LP(アナログ信号を取り込み)
 全 体
 高 音
 中 音
 低 音

 

感想

1.まず、CDをリッピングしたものと、アナログ出力を取り込んだものの波形比較では、もちろん完全に同じではありませんが、目立った違いは見当たりませんでした。ある意味当然かもしれませんが、プリメインアンプの性能が高かったり低かったりすることによる違いが、今回の比較の妨げにはあまりならないということは確認できると思います。

2.一方、LPとの比較では、まず第一に、LPでは20kHz以上でも波形が維持されていて、CDでは20kHz以上がガックリ落ちていることが大きな違いです。
 サンプリング周波数44.1kHzでは、実質的に20kHzまでしか音として有効な波形にならないらしいのですが、ともかく理論上限まで信号が出ています。

3.また、波形そのものの振幅の仕方もかなり違っています。
 特に中音域では、LPの方が周波数毎の音量の起伏が激しく、また細かく変化しているように見えます。
 左右チャンネルのバランスも違います。

4.20Hz周辺の低音も、カーブが全然違います。
 聴感上の印象と同じく、音圧の違いが反映されているように感じます。

ここで結論のようなものは出しませんが、私としては、LPの方が心地よい音に感じたのは確かです。
ただし、ウォークマンのヘッドホン出力の仕様は「20Hz〜20kHz」なので、CDの音が20kHz以上でガックリ落ちていることが要因とは考えにくいです。
比較の対象が、リマスター以前の古いCD音源だということが、かなり大きい要因だと思っています。
時間があれば、他の音源でも同じように比較してみたいです。

 

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