★ CD『イイネ!』 Iine (Like)! [OTR-037] (2014) ¥2,500(税込) Tweet
PayPalでのウェブ決済に対応しました。
PayPal以外の送金方法でご注文される場合はここをクリック[曲目] * 30秒間のデモ(MP3ファイル)
1. 言葉の歌 (2011)
2. クラス会の歌 (2003)
3. ウソをついてる (2010)
4. イイネの歌 (2013)
5. 最後のウサギ (1990)
6. ちょっとした旅 (1996)
7. 悲しい人生の歌 (2011)
8. ミナ ヤン (2014)
9. 間奏曲(ギターデュオ) (2014)
10. 弁当ブルース (1997)
11. ふるさと困窮歌 (2008)
12. 浮世離れのジョー (1997-98)
13. あなたの知らない世界 (2012)
14. プハプハ (1999)
15. 私は下手くそ(ギターソロ) (2014)
16. 口内炎ブルース (2002)
17. 旅は最高 (2014)
18. 小さいテレビの歌 (2011)
19. レム睡眠の歌 (2014)「キミの心に何かが、残っていればイイネ!」
2011年の『歌ばっか』以来3年ぶりの歌ものアルバム。 (全63分)
今回は、前作と打って変わって、軽快なギター弾き語り中心のアルバムです。
2011年度『北国の詩』歌謡詩作詩コンクールJポップ部門優秀作詩賞を受賞した「言葉の歌」を含む全19曲。
(J ポップじゃないんですけどね...)
自分のライブでやっているときとまったく同じフィンガースタイルのギターにこだわりました。
そのため、歌モノといっても、ギターファンにもアピールしたいと思います。
恒例のアイヌ語の歌も一曲(「ミナ ヤン」)唄っています。
各曲にサンプル音源を上げました。
どうぞよろしくお願いします!
【曲目解説】:
CD「イイネ!」には、過去の歌モノCDと同じく、歌詞カードを記したブックレットが付きますが、何せ全19曲ですから、作品解説というかコメントを書くスペースがありません。そこで、この場をお借りして一曲ずつ書いてみたいと思います。
★1. 言葉の歌
2011年、ご縁があって軽い気持ちで応募した、北海道作詩家協会の『北国の詩』歌謡詩作詩コンクールにおいて、Jポップ部門優秀作詩賞を受賞しました(私の唯一のコンテスト受賞歴です)。
当時は歌詞だけしかありませんでした。この他に「頑張らない歌」「張碓の歌」も作って、計3つの歌詞で応募しました。
趣旨が「北海道ならではの歌」とのことだったようで、私としては「張碓の歌」の方がお眼鏡に掛かるかも、と思っていたのですが、結果として北海道と何も関係のない「言葉の歌」が選ばれました。作詞家のことを軽んじるメロディー偏重の音楽家があまりにも多くて、そういう風潮に対する自分の考えを素直に綴ったのが良かったんだろうと思います。
最優秀賞だったら、プロの作曲家が曲をつけてくれたはずなのですが、それには届かず、これは自分でやれよという神の啓示だと思い、のちにメロディーを付けて完成させました。
★2. クラス会の歌
2003年、以前に出席した高校のクラス会の思い出を綴った歌。
チェット・アトキンス風のフィンガースタイル・ギターの伴奏部分が自分でもよくできたと思い、のちにギターソロ曲としてCD『太陽の音楽』(2007)に収録しました。しかしギター曲のタイトルが「クラス会の歌」ではあまりに焦点がピンポイントすぎると思い、全く関係ないタイトルですが、毎朝飲む「朝のコーヒー」に改題したのでした。
そのため、ギターソロ曲として披露することが多く、歌で歌う機会はあまりありませんでした。前作『歌ばっか』(2011)でも録音していましたが、曲数が多すぎて選から漏れ、お蔵入りしていました。今回、きっかけになったクラス会から10年以上も経って、やっと本来の形で発表できることになりました。
★3. ウソをついてる
私が大好きだったイギリスの歌手・ラグタイム・ギタリスト、John James。クラシック・ラグのギター編曲や作曲のみならず、軽快な歌ものも魅力的で、残したアルバム作品は少ないものの、私は大いに影響を受けました。特に好きだったのはライブアルバムで、その中で彼が歌っていた「You've Got Something There」に、私が全く関係ない歌詞をつけて替え歌にしたのがこの歌です。このオリジナルを作ったのは、ラグタイム・ブルース・シンガーのBlind Boy Fuller(1907-1941)でした。
「誰も彼もがみんなウソをついてる」という核となる一節を引き延ばして作った歌詞なので、やろうと思えば何番までも歌詞が作れそうです。
★4. イイネの歌
健さんとのツアー中に突然ひらめいて作った歌。そういえば、前作に収録している「PAブルース」も健さんとのツアー中に作ったので、ライブをやってない時間はよっぽどヒマなのでしょう(笑)。
FacebookのようなSNSで、イイネの機能を最初に知った時は、どうにも馴染めない変な感じでしたが、今では何の違和感もなくイイネを付けたり付けられたりしています。新しい時代のご挨拶だと思えばこんな素晴らしく励まされるボタンはありません。本当に素直にそう思います。
ごく少数のいやらしい思考の人は、この歌の歌詞から「イイネばっかり付けてオレの宣伝したライブ来ねえじゃねぇかよ」という意味を汲み取ろうとする向きがあるようですが、それは全くの見当違いなのであります(?)
★5. 最後のウサギ
私が作った歌ものの中でも最も初期に属する一曲で、おそらく会社員時代の1990年ごろに作ったものと思って、自分のホームページの作曲年表にもそう書いたのですが、実は1989年に書いたことが判明しました(制作済みのCDライナーノーツ、いきなり間違い発見…)。同年に南澤大介くんとのクリスマスジョイントライブ(ホームコンサート)があり、そこで披露したのが初演でした。
曲としても歌詞としても捉えどころがないですが、なんとかまあ鑑賞に堪える限りは、発表してあげるのが礼儀だなと思い、25年の時を経て、やっと録音しました。
★6. ちょっとした旅
「ウソをついてる」と同じく自分の歌詞をつけた替え歌です。原曲はMississippi John Hurtの「Louis Collins」。悲しい歌なのに、これまた全く別の、恋物語的な歌詞をつけています。
私には旅を題材にした自己中心的な「歌うたい」の世界に食傷していた時期があり、それに対する自分なりの回答でもありました。と言っても、自分にとって全く絵空事の「可愛らしい」歌詞に現実感を持たせるのに苦労した記憶があります。
なおこのテイクは、前作『歌ばっか』録音時(2011年)に収録していました。
★7. 悲しい人生の歌
明るい、またはユニークな曲が多いCD『イイネ!』の中で、どういうわけか唯一と言っていい暗い曲です。テーマの曲想は、イギリスのロックバンド・キンクスの「ルーニー・バルーン」に影響を受けていると思います。
作曲当時(2011年)、馴染みのお店が閉店したり、付き合っている人となかなか結婚できなかったり、長雨でストリート演奏に出られない日々が続いたりして、気が滅入る状況を歌ったものです。このションボリさ加減は、実はちょっと気に入っているのです。
★8. ミナ ヤン
私の歌モノCDでは恒例となっている、アイヌ語の歌詞を持った曲。アイヌ語で韻を踏むのが面白くて作った、言葉遊び的な歌です。なお、ミナは自動詞で「笑う」、「ヤン」は終助詞で「〜してください」という意味です。
先日、健さんとの札幌文学館の「ブレーメン館」企画ライブにおいて、歌詞の対訳付きで初披露しました。しかし、私が編集を担当しているアイヌ語新聞のアイヌタイムズでは、対訳を付けると意味がわかってしまい、アイヌ語の勉強にならないため、対訳は付けない方針です。本作品も、CDの歌詞カードではそれを踏襲してアイヌ語のみが書かれています。
アイヌ語に興味を持つきっかけになればと思い、これからもこの種の歌は作っていきたいです。
★9. 間奏曲(ギターデュオ)
歌ものアルバムでは、必ずギターソロ曲も一曲は入れていますが、今回はiPad Airでの多重録音が面白くて、つい軽めのセッション曲も録ってしまいました。
少し前に作った「ラッキー・クッキー」(未発表)、もっとさかのぼると、1986年に初めて多重録音に挑戦した「ワン・ステップ」(CD『最後のペンギン+5』収録)にも似ている他愛もない曲。たったの1分が長く感じる、一種の箸休めです。
★10. 弁当ブルース
初めての歌モノアルバム『私の小樽』(1998)の収録候補に入っていた古いラグタイムブルース調の曲ですが、なぜか今まで発表の機会がありませんでした。これも「ちょっとした旅」と同じく、CD『歌ばっか』録音時のテイクを使っています。
歌詞中に「タバコでもふかそうよ」とありますが、私は全くタバコを吸いません。学生時代のアルバイトや、会社員時代の短いお昼休みの喧騒を思い出して書いたものですから、他の人のビジョンが移ったのでしょう。こんな大傑作を放ったらかしにして今まで発表しなかったんですから、私もセンスがありませんσ(^_^;)
★11. ふるさと困窮歌
前作『歌ばっか』収録予定でしたが、多重録音したリズムセクションの乱れがどうも気になって、直前でボツにしてしまった曲。その反省からか、今回は全くの弾き語りです。
曲想も歌詞もポジティブですが、その背景には暗い影があります。夕張の財政破綻や、我がふるさと小樽市の予算から赤字で組んだというニュース、さらに人口減少に歯止めがかからない現状を見て、急に行き場のない怒りを感じて作ったものです。
12弦ギターで音数の多いプレイとなると、真っ先に我がギターアイドルの一人、レオ・コッケを思い出します。あまり弾く機会がないのに未だに12弦ギターを持っているのは、やはり彼への畏敬の念が理由としてあるのかもしれません。
★12. 浮世離れのジョー
いわゆる自称ミュージシャン的な、胡散臭い音楽人を歌った歌。もちろん言い訳無用、他ならぬ自分をマンガチックに描写した部分も入っています。なお、ギター仲間の城直樹くんとは何の関係もないことを急いでお断りしておきます(城くんと知り合ったのは多分1999年ごろで、この曲は1997-98年に作られました)。
ミュージシャンの勘違い的な言葉遣いや態度の数々に冷静なツッコミを入れるという、ある種あざとい芸能スタイルは、歌の世界ではありませんが、後の2004年に執筆した電子出版本『ミュージシャンのためのスットコドッコイ辞典』(現在絶版中)で文章としてまとめました。
★13. あなたの知らない世界
最近作る曲のイメージは、音楽的源泉をカリプソから拝借することがままあります。この曲もそんな一曲で、もし私がハリー・ベラフォンテを聴いていなかったら生まれなかった曲のはずです。
歌詞の内容は、まあ、ある特定のポイントにもこれだけ自分の知らない世界があるのだから、もっと謙虚に生きていこう、という内容…のわけないか(^◇^;)。
★14. プハプハ
あの西岡恭蔵さんの名曲「プカプカ」とは何の関係もなく、1999年に作ったビール賛歌。ライブで何度も歌ってきた、私の歌モノの代表的な曲の一つです。過去、2004年のライブアルバム『ライブ・ラギング2』にも収録していました。
曲調は、横浜銀蝿と同じレベルの単純なロックンロールですが、サビで「プハプハ」と、お客さんとのコールアンドレスポンスをするのがこの曲の良いところ。そういう賑やかな雰囲気は、ライブ盤ならともかく、きっちり収録するスタジオ録音盤には入れにくいと感じて、今まで録音していませんでした。しかし今回改めて、多重録音を含めて楽しく収録できました。
★15. 私は下手くそ(ギターソロ)
このCDの録音を開始してから、急にインスピレーションを得てこの曲を作りました。
自分の歌もギターも下手くそだなあ、と感じることが昔より多くなってはきたものの、この曲はそういうこととは関係なく、「私は下手くそという歌を作ったらどうなるかなぁ」というアプローチで作りました。いわば歌モノのギターソロ編曲版みたいな曲なのです。
私の歌モノは、替え歌などの例外を除いて全て歌詞から先に作りますが、ギターソロ曲の場合もそれに似ていて、タイトルとした言葉のリズムからモチーフを得ることがよくあります。歌詞とメロディーの関係、考えていくとなかなか微妙で面白いと思います。
明るい歌モノの多いアルバムには、このションボリした曲はちょうどいいアクセントになると思って、作曲したその日に収録しました。さすがの私も、ここまでギターソロ曲をハイペースで録音したのは初めてでした。
★16. 口内炎ブルース
私のライブに、ごくたまに出演してくれる献身的ならぬ分身的な友人、覆面シンガーくんの持ち歌。これも『歌ばっか』の録音時に収録されたバージョンです。
これを作った当時(2002年)、私はアパート暮らしで、外食ばかりで自炊をしていなかったため、ガスの契約はなく、カセットガスコンロまたは電子レンジでお湯を沸かしていました。こんな不健全な生活だから、口内炎も生まれたのでしょうσ(^_^;)
★17. 旅は最高
これも健さんとのツアー中に生まれた歌です。
今年8月末に開始した東北〜関東ツアーの最初の移動が、苫小牧→八戸のフェリーでした。やはり船内はヒマだったので、別のフェリーで昔聞いたことのある、到着前に掛かるフェリー会社のテーマ曲を思い出して、そのイメージで作曲しました。そのため「海を渡ろう、空を飛ぼう」と、歌詞には海が先に出てくるのです。
先に書いた通り私は「旅をするミュージシャンに関する歌」はなるべく避けたい、決してそんな歌など歌うものか、と思っていましたが、「だけどあなたの言うことも、もっともかも知れない」と思って、あえて呪縛を解いたのでした。
★18. 小さいテレビの歌
私がたまに作る時事ネタ歌の一種。時事ネタといえば今まで、拓銀破たんの時に作った「たくぎんの歌」、消費税が3%から5%に上がった時に作った「2%」という歌も作っています(両方ともCD『歌箱』収録)。他にも、未発表のまま、時事ネタゆえに発表の機会を逸してしまった幾つかの歌があります。
この曲はアナログテレビの終焉を歌ったもので、自分でもすごく思い入れがあり、気に入っている曲です。歌ものとしては珍しく、YouTubeにもアップしたことがあります。
もう小さいテレビに戻ることはできませんが、自分の人生の脇にいつもいてくれるテレビとは、これからも、形が変わっても付き合っていくだろうと思います。
★19. レム睡眠の歌
このCD最後の歌は、とても軽い気持ちで作った、巷にはよくありそうな「睡眠ネタ」歌の一種。私自身は過去に「枕の歌」(CD『歌箱』収録)を作っています。レム睡眠は夢を見る睡眠として知られていて、その言葉を思いついた時点で、すでに一曲できてしまったようなものです。
こんな言葉のお遊び的な歌でも、心の慰めになればと思って、これからも歌い続けていこうと思います。