2023年アメリカ日記(2023.6.7完結)

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(2023年6月3日、Scott Joplin Ragtime Festival参加者の皆さんと。前列右が私。)
 

★5/25 出発前

いよいよ明日、私はアメリカに行ってきます。主な目的は、6/1?3までミズーリ州セダリアで行われるスコット・ジョプリン・ラグタイム・フェスに参加するためです。

この予定が決まった直後、あのDakota Dave Hullさんが「じゃあ私の家にも来て」とお誘いくださり、まず最初にダコタさんの自宅のあるミネソタ州ミネアポリスに行き、数日滞在の予定。その後、フェス前夜祭のある5/31にミネアポリスから飛行機で最寄りのカンザスシティー空港に行き、フェス関係者の方に会場までお車で送っていただき、セダリアではホームステイさせていただくという流れになっています。

実は、私は2020年5月にダコタさんのお招きでアメリカに行く予定でした。心から楽しみにしていたのに、皆さんご存知のコロナ禍のせいで、残念ながら中止になってしまったのです。あの時の虚しい気持ちはさっぱりと忘れるようにしていましたが、今こうしてアメリカに行く機会に恵まれ、奇しくもその時の夢が実現することになりました。ありがたい運命に、そしてダコタさんとシェリルさんのご厚意に、心から感謝しているところです。

セダリアのフェスは、コロナ禍の最中にオンラインでビデオ参加したことはありますが、実際に参加するのはもちろん初めて。おそらく一生に一度の幸運だと思っています。自分が演奏するのも楽しみですが、それ以上に本場のラグタイマーたちのピアノ演奏を間近に体感できるのが待ち遠しいです。
お誘いいただいたブライアン・ライトさん、裕子さんご夫妻には本当にお世話になっています。改めてお礼申し上げたいです。

これからの新たな「アメリカ日記」、滅多にないことなので、大事に書き進めていきたいと思います。
 

★5/26 ミネアポリスへ
 
ついにやってきた旅立ちのとき。2001年にナッシュビルで行われたサマーNAMMショーで、モリダイラ楽器のデモンストレーターとして渡米して以来、22年ぶり生涯2度目のアメリカ行き。羽田空港に行くまではいつもの本州ツアーと同じですが、国際線のある第3ターミナルに行くと気分は異世界でした。

係員に言われるがままに手続きをして、ギターだけは機内持ち込みである旨を忘れずに言うとあっさり通してくれて、追加料金もなし。あれっ、これでいいのかなと一抹の不安を抱えつつゲートを潜りました。ゲートの向こう側は、なんかルイヴィトンやらブルガリやら、高級デパートのショーウィンドウに入り込んだ気分。海外旅行そのものが贅沢だった時代の名残りでしょうか。

デルタ航空の羽田→ミネアポリス直行便に乗ると、確かに上の棚が広くて大きい。ギターケースも難なく入ります。全ての飛行機がこうであって欲しいと強く願う私でした。
約12時間掛かった長い空の旅でしたが、なかなか美味しい夕食・朝食付き、画面では映画や音楽も楽しめる贅沢仕様。これで一番最下層のベーシック・エコノミー・クラスなのです。キャビンアテンダントさんたちの親しげで気さくな応対にもほっこりしながら、快適な空の旅になりました。

入国審査も荷物の受け取りも無事終わり、ゲートを出るとDakota Dave Hullさんが迎えにきてくれていました。つい今月初めまで行われていたダコタさんの日本ツアーの余韻も残る中でしたが、アメリカの地で初めてお会いできて、本当にうれしいことでした。
シェリルさん(ダコタさんの奥さん)が車で私たちをピックアップして、途中ホフマン・ギターにも立ち寄りつつ、ダコタさんのご自宅に到着。飼い犬のKobeJasperも迎えてくれて、昼食をいただきつつしばし四方山話。噂のダコタさんのコーヒー研究所、そして地下のスタジオも拝見して、感心するやら驚くやら。ザビエル大村さんのレポートで予備知識はあったのですが、やはり自分の目で見ると格別の驚きがあります。

これからしばらくダコタさんの家に滞在。これからもギター演奏や観光など、ワクワクなことが尽きません。ともあれ、何よりもまずこうして無事にアメリカに到着できた事を、皆さんにご報告したいと思います。
 

★5/27 ミネアポリスにて(1)
 
ダコタさん、シェリルさんのお宅にお邪魔して最初の日。ミネアポリスでは日没時間が夜の8時48分。日本に比べてかなり遅いので、長い昼間のように感じられます。早い時間に寝て、何度か目が覚めたのですが、おかげさまで全体的によく眠れました。それにしても、まだ夢を見ているかのような気分なのは、別に時差ボケのせいではありません。

朝、これまた絶好の良い天気。美味しいコーヒーとパンをいただいた後、毎週行われているダコタさんのウェブコンサート「Guitar Day」に、光栄にも参加させていただきました。何度か見てきたダコタさんのウェブコンサートに、まさか自分が参加する日が来るとは夢にも思わなかったのですが、言うまでもなく最高の瞬間。とても楽しく演奏させていただきました。興味のある方は、是非以下のリンクからご覧ください。
 
https://www.youtube.com/live/qDhk_5LK1T4?feature=share
 
その後、ベトナム料理店で美味しいお昼ご飯をいただいた後、ミネアポリスのダウンタウンにある博物館「Mill City Museum」(製粉所の街の博物館)を見学しました。かつてミネアポリスの重要な産業であった製粉、そしてミシシッピ川の滝「セントアンソニー・フォールズ」を利用した水力の歴史について学べる場所です。そもそもflour(小麦粉)とwheat(小麦)という言葉の意味の違いをちゃんと理解していないといけません。
1878年に起きた小麦粉の粉塵爆発による大災害がきっかけとなり、換気システムなどが整備されるようになり、製粉産業の改革につながったそうです。模型を使った粉塵爆発のデモンストレーションや、実際に遺構をフロア・エレベーターで巡るイベントもありました。

「小麦粉タワー」の一番上から見たミシシッピ川とセントアンソニーの滝、そしてそれに掛かる大きな橋は実に雄大で、今までブルースの一節や昔話のようにしか認識していなかった川が、アメリカの人たちにとって生活に密着した実に大事なものだったということを学びました。
有意義で素晴らしい体験をさせてくれたダコタさんとシェリルさんには、本当に感謝しています。

追記:ダコタさん宅の夕飯は、バーベキュースタイルのチーズハンバーガー。疑いなく、今までの人生で一番美味しかったハンバーガーでした(≧∇≦)!

 

 

 

 

★5/28 ミネアポリスにて(2)
 
この日は、時差ボケのせいなのか変な時間に目が覚めたりしましたが、健康状態はおかげさまで全く問題なし。毎日、ダコタさんの家で素晴らしいコーヒーをいただけるとは、私はなんと果報者なのでしょう。ここに押しかけて早くも3日目となり、2匹の可愛い犬たち、KobeとJasperの区別がやっとつき始めました。

この日は、ミシシッピ川沿いの美しい通りに面した素敵なレストランバー、アスター・カフェ(Aster Cafe)にて、昼食がてらダコタさんの友人のバンドの生演奏を楽しみました。アコーディオン奏者・シンガーのPatty Harisonさん率いるアーリー・ジャズのバンド「Patty and the Buttons」の皆さんでした。
 
https://pattyandthebuttons.com
 
2001年にナッシュビルに行った時に見た、カントリーバンドの耳をつんざくような轟音に辟易したのとは真逆の世界で、耳にも心にも優しいナイスなフィーリングの音楽を楽しみました。ダコタさんが後半にちょっとだけ飛び入り参加してギターを弾いたのも素敵でした。もちろん、ブランチもとても美味しかったです。
興が乗ると老若男女問わずダンサーたちが自然に踊り出し、一方でステージ背後の窓の外は、まるで雪が降っているように木々の綿毛が舞っていました。アメリカっていいな、と素直に感じたこの光景の美しさを、私は多分一生忘れないことでしょう。

その後、ダコタさんが車でこの周辺をドライブしてくれて、たくさんの公園、川や湖、シェリルさんと二人で見たミネハハの滝、そしていかにもロマンチックな建物がずらりと並ぶ風景を楽しみました。ミネアポリスの水に囲まれた街の雄大さを、口をポカンと開けながらしっかり堪能したのでした。
帰宅して夕飯をいただいた後の音楽談義もとても興味深く、寝る時間が来るのがもったいない気持ち。でも、明日のためにしっかり寝ることにします。ダコタさん、シェリルさんに心から感謝しつつ。

 

 

 

★5/29 ミネアポリスにて(3)
 
5/29は月曜日ですが、アメリカの休日(戦没者祈念日)でした。この日、ダコタさんとシェリルさんが、親しい友人たちを自宅に招いてのホームパーティーを企画してくれました。皆さんご存知の通り、特に家の狭い日本ではあまりこういうパーティーは見かけません。参加人数の算段からたくさんの料理の支度まで、準備には並々ならぬご苦労があったはずです。お二人の献身に心から敬意を表したいと思います。キミーさん(シェリルさんの娘さん)にも会えてとても良かったです!

ダコタさんシェリルさんの友人たちとの語らいは、もちろん当たり前ながら英語のみで、さながら英会話のグループレッスンの如し。英語力に周りが期待するほどの実力も自信もない私は、さすがにちょっと緊張気味でした。しかし、なんとか言葉を聞き取って理解しようと努力していると、相手もそれに応じて優しく話してくれたりします。ザビエルさんを見ているとわかりますが、なんといっても笑顔が一番のコミュニケーションなのだと思います。

ダコタさんとデュオアルバムを発表しているギタリスト・シンガーのPop Wagnerさん、シンガーソングライターのEric Peltoniemiさん、日本に来日もしている1993年度のギターチャンピオンのTim Sparksさん、John Faheyなどのアメリカン・プリミティブ・ギターの世界を受け継ぐギタリストのMatt Sowellさんなどなど、やはりお集まりの皆さんはミュージシャン率が高め。昨日ステージを見たアコーディオン奏者のPatty Harisonさん、そして1986年度のチャンピオンPhil Heywoodさんの奥さんもいらっしゃいました。

皆さんの演奏を拝見したり、軽くセッションしたり、ダコタさんに勧められるまま私も僭越ながらソロ演奏させていただいたり、一緒に演奏したりしました。ありがたくも皆さんから温かいお褒めの言葉をいただき、大変恐縮でした。ここにお集まりの皆さん、そしてダコタさんシェリルさん、本当にどうもありがとうございました!

楽しい時が過ぎるのはあっという間。何度思い出してみても、やっぱりまるで夢を見ているようです。明日(5/30)が私にとってミネアポリス最後の滞在で、明後日(5/31)いよいよミズーリ州に行くことになります。フェスも近いので、もっと練習しなければ、と思う反面、明日でダコタさん宅ともお別れなのかと思うと、寂しい気持ちにもなっています。
 

★5/30 ミネアポリスにて(4)

夢の中でもさらに夢のような、素晴らしいホームパーティーから一夜明け、いよいよミネアポリス滞在最後の日。夜中に雷が鳴って雨が降っていたように感じましたが、いつもの時間に起きてみると雨は上がっていて、再びダコタさんのコーヒーをベランダでいただきました。また、今回初めてダコタさんの入れてくれたエスプレッソもいただき、完全に違う機械とその入れ方、そして何よりその格別な味に感心しきりでした。

お昼は、最近新規開店したというカフェの庭でヘルシーなフードをいただきました。風や風景の気持ちのいいこと。雨が降るかもしれないという予報があったそうですが、幸いにもこの日も天気は持ち堪えてくれました。小樽運河でのストリート演奏の時はよく雨に泣かされてきたものですが、どうやら今回、お天道様は私に味方してくれていたようで、全くありがたいことです。

昼食の後は、ダコタさんが再びドライブに連れて行ってくれました。ミネアポリス郊外からウイスコンシン州に至る2時間以上の道のりの中で、素敵なカフェ、アートギャラリー「Gladje」、インターステイト州立公園の雄壮な自然の風景、そして数え切れないくらいたくさんの湖(ミネソタは1万の湖のある州だと言います)、さらに家々、面白い看板、対向車など、目に飛び込んでくるもの全てが私にとって珍しい、車窓からの風景を楽しみました。

その後、前日のパーティーに参加できなかった方で、ベースやバンジョーやギターを弾くミュージシャンのAdam Kieslingさんがダコタさん宅を訪ねてくれて、3人でギター談義に花が咲くのでした。Adamさん、楽しい時間をどうもありがとうございました!

終わる前から何度も夢を見ているようだと感じてきましたが、どんなことにも必ず終わりはやって来ます。ダコタさんとシェリルさんのお宅を明日の早朝に離れて、ミネアポリスの空港まで送っていただきます。お二人にはいくら感謝しても足りませんが、改めて心からの敬意と感謝を表したいと思います。

★5/31 ミネアポリスからセダリアへ

いよいよダコタさん・シェリルさんとの別れの日がやってきました。空港の食事は高いからと、ランチもいっぱい作ってくれて、さらに空港まで送っていただき、最後まですっかりお世話になってしまいました。改めまして、このご恩は一生忘れません。

さあ、空港に1人残されました浜田くん、途方に暮れるかと思いきや、係員に言われるままに従って、なんとかゲートをくぐり終え、昼少し前の便に余裕で乗れました。
最初はどうにも気後れしていたのが、いろんな人種の人たちが堂々と空港を闊歩して歩いているのを見て、私もそんなに恥ずかしがらずに、できることは普通にやっていきたいなと思えるようになりました。

カンザスシティー国際空港に到着し、かねて打ち合わせしていた通り、Bryan Wrightさんのご両親と待ち合わせして、車に便乗させていただくことができました。
初めてお会いしましたが、とても気さくな方たち。向こうからしても初対面の日本人でご不安だったかもと思いましたが、全く分け隔てなく接してくれて、楽しい2時間のロングドライブでした。

アメリカは広い。やっとミズーリ州シダーリア(いつもセダリアと書いてましたが、こっちの方が近い発音のようです)に到着、ホームステイ先のクリスティーンさんとグレッグさんにご挨拶。ブライアンさんの奥さん裕子さんと娘さんクリスティーンさんの妹さんetc、一気に登場人物が増えて来ました。

いや待てよ、気がついたら、着いた先はすでに会場の一つ「Pavillion on Ohio」(写真でご覧の通り吹き抜けになっているナイスな感じの会場)ではないですか。皆さんは、すでに前夜祭のパーティーを楽しんでします。
 
 
<ラグタイム・フェス前夜祭>
 
今回私にお声がけしてくれたBryan Wrightさんは、疑いなく現代ラグタイム界の多大なる功労者。彼の主宰するRivermont Recordsでは、たくさんの才能あるラグタイム音楽家たちが多くのアルバムを発表していますし、毎年行われているこのフェスの芸術監督も勤めています。そして奥さんの裕子さんも素晴らしいシンガーです。
2017年に札幌の山本らぐたろうさん(耕平さん)が企画して行われた日本ラグタイムフェスでお二人に初めてお会いして、東京と札幌の2ヶ所で競演したのがきっかけでお友達になりました。らぐたろうさん、そしてブライアンさんと裕子さん、誰一人欠けてもこの話は実現しなかったでしょう。

Scott Joplin Ragtime Festivalは1974年に始まり、これまでに幾多の歴史的な音楽家が登場してきた歴史あるフェスティバルです。コロナ禍の影響があった2020年は中止、2021年はネット開催になり、2022年に規模を縮小して復活したとお聞きしています。2021年のオンラインフェスには私も参加させていただき、大変光栄なことでしたが、まさか本場セダリアの本物のフェスに参加させていただくことになろうとは、夢にも考えていませんでした。

さて、「Pavillion on Ohio」(以降「パビリオン」と書きます)では前夜祭のパーティーが行われていて、たくさんのピアニストが取っ替え引っ替え演奏しています。この日の演奏はオープンで、飛び入り演奏可ということで、私も誘われるままにいけしゃあしゃあと出ていって、数曲弾いたら皆さんがいっぱい褒めてくれて、すっかり私もついつい舞い上がってしまいました。しかもまだフェスは始まったばかりなのです。

ブライアンさんたちと一緒に夕食を食べることになり、パーティーを早めに切り上げ、ホームステイ先のグレッグ・ボズウェルさんのお車で集合先のメキシコ料理店に向かいました。グレッグさんはなかなか豪快に笑う方で、ちょうど私が勝手にイメージしていたアメリカの大農園のご主人的な感じ。「人生いろいろあるさ、だけど仕方ない、それも経験。なんでも楽しむことさ!」と陽気で憎めないキャラ。
奥さんのキャスリーンさんのきっぷのいい話し方、そして聡明な性格(後に知りましたがロータリークラブで慈善活動にも熱心な方)も素敵で、すっかりこのご夫婦のことが好きになってしまいました。二人とも、このラグタイムフェスの影の功労者でもあるのです。

夕飯をご一緒した人たちの中では、William McNellyさんは筆頭にご紹介すべきでしょう。私は彼のCD『Chickens 'n' Kittens: A Ragtime Coup』を持っていて、その世界的な演奏テクニックと音楽性はすでに知っていました。そのピアニストが目の前にいて、笑って気さくに話しかけてくれているのですから、全く不思議な感覚です。また、存じ上げなかった女性ピアニストのEve Elliotさんは日本語がペラペラで、これまたびっくり。メキシコ料理の美味しいボリューミー(英語としては無理!)なテイストもナイスでした。

この日から4日間、キャスリーンさんのお宅にホームステイ。正直、全くどんな場所かわかっていなかったのですが、これまた私が勝手に想像していたアメリカの古き良きお宅。しかし、これも後で分かったことですが、古い家をリノベーションしていろいろ直しつつ使っているのだそうです。

ルームメイトがこれまた豪華なメンバー。David Reffkinさんはバイオリニストで、あの有名な『Red Back Book』の録音にも関わったそうです。そしてFrederick Hodgesさんはこれまた素晴らしいピアニスト。彼らの凄さを私は後ですぐに知ることになります。この二人のルームメイトになったのは、本当にこれまた不思議なことでした。興奮と新しい環境で、ちょっと寝つきが悪かったのですが、周りの皆さんの優しさのおかげで、少しずつ慣れていく私なのでした。
 

★6/1 シダーリアにて(フェス1日目)

 
いよいよ始まったフェスティバル当日。朝にノソノソと起きて一階に降りて、朝食をいただいてふと気づくと、当たり前ながら全て英語の世界。キャスリーンさんとフレデリックさんとデヴィッドさんが話しているスピードについていけず。やっぱりネイティブ同士、日常会話のヒアリングは難しい。でも、いろいろ私にお話を振ってくれる時、キャスリーンさんは表情豊かに、ジェスチャーも交えながらゆっくり話してくれて、その気持ちだけでも十分伝わり、とても嬉しいものでした。

今回のフェスは、3ヶ所の会場と一つのホール(リバティー・センター)で行われました。前日にオープニングパーティーのあったパビリオン、そしてパビリオンからは歩いて数分の距離にあるリバティー・センター、そこからすぐの場所に設営されたスターク・テント(Stark Tent、ここが実質的なメイン会場)、そしてやや離れた場所にあるケイティー・デポです。
この日に最初に着いたパビリオンでは、Ragtime Kidの演奏が行われていました。2019年に始まった教育プログラムの一環で、William McNallyさんの監修の元、中学〜高校生がラグタイムについて勉強して、ひいては新しい音楽家の育成に繋がる意義のある活動です。
 
 
<ケイティー・デポでの演奏>
 
さて、私の出番が最初にあったのはケイティー・デポ(Katy Depot)。もともとは古い鉄道の駅舎でしたが、今はリノベーションされて、ビジターセンターとして使われているそうです。今更ながら、シダーリアはScott Joplinゆかりの、ラグタイムの街として有名で、こういった催しにも使われているそうです。

ブライアンさんが私を車で送ってくれた時、ちょうど近くの駐車スペースの車の中にいらっしゃったのがラリー・メルトン(Larry Melton)さんでした。ブライアンさんによると、この人こそこのフェスの創設者で、最近健康を害されていて心配していたそうでしたが、今回のフェスではMax Morathトリビュートのコンサートイベントもあり、久しぶりにフェスにいらっしゃったとのこと。兎にも角にも、お姿を拝見できて握手までしていただき光栄でした。

ケイティー・デポの、おそらく駅の待合室だったような場所で、すでにピアニストのWill Perkinsさんがピアノ演奏の最中でした。ネット検索で音源を確認しただけでしたが、この人の堅実ながら流れるように綺麗なスタイルに以前から感銘を受けていました。聴けたのは短い時間でしたが、いきなり感激でした。

自分の事を言えば、主にこのフェスのために、半年前からクラシック・ラグのレパートリーを中心に修練してきました。難しい曲をやっと弾けるというだけではもちろんダメなのですが、ことクラシック・ラグのギター編曲を演奏するという事になると、やっとの思いでしか弾けないような曲のなんと多いことか。できる限り楽しく自然に、もっと言えば簡単に弾けるように、これからも努力の途中なのです。

演奏前に、Warren Jenningsさんと奥さんのTomokoさんがいらっしゃってくれて、とても感激でした。ウォーレンさんは毎年サクラメントで行われているWest Coast Ragtime Festivalの理事をされています。長年私のことも気にかけてくださっていて、光栄の至りです。
ウォーレンさんにリクエストされていた、David Thomas Robertsの「Waterloo Girls」、そしてJoseph Lambの「Ragtime Nightingale」をなんとか無事に弾くことができて、喜んでいただき私こそ嬉しかったです。

終演後、これまた驚く事に、地元の新聞「Sedalia Democrat」の方が取材に来てくれて、ケイティー・デポの2階にある会議室で少しインタビューを受けました。裕子さんが通訳に入ってくれて助かりました。しかもなんとこの記事が翌日の新聞に載るとの事。いろんな事がすごいスピードで進んでいます。
 
 
<スターク・テント(メイン会場)>
 
その後、メインのスターク・テントに戻って見ると、すでにBryan Wrightさんの楽しいステージ。会の全体の進行に気を配りながら、自分のステージもこなすハードワークは、本当に賞賛に値します。ちなみに、各パフォーマーの一回の出番は30分と決まっていて、それが各会場でパフォーマーを入れ替えて繰り返されます。
次に素朴で優しげなタッチが持ち味のBrandon Byrneさんが演奏。「The Syncopated Times」のコラムニストでもあるとのことです。Eve Elliotさんの明瞭で華麗なタッチも魅力的でした。たとえ同じピアニストでも、こうしてまとめて聴くと、それぞれの個性がはっきりわかります。

3つの会場それぞれで、実に魅力的なパフォーマーたちが演奏していて、どこで誰を見れば良いのか迷ってしまいます。ああ、この人の演奏も見たかったのに、自分の出番や他の見たいピアニストと被ったりという、贅沢な悩みを抱えつつ、お昼をいただきました。
パフォーマー専用の控え室があって、そこで無料の飲み物・食べ物をご提供いただけるのでした。改めて、スタッフの皆さんに感謝しなければいけません。
 
 
<リバティーセンターでの『A Garfen of Ragtime』出演>
 
14:00には、有料のコンサート「A Garden of Ragtime」がリバティーセンターで開催されました。昔のラグタイム曲のタイトルには、植物の名前を冠したものがいっぱいあり、このコンサートはそれをテーマにしたオムニバス企画。
以下敬称略で、Christina Austin, Brandon Byrne, Richard Dowling, Eve Elliot, 私、Ethan Leinwand, Royce Martin, Dalton Ridenhour, Martin Spitznagel, Bryan Wrightという、なんともすごい顔ぶれの中に私も混じって、植物の名を冠したラグを演奏。ちなみに私が選択したのはどちらもScott Joplinのラグで、「Chrysanthemum」「Pine Apple Rag」でした。

もちろん各パフォーマーそれぞれに素晴らしい演奏で、一つ一つ紹介していたら大変な事になってしまいますが、あえてここでは一人だけご紹介しましょう。おそらくあそこにいたほぼ全員が驚いたのが、今年初参加だというピアニストのRoyce Martinさん。「Bethena」(Joplin作)と「Lily Queen」(Arthur Marshall作)を演奏したのですが、原曲へのリスペクトはしっかり保持していながら、ジャズでもノベルティーでもない、何か別の新しい音楽になっている、しかもそれがやはりラグタイムだと感じられる変幻自在の演奏スタイルでした。一言で言って天才です。これこそ、新しい時代のラグタイム表現なのでしょう。

2時間弱のコンサートが終わって、またいろんな方からお褒めの言葉をいただき、恐縮至極。
2001年にナッシュビルに行った時も感じましたが、私が今までお会いしてきたアメリカ人は全て、人を褒める事になんの躊躇もありませんでした。それには人種も年齢も国籍も関係ありません。私はこのフェスの期間中、日本にいる時の20倍くらい多くの人から褒められたと思います。何せ、道を歩いていて「あなたの演奏良かったわよ!」と全然知らないおばさんに言われたくらいですから。
これは決して自分の自慢ではなく、日本人は人を褒める事を心のどこかで躊躇しているという事、逆に言えば厳しくしないと成長しないタイプである事を表しているのかもと思います。
 
 
<スターク・テントでの演奏>
 
ともあれ、再びスタークテントに急いで戻りました。16:00から再び私の出番です。私の前に演奏していたのはピアノのBill EdwardsさんとドラムのDanny Cootsさん。ビルさんはProfessor Billとして有名で、専門的な知識がいっぱい詰まった彼のWebサイトは、ラグタイムを本格的に学ぼうとする人なら誰もが知っています。いやこれは、自分の出番なんてどうでも良いからずっと見続けていたい気分でしたがそうもいかない。

この日の演奏は一曲も被らないように弾きましたが、自分でも不思議なほど落ち着いていて、楽しく演奏できたと思います。終演後、Ragtime Kidsの一人、Tadao Tomokiyoくん(この子の弾くラグがまた素晴らしいのです)のお父さん、友清孝志さんからご挨拶を受けました。私のことをどこかで知っていただいて、ありがたいことでした。Miss Jubilee & Ethan Leinwandのブギウギフィーリングに富んだナイスなパフォーマンスを見た後、ブライアンさんご一家にお呼ばれして、夕飯に御相伴あずかりました。
 
 
<リバティーセンターでの『Celebrating Max Morath』鑑賞>
 
この日のフィナーレは、夜のコンサート『Celebrating Max Morath』です。Jeff Barnhart, Brandon Byrne, Danny Coots, Bill Edwards, Dave Majchrzak, William McNally, Will Perkins, David Reffkin, Dalton Ridenhour, Martin Spitznagel, Adam Swansonという超豪華メンバーによる、ラグタイム・リバイバルの第一功労者、Max Morathを讃えるコンサートでした。すでに96歳の彼は現役を引退していますが、多くのラグタイム音楽家に影響を与え、尊敬されている偉大なピアニストであり作曲家です。

David Reffkinさんのヴァイオリンによる「One for Norma」は、思わずため息が漏れるほど美しい瞬間がありましたし、現代ラグタイム界の第一線で活躍するMartin Spitznagelさんの「To The Max」は、Maxへの愛情に満ちた素晴らしい曲です。
一番最後に、朝に偶然お会いしたLarry Meltonさんが車椅子に乗った姿で挨拶していました。最初は軽口で大いにみんなの笑いを取ったりしていたのに、「あいつは本当にいい奴だ」と言う言葉が涙で震えていて、思わずこちらも涙が出てしまいました。終演後、感動で思わずLarryさんにお声かけして握手してしまいましたが、私の拙い英語でもきっと気持ちは伝わったのだろうと思います。

この日最後のコンサートが終わっても、パビリオンではまだフリータイムでオープンピアノが行われていました。もっと楽しみたいところでしたが、翌日は私の一大イベント、「日本でのラグタイムの状況とラグタイムギターについて」のシンポジウムが朝の9:00から行われるので、多少早めに帰らせていただき、明日に備えるのでした。

注:できる限り誤りや失礼のないように書いているつもりですが、何せ登場人物が多岐に渡り、さながら紀行文学の如し。もし誤っている箇所などがありましたら、どうかご指摘いただければ幸いです。
注2:偉大なラグタイム音楽家・Max Morathは、このフェスの後、2023年6月19日に惜しまれつつ亡くなりました。謹んでご冥福をお祈りします(2023-6-28)。
 

★6/2 シダーリアにて(フェス2日目)

 
だんだん慣れてきたホームステイ的感覚。風景も時代も全く違いますが、私がNECの会社員だった頃の社員寮みたいなものです。ルームメイトの皆さんには、ご迷惑にならないように気を遣わなければなりません。
朝起きて、身支度して一階に降りると、キャスリーンさんが新聞「Sedalia Democrat」を持って来てくれました。なんとこのボサボサ頭の男が一面トップじゃないですか。嬉しいやら恥ずかしいやら、ちょいと複雑な気分。恥ずかしくてまだ記事を読んでいないのですが、落ち着いたらちょっと怖いもの見たさに読んでみたいと思います。
 
 
<シンポジウム「Ragtime in Japan」開催>
 
この日は朝9:00からの1時間、リバティーセンターにて私のシンポジウムがありました。ラグタイムに関する特定のテーマに基づいて発表するという、学求的な性格のある企画だと思います。私は日本から来たラグタイム好きのギタリストですから、その特色を生かしたお話ができればと、発表内容は事前に考えていました。
裕子さんが、前日の新聞取材の時に引き続き、通訳をしてくれました。ただ、基本的に私が拙い英語でも良いからまず英語で話し、話に詰まったら裕子さんに翻訳してもらうという流れでした。

私の子供の頃の音楽体験から始まり、ラグタイムをどのように知ったのか、私がどんな演奏活動をしているのか、日本ではどういうところでどのようにラグタイムが楽しまれているのか、ピアノのクラシックラグをギターに編曲する時のアプローチはどのようなものか、などなど。自分の人生遍歴みたいなものですから、話すことに困ることは(英語の実力不足を除けば)あまりなかったです。裕子さんの的確なフォローもあって助かりました。
特にオタルナイ・チューニングのコードフォームの説明には、話しながら自分でも改めて納得できる部分があり、人に何かを伝えようとすることで、自分の理解も進むものだということを、改めて勉強しました。そんなわけで、自分にとっても有意義なシンポジウムが無事終了したのでした。お聞きいただいた皆さんにも何か参考になれば幸いでした。
 
 
<パビリオンでの演奏>
 
シンポジウムの後、10:30から再び自分の出番。てっきりスタークテントでの演奏だと思い込んでいたら、パビリオンだと気がついて、やや駆け足で移動。
このフェスの期間中、一時的に雨が降ることはあったそうですが、私が外にいる時間に雨を見たことはほとんどありませんでした。全く、この晴れ男ぶりを日本にまで持って行きたいくらい、幸運に恵まれていました。おかげで、暑いけれども移動はスムーズでした。

ブライアンさんの演奏を一曲聴けたか聴けないかの時間に着いて、ご挨拶もそこそこに、早速再びの演奏。今回の出番は「Musically Yours(好きな音楽でいいよ、的な意味かな)」という指示があり、ラグタイム以外の曲も織り交ぜて、またまた楽しく演奏しました。とにかく、予定していた曲は全てやらなければという思いでしたが、なるべくリラックスして気負わずに演奏することを心がけました。そうは言っても、力、入っちゃいますね(^◇^;)。
どの出番だったかはっきり覚えていませんが、全然ラグタイムと関係ない「忘れません」を演奏したら、「曲のタイトルを教えて」「あの曲が良かった」と3人ぐらいからお声がけいただきました。これまた嬉しい誤算でした。

自分の出番が終わった後は、楽しみにしていたラグタイム・オーケストラの鑑賞。Peacherine Ragtime Society Orchestra という大所帯バンドで、ナイスキャラの指揮者や歌手のコミカルなMCで盛り上がり、各演奏者の実力も申し分無し。ラグタイムのリズムはタイミングのずれが微妙なところが最大のミソですが、楽器が複数になるとどうしても合わせようとしてジャストなノリになってしまうものです。しかし、このバンドはよくそのノリを表現していて、感心してしまいました。
 
 
<スターク・テントでの演奏>
 
この日はさらに慌ただしく、セッティング枠も含めて1時間のオーケストラ演奏は全部を見ることができず、12:00からスタークテントでの私の出番の前、William McNallyさんの演奏を少し見ることができました。現代ラグタイム史上、最高傑作の一つと言っても過言ではない、William Bolcomの4曲からなるラグ組曲「The Garden of Eden」の全曲をしっかり堪能できて嬉しかったです。

まだまだこれより暑い年もあったそうですが、この日も十分に暑い。水分と栄養補給は欠かせません。スタークテントでの演奏を終えて、またピザでもいただきに行こうと思っていたら、ウォーレンさんご夫婦が昼食に誘ってくれました。私は何と果報者なのでしょう。軽めのメニューを頼んだつもりが、これまた結構なボリューム。十分お腹いっぱいにいただきました。
 
 
<リバティーセンターでの『Rags to Riches』出演>
 
14:00からは、この日のお昼の有料コンサート。『Rags to Riches』と題されたこのイベントは、誰がどの曲をやるのかわからない、一種のクイズ形式で行われました。曲のタイトルは一体何かということに関して、面白いユーモアを交えた質問をして、正解と共に演奏者が出てきてその曲の演奏をする、という流れ。私は「Soup Curry」(拙作)と「Bird-Brain Rag」(Joseph Lamb作)の2曲を演奏。しかし、曲がバレないように、演奏者は控え室かバックステージで待機していなければならず、また質問の方も当然英語なので、私にはさっぱりワケワカメ! でもなんかウケてたようで、皆さんが楽しければそれで良いのです!

それにしても、Frederick Hodgesさんの目を見張るような演奏は圧巻の一言。まるで英国紳士のようなスマートな出立ちなのに、涼しい顔をしてエグいピアノを弾く才人です。特に、ラグの跳ねた隙間を裏で埋めていくセンスが絶妙。David Reffkinさんもそうですが、こんなすごい人たちと束の間でもルームメイトだなんて、やっぱりちょっと自慢しても良いですか!

そしてJerron “Blind Boy” Paxtonさんのラグタイムギターと歌がまたイイのです。レヴェレンド・ゲイリー・デイヴィスやボー・カーターがBBキングになったような人物で、これまた笑い方が豪快なナイスガイ。彼はバンジョーもブルースハープもできるマルチプレイヤーで、バックステージで彼とお友達になれたのも大変嬉しいことでした。

Brian Hollandさんも忘れてはいけません。ジャズやブギウギのノリも取り入れて、楽しく隙のないジャムセッションを繰り広げています。彼と共演しているドラマーのDanny Cootsさんも素晴らしいグルーヴと性格無比なリズムキープ力で、安定のグルーヴ感を生み出しています。この2人にBryan Wrightさんが加わって作られたCD『Live in Buenos Aires』は、ラグ好きに限らず楽しめる名盤です。
 
 
<売店、ギター愛好家との交流、そしてパビリオン>
 
そんなこんなで楽しいコンサートが終わり、売店で売っている気になるCDや楽譜、中古LPをキープしていただきました。一番の掘り出し物は、Milton Kayeの2枚組LP『The Classic Rags of Joe Lamb』でしょう。新間英雄さんのラグタイム同好会会報でこのレコードの存在を聞かされてから25年くらい経つでしょうか。ついに入手することができて感慨無量です。
また、スタークテントで再びRoyce Martinさんのアメイジングなプレイを堪能しました。

その後、以前私の『Climax Rag』のCDと楽譜集をご購入いただいたBrad Rodyさんが夕飯に誘ってくれて、小一時間セッションしたり、ギター談義に興じました。ピアノもいいけど、やっぱり私にはギターがあるさ!という心強さを感じました。ラグタイムフェスにギタリストやギター愛好家が来るのは、全く例がないとは言わないまでも少数派のようですから、Jerronさんもそうでずが、この流れは頑張って続けていきたいものです。
本当は、夜のコンサート『The Moving Picture Show: At the Height of Hilarity!』も見たかったのですが、人と人との繋がりを優先したのです。

さて、パビリオンに戻ると、まだ10時前。時間外のイベントとして、ジャンルを問わず地元のミュージシャンが集ってステージをしています。ラグタイム関連イベントは、まだまだ若者の参加者が少ないので、少しでも若い力を参画させようという判断なのでしょう。私がこの日見たのはエレキギターの弾き語りのお兄さんで、予想していなかったのでビックリしました。

パビリオンの外でも、ステージカメラマンの人の車の中に、電子ピアノが備え付けてあって、外の音が中に、中の音が外に聞こえるような仕掛けがしてあり、なかなか面白い趣向。ラグタイム・キッドのLeoくんやTadaoくんも興味深々でラグタイムピアノを弾いていました。
 

★6/3 シダーリアにて(フェス3日目、最終日)

 
前日はパビリオンでのひとときが心地よくて、いつまでも浸っていたい気分でしたが、ホームステイさせていただいている手前、あまり遅くなるわけにもいきませんでした。グレッグさんとキャスリーンさんの家は、メイン会場から車で10分の距離ですが、ここでの感覚は「近い」ということになるようです。日本でも北海道のような場所ではある程度共通すると思いますが、アメリカではさらに、車なしでは誰も生きていけないような、非常に広大な土地があるのです。
気がついたらすっかり慣れてしまった、ホームステイの滞在最後の日。この日は一番よく眠れた日だったと思います。はやる気持ちを抑えつつ朝食をいただきます。ヨーグルトもバナナも、何だか日本のより美味しいのです。
 
 
<スターク・テントでの演奏>
 
多少早めにスタークテントに到着して、ギターを邪魔にならなそうな手元に置いて、しっかり鑑賞モード。私のこの日の出番は10:30からと遅かったので、なおさら余裕が生まれていました。こっそり持ち込んだポータブルレコーダーも(以下略)。
最初に登場したMonty Suffernさんも、こりゃまた素晴らしいフィーリングのピアノを弾くおじさんで、音楽のハートをグッと掴んだようなグルーブ感は、どことなくあのトレバー・ティチェナーさんを思い起こさせます。
そういえば前日にBradさんたちと行ったワインカフェでの夕食時にもちょうど同席されていて、その時昔の写真を見せてくれました。何とモンティさんは昔ラリー競技の選手だったそうで、調べてみるとオーストラリアの1977年のラリーチャンピオンシップ、ナビゲーター部門で同率1位だったそうです。それがオールドタイムピアノの達人でもあるとは、人生全く不思議なものです。

次はいつも楽しみにしているWilliam McNallyさんの演奏。2台ピアノが設置されている中で、取っ替え引っ替え弾いていたので、何かの試みかと思ったら、どうやら左のピアノに不具合が発生したらしく、「ごめん、オレ、ピアノ壊しちゃった!」とびっくり発言。Williamさんはコンサートピアニストで、完全クラシックのレパートリーも多いそうですから、タッチはピアノ全体を鳴らし切るくらいとても強いとは思っていたのですが、まさかこんなことになるとは。連日多くのピアニストがガンガン弾いているので、悪いタイミングだったのかもしれません。
ちょうど次の出番で控えていたWill Perkinsさんは、ピアノの技師でもあるそうで、パネルを開けて数分作業していましたが、専用の工具がないとダメとのことで、これ以降のピアニストはしばらく右側のピアノだけで演奏を続けました。

修理はとりあえず置いて、ピアニストとしてのWillさんの演奏。一人二役でなかなか大変だったでしょうが、私が聴いたのはケイティー・デポ以来となる、ナイスなラグタイム演奏。この人のSnowy Morning Blues、好きなんです。思わず後でCD買っちゃいました。

そして私の演奏。ここで私は「Elite Syncopations」をミスして止めてしまい、急遽「Nonpareil」(どちらもJoplinのラグ)に変更。いや全く、あんなに何ヶ月も弾き続けてきたのに、カッコ悪くて恥ずかしい限り。この日最後の30分枠での再演を心の中で誓ったのでした。代わりに、James Scottの「Hilarity Rag」がなんとか弾けたのは良かったです。

Ragtime KidのTadao Tomokiyoくんの演奏は実に良い。もうこのまま録音してCDにしてしまいたいくらい、私の好みにぴったりフィットしました。なんのケレン味もない、素直でかつグルーヴ感溢れる、基本に忠実なラグ演奏は、どうかこのまま伸びていってほしいと思う素晴らしさでした。

次は、多分この日のハイライトの一つ、Frederic HodgesさんとAdam Swansonさんのピアノデュオ。最初は右のピアノだけで狭そうに連弾していましたが、ずっと作業を続けていたWillさんの懸命の修理が実り、なんと左側のピアノが復活!今日の最大の功労者は、間違いなくWillさんでした(^-^)/!
万人の拍手の中で、満を持してこの2人の究極ピアノ演奏が繰り広げられました。この鬼のようなテクニシャンぶりは、まさに純ラグタイムでレ・フレールをやるが如し。
Frederickさんの凄さについては前述しましたが、Adamさんについては触れていませんでした。私は彼の若い頃のCDを持っていますが、私の耳から聴いてもそこからの成長は目覚ましく、さらにプロフェッショナルとしての見せ場を完璧に踏まえた素晴らしい演奏でした。いやー、ピアノ直って、ホント良かったー!

次はガラッと変わって、バイオリンのDavid ReffkinさんとピアノのDave Majchrzakさんの演奏。前のパフォーマーと違って派手さはないものの、情感たっぷりに歌うバイオリンと、それにナイスなタイミングで寄り添うピアノのコラボレーションが見事です。これを聞き逃してしまうのはいかにももったいない。途中に演奏したキューバの作曲家レクオーナの曲や、猫の鳴き声を模したラグも素敵なアクセントでした。

次のパフォーマーも魅力的。しかし空腹には勝てません。後ろ髪を引かれる思いで急いでパフォーマーの控室へ。ピザや野菜を口いっぱい頬張り、ペットボトルをいただいて、スタークテントに戻って残りの10分間ほどを聴いていたのが、昨日も目を見張ったBrian HollandさんとDanny Cootsさんのワイルドなセッション。ユーモアとリズムは連動して働くもの。彼らから改めてそんな感覚を学んでいます。

次がまたスゴイ、ってすごいって言ってばっかりですね。先のFrederickさんとRichard Dowlingさんのピアノデュオ。Oh my goodness! 最高っていろんな最高があるんだな、ということしか言えないくらい、スカッとする弾きっぷりです。Richardさんも、ダンディーで小粋な表現を心得たプロフェッショナル。数年前、カーネギーホールを使って、たったの一日でScott Joplinのラグを全曲録音、3枚組のCDにしてしまった強者です。Frederickさんの歌がまたユーモアがあってかっこいい!後で聞いた話では、紳士の顔して結構ジョークを言う人らしいです。
このピアノ連弾を聴いて、それでもラグが嫌いなんて言う人は、ただの一人もいないでしょう。
 
 
<パビリオンでの演奏>
 
どうしてこう時間が足りないのでしょうか。私の最後の出番はパビリオンで、早く移動してちょっとコソ練しないといけません。大変な暑さの中、そそくさと移動し、パビリオン横の目立たない場所でさっきのElite Syncopationを練習し直し、何でこんなことを忘れていたのかと言うくらい疑問が氷解。私も自動演奏機械ではありませんが、大舞台に焦りは禁物です。

前の出番のRoyce Martinさんが、またまた見事な演奏を披露していました。Joplinラグの中でも不思議な形式を持つMagnetic Ragが、ホントに魔法のようにカッコいい現代曲に変身。熱狂の嵐で、終演後もクールダウンの時間が必要でした。彼こそ周囲の注目の的で、何か記者の取材を受けていたようでした。さもありなん!

早いもので、これが私の30分枠最後のステージ。風が強くて、吹き抜けのパビリオンでは収音が大変。シュアのマイクにウィンドスクリーンは付いていませんからなおさらでしたが、頑張って最後のステージを楽しく務め上げました。練習していたあの曲も無事にご披露できて、本当に気がついたら最後の曲。私は常々、Swipesy(JoplinとArthur Marshall作)が一番大好きと公言してきました。最後もこれで締めて、私のステージが終了。

名残惜しいですが、急いで鑑賞モードに移行。
次のパフォーマーはBrandon Byrneさん。ラグなのにどことなくニューエイジにも比類される彼の楽曲は詩的で、それはゴスペルのカバーを演奏したときに最もよく表れていました。実際、ジョージ・ウィンストンの曲(タイトルは失念)も取り上げてくれて、その優しい個性が引き立つのでした。

次は前述のAdam Swansonさんがソロで登場。この時、昨日友達になったJerron Paxtonさんがスタークテントに登場していたので、そっちも行きたかったのですが、これぞ板挟み。ああなんと悲しい状況でしょう。結局そのままAdamさんのステージを鑑賞しました。やはり稲妻のように素晴らしいピアノ演奏は、現代ラグタイム界の期待を背負うに十分な力がありました。
キャスリーンさんによると、Adamさんは、まだ小さい子供の頃からフェスに毎年参加しているそうで、彼の成長をつぶさに見てきたとのこと。まさにこのフェスの申し子のような人です。
ブルーグラスフェスだったら、子供の頃嬉々としてはしゃいでいても、大人になってからもこんな風にフェスに参加し続けて、ましてやプロになっちゃった人は少ないのでは…
 
 
<スターク・テントにて>
 
さて、この後スタークテントに戻って、Bryan WrightさんとMartin Spitznagelさんのこれまた楽しいステージ。
飛び入りで、裕子さんと娘さんのキキちゃん(愛称)も登場。Bryanさん一家3人で、コミカルな問答歌を歌って会場は大ウケ。
裕子さんは相変わらず見事な歌いっぷりで、Bryanさんはタジタジ。キキちゃんは、裕子さんのマイクを掴んで可愛く歌ったり踊ったりと大活躍でした。比較的年齢層の高い聴衆の皆さんは、まるで孫を可愛がるような気持ちで応援していたことでしょう。

その後、Danny Cootsさんがドラムセットを持ち込んで、BryanさんとMartinさんとの三つ巴セッション開始。これがまた寸劇仕立てで楽しい。
超有名なあのMaple Leaf Ragをわざわざ3人でやるということで、何かあるなと思っていたら、出だしから不協和音。あれっとなってストップ。Martinさんの方が普通で、Bryanさんの方が低い(もちろん、わざと低いキーで弾いているのですが秘密)。何度か試しても同じ。
「Bryan、あんたチューニング合ってないんじゃないのか」と言ってMartinさんがあのWill Perkinsさんを呼んで、なんとBryanさんの頭をチューニングレンチで調整する仕草。これにはみんな大爆笑でした。前述のピアノの修理の件(あっちはホントのアクシデント)があったので、なおさら素晴らしいネタになりました。
何回か調整をやり過ぎて笑いを取った後、やっとすっかり正常に戻った(?) Bryanさんと共に、素晴らしい3人セッションが繰り広げられました。この楽しいステージを見ただけでも、ここにきた甲斐があったでしょう!

スタークテントでのこのフェス最後のステージは、このフェスのリーダー的存在、Jeff BarnhartさんとBrian HollandさんとDanny Cootsさんの三つ巴セッション。上手い!深い!そして何より大事なことは、楽しい! ラグタイムからラテンナンバーまで、ユーモアを交えながらグイグイ攻めていく心憎さ。さすがトリを務めるに相応しいステージでした。
 
 
<リバティーセンターでの最後のコンサート出演>
 
BryanさんやMartinさんたちと夕飯をご一緒させていただいた後、ついに全てのイベントの最後となるリバティー・センターでのコンサート。
フリーで一人一曲ずつみたいな感じでしたが、昨年亡くなったラグタイムピアニストにしてコレクター、評論家でもあったDavid A. Jasenさんの追悼を兼ねて、彼にゆかりのある演目もありました。

私はまだ学生の頃、Dave JasenのLP『Fingerburstin’ Ragtime』を聴いていました。ホンキートンク調でかなりワイルド、個性的な弾き方に最初はとっつきにくかったのですが、気がついたらどっぷりハマってしまう味があるのです。私は、そのLPから「That American Ragtime Dance」を選びました。この曲については以前にもFacebookで書いたと思います。こんなマニアックでピアノライクな曲をギターで弾いた私は、よっぽどの変わり者でしょう!

まあ私はともかく、皆さんそれぞれの個性が光る素晴らしい演奏。会場はほぼ大入り満員状態で、自分の出番が早めに終わった私は早く会場で見たいと思ってウロウロしてたら、通りかかったJerron Paxtonさんが案内してくれて、2階の奥の空いている席にこっそり案内してくれました。なんていい人なんだ?!

途中、Scott Joplin Ragtime Foundationの2023年度表彰が行われ、今年度最優秀に選ばれたのはTom Brierさんでした。発表があった途端に、会場は割れんばかりの拍手。
彼をインターネットを通じてご存知の方も多いと思います。彼はみんなに慕われている、どんな曲でも譜面を見て瞬時に素晴らしい演奏ができる凄腕のラグタイマーでしたが、数年前に事故で瀕死の重傷を負い、なんとか命を取り留めて今に至っているのです。彼のラグタイム界への功績、そして素晴らしい人格を讃えての受賞で、彼と親交の深いWarren Jenningsさんが代理でトロフィーを受け取りました。これもまた感動的な光景でした。

一転して雰囲気が変わり、Peacherine Ragtime Society Orchestraの皆さんの楽しい演奏。さらに、オールドジャズの名曲「King Chanticleer」では、もうお馴染みのパフォーマーの面々がバックコーラス隊として腕を組み登場。みんなに歌詞カードを配ってるから何を歌うかと思ったら、ただの動物の鳴き声の真似だったという小ネタまで入れてきて、ユーモラスに楽しめる快演でした。

またそれぞれのパフォーマーの名演があり、最後のアンコールは「Tiger Rag」で締めるという構成。ピアニスト皆さんが寄ってたかって2台のピアノを少しずつ弾き回すのがまた面白い。みんなを指揮するJeff Barnhartさんの采配ぶりがまたユニークで、いやー、最後まで楽しく夢のようなコンサートがこうして終わったのでした。

ルームメイトだったFrederickさんは次の予定のため控え室でサヨナラでした。いろいろお世話になりました!
売店に委託していた私のCDを清算しに行くと、大荷物を避けて控えめに持って行ったということもあり完売。日本ラグタイムクラブのオムニバス盤『Ragtime Paradise』も全て売れてホッとしました。かえすがえすもありがたいことです。
これが、日本とアメリカのラグタイム界の相互交流にますます繋がってほしい。私の望みはそれに尽きるのです。

こうして、私にとって記念すべき初参加のスコット・ジョプリン・ラグタイム・フェスが終了したのでした。
 

★6/4〜7 アメリカからの帰国と後日譚(アメリカ日記 最終回)

 
<ホームステイ先を出立、空港へ>
 
6/4、グレッグさんとキャスリーンさんのお宅で迎えた最後の朝。最後までルームメイトでご一緒していたDavid Reffkinさんは、迎えの車が来てひと足先にサヨナラ。ブライアンさんと裕子さんが迎えに来る時間まで時間が余っていたので、グレッグさんに連れられて、家の広大な敷地内にある作業場の中のトラック、ショベルカー、さらにクラシックカーやスズキの1500ccという大型バイクも見せていただきました。全く車やバイクに縁のない私も、そのかっこよさに痺れました。

ブライアンさんの車が到着し、いよいよグレッグさんキャスリーンさんともお別れの時。
時系列はちょっと前後しますが、キャスリーンさんがシダーリアのピンズをお土産にくれました。私は、幸か不幸か持ち込んだCDが完売となり、何にも渡せるものがなかったので、旅用の薬入れに使っていた母の手作りポーチをあげるとたいそう喜んでくれて、「あなたのお母さんにもよろしく言ってね」と言うキャスリーンさん。ちょっとグッときてしまいました。

パフォーマーの皆さん、お世話になった皆さんに「See you again!」とは言ったものの、我が人生で再びここを訪れる機会が果たしてあるかどうか。今回はいろいろなご配慮をいただいての特別な幸運で、これ以降はちょっと難しいのが見込めるので、なおさら感慨深いのでした。
でも、あえて言いましょう、See you againと!

ブライアンさんと裕子さん、キキちゃんの親子車に便乗させていただき恐縮でしたが、3時間強のロングドライブの末、ついにランバート・セントルイス国際空港へ到着。チェックインまでいろいろ勝手が分からず、ブライアンさんや裕子さんに最後までお世話になってしまいました。
ブライアンさんと裕子さんのおかげで、我が人生最高の経験と思い出ができました。これを励みに、これからも慢心せず頑張ります。また、ブライアンさんたちラグタイム界の皆さんが来日する際には、及ばずながらせめて私もなんらかの形でサポートできればと思います。感謝の気持ちいっぱいでお別れしたのでした!
 
 
<セントルイス空港→オヘア空港→羽田空港>
 
さて、6/4の午後4時前に到着して、空港のゲートをくぐり、そのまま待合所で時を過ごして10数時間。6/5の早朝6時前の飛行機に乗りました。と言うのも、空港近くのホテルがどこも超高くて、検索した段階であっさり宿泊を諦めたのです。こんな価格でわざわざ泊まっても、早朝便なのでゆっくり寝ることもできませんから、私としては十分意に叶った選択でした。
空港はいろんな意味でセキュリティ万全ですから、ひょっとしたら下手なホテルやモーテルよりも安心だったかもしれません。

セントルイスからシカゴのオヘア空港で乗り換えて、羽田空港へ。事細かには省略しますが、空港の売店で売ってるものが高くて大変だったり(ペプシが3.5ドル=約480円!)、6ドルだったシカゴホットドッグが塩っぱくて残しちゃったり、チップがちょうどコンビニの募金箱のような入れ物に入れる形式でわかりやすかったり、マックの従業員が怒鳴るように叫ぶ待ち番号の声がうるさかったり、ギターを持っている人と目が合うとニコッと笑いかけたり…

行きのデルタ航空と帰りのユナイテッド航空のサービスの微妙な違いも興味深かったです。たとえば、行きは上の手荷物棚にギターケースが入ったのですが、帰りは入らず、仕方なく別のクローゼットに入れていただきました。どちらも食事は充実していました。行きのスリッパ無料サービスは嬉しかったですし、帰りの朝食のクロワッサンは美味しかったし…
こんな細々した事を書いていたらキリがありませんね。
ともあれ、いろいろ発見のある面白い空の旅でした。
長い空の旅の末、羽田空港に無事到着。時差もあるので6/6の晩になっていました。
 
 
<後日譚:荷物騒動>
 
さてここで、たった一つ不覚をとった出来事がありました。羽田空港国際線ターミナルに着いたら、たとえ乗り継ぎ便であっても一旦受託手荷物を手荷物預かり所から受け取り、改めてチェックインしないといけないのでした。羽田から北海道への乗り継ぎ便ですから、荷物も乗り継ぐものと勝手に思い込んでいた私は、なんと羽田空港にキャスターバッグを置いてきてしまったのです。まさかそういうこととは全く知りませんでした。

羽田空港国際線ターミナルは、行くとわかりますがものすごい距離を歩かされますし、そこから国内線ターミナルへはバスや電車で移動が必要です。ただでさえ不慣れな国際線→国内線乗り継ぎ、しかも寝不足・時差ボケ気味で疲れていた私が、わずかな乗り継ぎ時間で全ての事を期待された通りにやるのは、どのみち不可能だったかもしれません。

実は、セントルイス空港からオヘア空港に乗り継いだ時、一度手荷物預かり所に行って荷物を探しました。係員に聞くと「荷物を探す必要はない、そのまま行く」とのことで、てっきり新千歳空港まで行くものと安心しきっていました。
私も経験不足で至らないところがあったことは認めますが、たとえ私のように至らない人がいても、こういうことが絶対起こらないように、航空会社や空港にももっと強く客に注意喚起してほしいと思います。

普通なら、こういう受け取り漏れの荷物は宅配便の着払いで送ることになるそうですが、私は6/9から伊藤賢一くんとのツアーに出かけなければいけません。到着を待っていたら、シャツも下着もギターの足台もCD入れもバッグ自体も使えないし、何より衣類の洗濯が間に合いません。職員さんに食い下がって、なんとか翌日のユナイテッドとのコードシェア便で荷物を新千歳空港に送っていただけることになりました。時差ボケ調整なんて悠長なことは言ってられません。
そんなわけで、6/7の夜7時ごろに無事にその荷物を受け取り、やっと私のアメリカ日記が最終回を迎えることができたのでした。やれやれ?。

アメリカ旅行約10日間、お世話になった皆さん、そして応援してくれた皆さん、改めましてどうもありがとうございました!

 アメリカよ、また会う日まで!

(完)
 

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