ライブ日記2006秋(DTR下見ツアー) (2006年10月17日更新)
目 次
1.9月28日(木) 東京 国分寺・クラスタ(with 伊藤賢一)
2.9月29日(金) 東京 新橋・レッドペッパー(with 青柳学、渡辺昭彦、一卓嗣) NEW!!
3.9月30日(土) 東京 世田谷・BAR スノウドニア(with 北村昌陽)
4.10月1日(日) 埼玉 さいたま市民会館うらわ(with 飯泉昌宏) NEW!!
5.10月2日(月) 名古屋・源
6.10月3日(火) 空き日程(大阪)
7.10月4日(水) 大阪 摂津市・カフェテラス讃(with 天満俊秀)
8.10月5日(木) 小樽へ帰還
恒例の本州ツアー、いつもは11月頃に行うのが恒例ですが、今回は当ホームページで再三申し上げている通り、私の憧れの作曲家、デヴィッド・トーマス・ロバーツ(David Thomas Roberts、ここでは略してDTR、デジタル・テープ・レコーダーではありません)の来日コンサートの企画がちょうどその時期に当たりますので(10/27-11/4)、そのツアーの下見と宣伝も兼ねて、自分のツアーは一ヶ月ほど早めに回ることになりました。
デヴィッド・トーマス・ロバーツは、私にとっては楽聖にも等しい存在で、私がラグタイムという音楽の可能性、芸術性を確信するに至った重要な作曲家であり、そのツアーの企画ができるということは、我が人生にとって最大級の幸運と言っても言い過ぎではありません。この企画の現実的な成功のためにも、今回のツアーは有意義なものでした。
もちろん、自分のツアーも大事です。今回は、便宜上「DTR下見ツアー」と銘打ちましたが、実は他にも裏テーマがありました。例えば「小樽運河演奏10周年記念ライブツアー」。初めて運河に出てからもう10年が経過した記念のツアーとしても意義深いものです。そして、ジョン・フェイヒイ・トリビュートCD『涙』完成後初めての本州ツアーでもあり、記念のオムニバス・コンサートも行われました。
長く生きていると、いろんな節目があるものです。さあ、今回のツアーは果たしてどんな貧乏旅行か...(笑)。
1.9月28日(木) 東京 国分寺・クラスタ(with 伊藤賢一)
毎度お決まりの交通手段情報。
今回もバッチリ、往復飛行機で決めました! 超割のシーズンでもあり、比較的安い飛行機が確保できたのです。私は最近、DTRの件もあり、飛行機の予約を取りなれています。ポイント・カードでも作ってマイルを貯めていれば良かったくらいです。
ただ、これはツアー関連の仕事で忙しく、まだ運河のシーズン中ということもあり、気持ちとしてのろのろフェリーに乗っていられなかったという事情もあります。だいたい、出発当日までアイヌ語新聞の編集をやっていたくらいで、実は今回ほど出発前があわただしかったツアーもなかったと思います。千歳空港では、アイヌ文化の紹介コーナーに見入った後、なぜか白老と釧路の二つの出店が軒を連ねていました。不公平があるといけないので、私は両方からマタンブシ(アイヌの鉢巻き)を一枚ずつ買いました。
さて、お昼の飛行機で羽田に着き、そのまままっすぐ南千住の安ホテル(4連泊しても1万円ちょっと!やめられません)へ向かいました。途中、久しぶりにモノレールの車窓から見る景色がきれい。やっぱり三田のNEC本社ビル(私の元いた会社)を目で探してしまいます。もう退社してから10年以上経ちますが、NECのみんな、がんばって!
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その後、のんびりする間もなく、国分寺のクラスタへ。
ちょっと遅れて到着すると、すでに共演者の伊藤賢一くんがリハ中でした。
実は今回のジョイント・ライブ、私から希望しました。彼はこれまでに『Spring Man』と『Slow』という二作のギターソロCDを発表、私も以前からこれらをチェックしていて、その独創性とすばらしい演奏、みずみずしい才能に感銘を受けていました。昨年秋のジョン・レンボーンとウッディー・マンの来日コンサートの際、客席で初めて直接出会い、さらに今年に入って、ミクシイでの繋がりから今回の話に至ったのでした。私はじゃんけんで先攻後攻を決めようと持ちかけ、負けて先攻を取りました。伊藤くんは、年長でしかも遠くから来た私に気を遣ってくれて「いえそんな、浜田さんが後です」と言ってくれたのですが、今回はこのライブの成り立ちから、私の気持ちとしても条件を一緒にしたかったのです。
[写真:浜田隆史。]私の演奏。ご覧になっておわかりの通り、何かいい調子です。 今回の「ステージ衣装」は、南千住の作業着屋さんで買った1400円の青シャツと、千歳空港で買った白老のマタンブシ。
ここまで言うこともないと思いますが、この日使ったカポタストはダンロップのトリガー。これは演奏の邪魔になるのであんまり好きではないのですが、お気に入りのシャブのカポを無くしてしまい、超・仕方なく使いました。
[写真:覆面シンガー・アメリカン仮面。]止せばいいのに、またも覆面シンガー参上。ごくごく一部の人から、圧倒的支持を得ています。
[写真:伊藤賢一くん。]そしてついに伊藤くんの出番。
サード・アルバム発表間近と言うことで、全曲気合いの入った演奏。オリジナルが多く、ナイロン弦とスチール弦の両方で、エネルギッシュかつ繊細な演奏を堪能できました。ソロギターという点においては、クラシックもフォークもスパニッシュもニューエイジも、基本は一緒である。そんなことを思わせる優れたパフォーマンスでした。
私も若い頃に持っていたはずの、恥ずかしいほどに熱い感情が、端正な曲の奥で輝いている感じがしました。まだ彼の演奏を聴いたことのない方は、是非ご一聴下さい。
[写真:二人の共演も実現!(写真は全てクラスタ提供。)]何と共演曲はアメイジング・グレース。
選曲は割と月並みかも知れませんが、この共演も熱かった!
2.9月29日(金) 東京 新橋・レッドペッパー(with 青柳学、渡辺昭彦、一卓嗣) NEW!!
この日は午後イチから、ツアーの目的の一つであった会場の下見。日本ラグタイムクラブのラゲディ・アンさん、そしてDTRツアーにご賛同いただいている「きたく子ども劇場」の方と三人で、日暮里サニーホールと松尾ホールの二カ所を順調に回り、不明な点が解決、当日に向けての課題もわかってきました。会場は二カ所とも、素晴らしくきれいな小規模コンサートホールで、私のイメージ通りでした。しかも定員100名前後なのにスタインウェイのフルコンサートモデル・ピアノがあり、最良の形でピアノの音空間に浸れるでしょう。
本番が楽しみです。さて、続いては、いつもお世話になっている新橋のレッドペッパーにて、CD『涙』完成記念のオムニバス・ライブ。総勢4名による「濃い」ライブです。
私がお店に入ると、すでに他の三名が談笑中。妙な威圧感、というか異様。
この機会がなければ絶対に同じ空間にはいなかったと思われる、サムライ4名。最年長の渡辺昭彦さんは、何とレッドペッパーの店長と同級生だったそうで、不思議な縁も感じました。しかし、以前のオムニバス・ライブで渡辺さんがお客としてこの店に来たときは、二人とも気がつかなかったとのことで、あらあら。わざわざ熊本から急遽参戦した一卓嗣くんとは今年何回目かの共演。まさか自転車に乗ってきたんじゃないでしょうね。そして、やはり初共演となる青柳学くん、以前にも何度かお会いしていましたが、相変わらず野武士の印象のある腰の据わった人。そうか、この威圧感の大元はキミか!
また4名でジャンケンして、渡辺さん、一くん、青柳くん、そして私という順番になりました。
なお、私はこのツアーでデジカメを忘れてしまい(またも忘れ物!)、このライブの写真は撮れませんでしたが、渡辺さんが撮ったケータイカメラのデータをいただき、以下にアップします。
渡辺昭彦さんのギターは、ブルース、アパラチアン音楽の要素などが合わさり、独特の渋い音楽性を持っています。CD『涙』の参加曲「Dの福音と若しくは杭打ちブルース」は実に芸術的で、普通のギタリストの発想では作れないような奇妙な論理と美しさを持っている傑作です。この日の演奏もそういう不思議な世界を実感されられました。もっと多くの人に注目していただきたいギタリストです。 一卓嗣くんはもう説明不要。この日のために遠方から来てくれた熱意に敬服します。そもそもCD『涙』の企画は、ジョン・フェイヒイ好きの私、一くん、そして小川倫生くんの三人が冗談混じりで話し合って生まれたものでした。その功労者の一人として、この日はスケジュールの都合で来られなかった小川くんの分まで、新曲も含めて気合いの入ったプレイを聴かせてくれました。もちろん、今年一番の出来だったと思います。 青柳学くんの演奏も、以前からデモCDなどで拝聴していましたが、実際の生のパフォーマンスを聴き、改めて彼の実力の高さに触れました。初期のドン・ロスにも通じるエネルギー溢れるギターソロは、研ぎ澄まされたナイフのような鋭さを感じるものでした。もっともっと注目されるべき優れたギタリストです。しかし一くんとはまた違う意味での、ネガティブ系のMC。「フィンガースタイル・ギタリストは女にもてない」。
う〜ん、そうかも。...やめようかな、ギター。さて、幸運にもジャンケンにてトリを獲得した私(浜田隆史)の演奏。4名ライブという事で時間は限られていて、あっと言う間に最後の曲になってしまいました、という感じ。思い出したように最後に演奏したCD『涙』収録曲「舟歌」は、全くCDと違うバージョンになりました。というか、二度と同じ事はできない曲です。 そして、最後にこの濃い4名で共演。事前に何のリハもなく、今は亡きノダゴローさんの好きだった、完全フリーのインプロビゼーション。ただし、ノダゴローさんすみません、キーだけはCと決めてしまいました!(あの人はキーすら決めませんでした)。何かいまいち合わない、おどろおどろしい、不快で、奇妙で、そして気まずく終わるという、まさに今回のCD『涙』にふさわしいセッションとなり、企画者の私としても大満足の(?)コンサートが終了しました。
涙が残してくれたささやかなアーティスト同士の連帯、私は大事にしていきたいと思います。
3.9月30日(土) 東京 世田谷・BAR スノウドニア(with 北村昌陽)
この日の、ツアー最大のサプライズについてお話しします。
TABギタースクールになかなか寄れなかったので、この日は少し早めに出てお土産を渡そうと思いました。その前に、ついでに立ち寄ったカワセ楽器。いつもは、預けているCDの在庫チェックをしてもらったりするのですが、この日はたまたま忙しかったのか、カワセさんは奥の方で作業に係り切り。
ちょっと手持ちぶさたで、ショーウィンドウを眺めていると、いつもよりきらびやかな印象。『私のギター列伝』でもご紹介していますが、カワセ楽器は日本のアコースティック・フラットトップ・ギターの草分けの一つ、「マスター Master」というモデルを今でも作り続けています。この日は、そのマスターの新作、ヴィンテージを含めたモデルが結構並んでいたのです。そこで、まだ時間もあることだし、久しぶりに目についたOMモデル(トップ:スブルース、サイド・バック:ローズウッド、ネック:マホガニー、指板・ブリッジ:黒檀、全単板)を弾かせていただくことにしました。
手にしたら最後。...手放せなくなってしまいました。
マスターはもともとマーチン・コピーの元祖みたいな伝統的なフォルムが売り物でしたが、最近のモデルはむしろヨーロピアン・テイストというか、例えばレイクウッドのような上品なスタイルを誇っています。このOMモデルもそんな感じでしたが、何しろ音に艶があり、音量も素晴らしく、私が気にしているネックの幅(私は狭い方が好み)も、ヤマハよりは若干広いですが違和感のないものでした。響きにサスティンもあり。私は、あまり長いサスティンはラグタイム曲の邪魔になると思って敬遠してきたのですが、その後私も精進して、ミュートのテクニックも少しは向上してきたつもりだし、コントロールのしやすいギターだと感じました。何よりも言葉にできない音の素晴らしさに、私は初めて自分からギターに合わせてみたいという気持ちになったのです。私は、1990年頃(?)、カワセ楽器にて、「マスター」と、当時復活していたキャッツアイのCE-150V(これも『私のギター列伝』参照のこと)を弾き比べ、あろうことかキャッツアイの方を選んでしまった過去がありました。あの時、カワセさんには悪いことをしましたが、今こうして新しい進化したマスターを弾くと、そのリベンジが果たされた、という気持ちになってきました。
お金が全然無いのに、即決・即金で購入。しかも、いつものピックアップ(ハイランダーIP-1)も取り付けてもらいました。持ってきたヤマハのS−51は、ツアーが終わる二日後に自宅着になるように送ってもらうことにしました。
ああ、誰がこんな事態を予想したでしょうか。
落ちついたら、ギター列伝のコーナーにこの文章を移管したいと思います。さて、そのピックアップの取り付けをしていただいていたら、時間が無くなってきてしまいました。そのため、TABに今日寄るのはあきらめて、直接池尻大橋のライブ会場に向かうことにしました。新たな相棒、マスターOM初めてのライブ。
初めてお世話になる「BAR スノウドニア」さん。ミクシイ繋がりでもあるSS@さん、neko☆さん、久しぶりの共演となる北村昌陽さんなどのご協力により実現したライブです。お店はとてもいい雰囲気で、ラグタイムのムードにピッタリです。北村さん(オムニバスCD『アコースティック・ブレス』シリーズの参加で有名)とは久しぶりの再会。私は毎年でも共演をしたい人です。お仕事が忙しいようでなかなかライブ演奏の機会が作れないようですが、スタンダード・チューニングで北村さんのように素晴らしいラグタイム・ギターを弾ける人は、日本広しといえどもほとんどいないと思います。ジョプリンのイージー・ウィナーズ、オリジナルの銀河高原ラグ他、予想に違わぬノリノリの演奏。ギブソンのギターの音がまた渋い!
ライブが終わった後、私は思わず北村さんに「お願いします、会社を辞めて!」と頼んでしまいました。私は買ったばかりのマスターOMを使い、演奏が楽しくて仕方がありません。普通、初めてのギターでのライブは神経質になるものですが、やはりこのギターとは相性がいいのでしょう。ほとんど違和感無く、要所では目をつぶって演奏できました。伸ばす音を伸ばし、切る音は切る。そういうコントロールの余地が広がったような気がしました。この日のライブ、スペースが無くて録音できませんでしたが、無理にでもやっておくんでした。
お客様にも概して好評だったようで、「あんなネチコイ「エンターティナー」は聴いたことがないぞ!」(by neko☆さん)という声も。そう、私も年相応に、ねちっこく迫っていきたいと思います。
このようにして、私の記念すべき「ギター購入当日ライブ」が終了したのでした。
4.10月1日(日) 埼玉 さいたま市民会館うらわ(with 飯泉昌宏)
この日はまず、昨日おじゃまできなかったTABギタースクールにご挨拶。打田さんは、「一人世界音楽祭」ボブ・ブロズマンの来日招聘ツアーを目前に控えていて、大変忙しいはずなのですが、やはりいつもの打田さん。デヴィッド・トーマス・ロバーツのチケットを買っていただいたり、本当に感謝です。ギターを買ったのがうれしくて仕方なく、別に必要ないのにわざわざギターを見せびらかしに持ってきてしまいました。
短い時間に、海外アーティストの来日招聘事業の大変さなど、業界の話で盛り上がりました。打田さんご夫妻の心温まるご支援がなかったら、私もデヴィッドさんの話をあきらめていたかも知れません。ギタリスト、ミュージシャンとしてだけでなく、コンサート企画者としても大先輩です。私も及ばずながら、正々堂々とがんばります。
さて、今日の予定は埼玉の市民会館うらわ。TABから一度南千住のホテルに戻る途中、雨がかなり強く降ってきて、出鼻をくじかれました。こんな事なら、完全装備で直接会場に向かえば良かった。何とかホテルに戻り、とんぼ返りですぐに浦和に向かいます。
やっと到着した「さいたま市民会館うらわ」。下見ツアーと銘打っておきながら、実際の会場で自分もライブを行う所はここだけなのでした。パイプイスを並べる式ですが、ステージが高くて後ろの席でも鑑賞には問題なし。天井の高さは普通、奥行きがあって響きも適度、また肩の凝らない、親しみやすい雰囲気もこの会場の魅力でしょう。一年ぶりの共演となる日本のタンゴ・ギターの第一人者、飯泉昌宏さんと再会。飯泉さんとは同い年という事もあり、音楽家としての苦労、楽しさなどを分かち合える方です。今回、デヴッドさんの埼玉公演にも尽力していただき、感謝に堪えません。
会場には、久しぶりに冨田健二さん(オムニバスCD『アコースティック・ギター/ソロ』に一曲参加した、私の昔からの友人)もいらっしゃいました。時間があれば積もる話もいっぱいあったのですが、ほどなく開演の時間になりました。
ふたを開けたら、大雨にも関わらずたくさんの方々にお越しいただき、大変感激。
[写真:飯泉さん。]飯泉さんの演奏は、いつにも増して鋭く、鮮やかなシングルノートも交えたバリエーション豊かなパフォーマンスでした。また、理知的な編曲は、聴いていて大変勉強にもなります。
やっぱり私は、南米音楽が好きなんだな〜。また、オリジナルも素敵な曲で、歌心のあるギターを堪能しました。良いギタリストはいっぱいいますが、飯泉さんのように地に足のついた実力派のギタリストが、きちんと評価される世の中であって欲しいと私は切に願います。
[写真:浜田。ギターはマスターOM。本邦初公開。]私は続いて、いつものようにラグタイムの歴史解説も交えて、DTRの曲からオリジナル、さらにブラインド・ブレイクまで熱演。 前日はとにかくウキウキと弾きまくりましたが、この日はマスターOMの響きをコントロールする楽しさに浸ったという感じでした。
といっても、やはりハイになっていたのでしょう。時間を気にすることなく弾いていたら、飯泉さんの「巻き」のサインが。
[写真:浜田、飯泉さんの共演。アサド兄弟みたい! 冨田さん提供。]そして恒例の共演!
ちょっとしか合わせていなかった「朝日のあたる家」。もう、みんな好みが渋いんだから。
飯泉さんはソロ取りもうまい!
私は完全に後れをとりました。こうして、一年ぶりのジョイント・ライブはまたも素晴らしい幕切れとなりました。
その後、あわただしい撤収の後、飯泉さんとささやかなコーヒー打ち上げ。
前回はあまりお話ができなかったので、たまには男同士の井戸端会議というのもいいでしょう。
ここでは言えない話で盛り上がって、やはり帰りはあわただしく、私は終電の一つ前でホテルに戻りました。
さらば夜行バス!
このツアーでは金に糸目を付けず(?)、前日はホテル、この日はついにあこがれの新幹線で名古屋に向かいました。はえ〜。財布以上に無理した甲斐があり、私の精神における対費用効果は絶大。心にチケット代を越えた余裕が生まれました。前日からの雨は相変わらずすごい勢いで、バスでの移動はいろいろ問題があったと思いますから、結果としても良かったと思います。そしてようこそ、貧乏ホテルへ!
1-2月のツアーからお世話になっている一泊1800円の激安ホテル、今回も活用させていただきました。どうせほとんどホテルにはいないのだし、以下に宿泊費を削るかが私の命題...ってずいぶん新幹線と差があるのですが。
あわてて補足しますと、デヴィッドさんと一緒にツアーを回るときは、こんな最下層のホテルではなく、もっともっと立派なホテルに泊まりますからご心配なく。(さもないと興業ビザの審査が通らなかったはずです[笑])。本日のライブ会場は、3年ぶりの出演となるアートスペース、源さんです(すみません、写真は無し)。私の知名度の無さから、名古屋のライブはいつも集客に苦労しておりますが、今回は幸いにも源さんのおかげで形になりました。何と、あの前澤勝典くんまで急遽駆けつけてくれました。
ここで燃えなければギタリストにあらず。私は新しいマスターOMをとことん鳴らし、精一杯の演奏をしたつもりです。このツアーでは唯一の単独ソロライブということもあり、思う存分ギター演奏を楽しむことができました。終演後、源さんから早くも来年のブッキングのお話もいただき、大変ありがたい気持ちでいっぱいでした。せっかく前澤くんが来てくれたので、久しぶりに語り合いました。まず彼のために安ホテル(私の泊まる最下層ホテルではなく、もうちょっといい所)情報を伝授、チェックインしてからココイチでささやかな打ち上げ。彼とはたまにしか会えないのですが、いつも刺激をいただける良きギター・ライバルです。
朝のチェックアウトを早めにして、一時間程度ネットカフェでメールチェック。その後、前澤くんと待ち合わせして、デヴィッドさん名古屋コンサート時の宿泊ホテルに車で連れていってもらったり、有意義な時間を過ごしました。昨日までは雨がひどくて、なかなか自由に下見ができなかったのです。前澤くん、ありがとう!
名古屋駅で彼と別れ、その後いつものように近鉄でのんびり大阪へ。本当は京都で観光予定地の下見もしたかったのですが、荷物が多いし意外に疲れが残っていたりして(なんせ今までライブ5連チャンでしたから...)ここはやむなく完全休養に当てることにしました。
大阪では、久しぶりに天王寺動物園前の安ホテルにお世話になりました。ここは小ぎれいだし、何と言っても最近門限が撤廃されて、より泊まりやすくなったのが大きかった。一階には自由に使えるインターネット端末もあり、ネットカフェでお金を使う必要も無し。これからも必要に応じて泊まることになるでしょう(...くどいようですがデヴィッドさんにはもっと良いホテルに泊まっていただきます!)。大阪の会場くらいは回ろうかな、と考えましたが、まあ明日もあるさと思ってこの日は寝まくりました。
7.10月4日(水) 大阪 摂津市・カフェテラス讃(with 天満俊秀)
ホテルの連泊は、時間に余裕ができるので(チェックイン・アウトの時間を気にしなくて済む)、ありがたいことです。この日も雨にたたられましたが、午前中はゆっくり休んで、その後、完全装備して地下鉄堺筋線で吹田へ。大阪の会場、メイシアターの視察のためです。しかし、ノンビリしすぎて遅くなってしまい、駅から遠目に見るだけで失礼してしまいました。
しかし、同じ「吹田」駅なのに、阪急とJRではかなり距離があって乗り継ぎがきつい。早足でもたっぷり15分は歩きました。こうして身を持って体験したおかげで、デヴィッドさんの時は駅から会場までタクシーで移動すべきということもわかりました。さて、今日はこのツアー最後のコンサートで、ROOTSのギタリスト・天満俊秀さんとの久しぶりの共演。デヴィッドさんの大阪公演にも尽力していただき、いろいろお世話になっております。実は天満さんとは、いつの間にか「TAB繋がり」になっていました。ROOTSは、今年の海外招聘アーティスト(ステファン・グロスマンやボブ・ブロズマン)のオープニング・アクトもつとめ、ジャンルを越えた支持を集めているアイリッシュ・ユニット。今回はソロでの共演ということで、張りきって臨みました。
カフェテラス讃でのライブは2年ぶりで、相変わらず素敵な雰囲気を持ったお店です。ご飯もおいしい!
また満員御礼となり、本当に感謝です。いつも見に来ていただいている方、初めてお会いした方、写真を撮っていただいた方、そしてアートポイントのスタッフの皆さん。おかげさまで最高のコンサートになりました。最初に天満さん。ソベールのギターの音色が耳に心地よい。私はしばらく天満さんのソロを聴いていなかったのですが、改めて聴くと実に楽しめる、素晴らしいものでした。アイリッシュの清涼なイメージからは想像できないアコースティック・ブルースも、実はずっと前から天満さんの得意分野。プレイにもメリハリが利いていて、私は改めて天満さんのギターに酔いしれました。新作ソロCDが待ち望まれます。
私も負けじと弾きまくり。この日は最後ということもあり、新しいギターをめいっぱい鳴らし、蚊が飛ぶほどに暑い大阪の夜を楽しんだのでした。終演後は、終電の時間が気になりつつも、そそくさと準備。ギタリストの矢野サトシさん、ミドリ楽器の樋口さん、そして手工ジーンズを作っている方(すみません、名刺が行方不明!)とのつかの間の語らいは楽しかったです。機会があれば、ぜひまたお会いしましょう。
急いで電車に飛び乗り、やはり終電の一本手前でホテル着。
昨日入れなかったお風呂に入り、リフレッシュ。
ネットカフェで時間を潰した後、関空からサクッと北海道に帰りました。
自分のツアーはここまでで、次はついにデヴィッド・トーマス・ロバーツのコンサート・ツアーです。
http://www.geocities.jp/otarunay/david.html再三申している通り、彼のコンサートを日本で開くというのは私にとって最高の光栄です。
私が死んでも葬式に来なくていいですから、このコンサートだけば是非来て下さい!
全ての人の心に残る、最高の音楽経験になると私は確信しています。
どうぞよろしく!(完)