8.スタッフォード Stafford

 

SAJ−880Z(現在は弟のギター)

表面板:スプルース単板(?)
側板・背面板:ハカランダ合板(?)
指板:ローズウッド(?)
ネック:マホガニー(?)
 
使用アルバム:なし
 
 確か8万ほどで買ったと思う。とんがったカッタウェイがすてきな、手ごろな価格のいいギターだ。もちろんピックアップもついている。イコライザー付きだ(イコライザーはおそらく一生触らないと思うが)。なんかデザインもかっこよくて、高い手工ギターのような満足感がある。音もそこそこで、セカンド・ギターにはぴったりだ。ハカランダが合板じゃなかったら、100万はするかな。
 
 私は、1996年以降、小樽運河でギターを弾いて、観光客(いやいや、ご観光に来られたお客様!)からお金をいただいて生活している。何らやましいことはなく、ちゃんといただいたお金も税務署に申告している。しかし、多くの人はそういう商売を認めようとせず、中には面と向かって「あなたなぜこんなことしてるの」と忠告してくれる親切な方もいる。いや、皮肉ではなく本当に親切な人なのだと思う。しかし、同じ親切ならお金を入れて欲しいな。
 
 太陽の下でギターを弾いていると、「ここで死んでもいい」と思うくらい、とても幸せな瞬間を味わえる。これはうまく言葉にできない、外で演奏しないと絶対わからないことである。ピアニストは、こんな風に自由な場所で演奏できないだろうから、とてもかわいそうだ。「どうして」と言った人は、「この人はいつかメジャーになるために、音楽の修行をしているのだ」というJポップ的サクセスストーリーを期待しているか、または「働きもしないで小遣い銭稼ぎなんて、不謹慎な」と思ったかどちらかだろう。実際、小遣い銭稼ぎだし、修行しているのも間違いない。でも、人生はそんな単純なものだろうか。
 
 かなり話がそれた。まあ、そんなわけでいつも外でギターを弾いている。そのため、メイン・ギターのヤマハS−51が少々疲れてきたようだ。そこで、このスタッフォードに代役をさせようというのが私の狙いだった。しかし、このギターは外では一二度弾いただけで、あとはいつものヤマハに戻ってしまった。なぜかというと、比較すればヤマハの方がやっぱり音がいいのだ。私にとって外でギターを弾くことはメインの活動なので、ここでベストの音を出さないと意味がない。というわけで、このギターのデビューはさんざんであった。
  
 では今は全然使っていないかというと、実は旅回り用のギターとしてこっそり使っている。この前、札幌の地元FM曲にゲストで出たときにも、このギターを使った。カッタウェイで弾きやすいから、たとえ慣れない環境でも弾きこなせるし、ソフトケースなので軽いし、PAにライン通せるし、急に暖かい部屋に入って結露してもあわてなくて済むし、倒しても弦が錆びても気にならないし...って、ずいぶんひどい扱いをしているが、道具としてのギターなんて、そんなものである。狭っちい家で飼い殺しするより、よっぽどギターにとって幸せなことだと思う。
 
 あなた、今ギクッとしませんでしたか?
 

追加2000年9月15日

 、ヤマハのFG−140を手に入れるために、私はこのギターを弟に売り払った。ああ、今までくどくど話してきたのは一体何だったのか。かくして歴史は繰り返すのである。
 

 

TOP  ギター列伝インディックスへ戻る  HOME