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Fresh Catfish / Catfish Keith(Fish Tail Records FTRCD004、1995年)

 アコースティック・ギター・ファンの中にはご存じの方もいるでしょう、ボブ・ブロズマンやロイ・ブック・バインダーあたりの濁声ブルース路線を悠然と我が物顔で突っ走る、愛すべき若手パフォーマー、キャットフィッシュ(直訳するとなまず!)・キースの5枚目のアルバムです。
 デビューは1985年、あのキッキング・ミュール・レーベルからのアルバム「Catfish Blues」でした。私の友達の前澤君は、アメリカでのギター武者修行の際、キャットフィッシュ・キースにも会っていて、私は彼からその素晴らしさを教えてもらいました。

 私はそれほど戦前ブルースの世界に詳しくないのですが、ナショナル・ギター(金属ボディーのやたら重たいギターで、たいていの人に「ドブロ」と言われてしまう)を使ったパーカッシブなギター・スタイル、その濁声でうなるような派手なパフォーマンス、やはりブッカ・ホワイトが現代によみがえったような印象を受けます。どうしたらこんな歌い方ができるのか、やはりこれはこういうブルースをやるために生まれてきたとしか思えません。その歌いっぷりは、もはや強烈なコブシとなってすごいパワーを伝えてきます。

 先輩格のボブ・ブロズマンに負けないドライブ&スイング感、チョーキングしながらのスピッティング・テクニックによる「キュキュキュキュ〜ン」という独特のブレイク(これをキメたいブルースマンは多いでしょうが、この道に賭けた人にしか出せない切なさが絶品です)、またハワイアンの感覚も取り入れていることも彼と共通する点だと感じています。また、彼の場合はただそれだけではなく、いかにも木訥(ぼくとつ)で陽気なお兄さんが笑いながら歌っているという「ポジティブなブルース」を感じるのです。
 ブルースを楽しむという、元々のブルースの意味を考えれば自虐的かも知れない行為も、彼の手にかかれば誰もが楽しめてしまうのです。戦前ブルースの弾き語りを、ここまでエンターテイメントに変えてしまうことができるアーティストは、アメリカ広しと言えどもそう多くはないでしょう。

 その圧倒的な実力に見合わず、ボブ・ブロズマンほどに彼をご存じの方は少ないかも知れないので、ここでついでに彼のアルバムの中で私が把握しているものを載せておきましょう(このアルバム以降はチェックしていないので、ご存じの方はご教授願います)。
 是非お勧めします。

Catfish Blues (1985)
Pepper In My Shoe! (1991)
Jitterbug Swing (1992)
Cherry Ball (1993)
American Blues [Concert Video] (1993)

 この一度聞いたら絶対忘れない芸名も、すごくカッコイイです。
 キャットフィッシュに揺すられっぱなし。

 

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