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An Album Of Early Folk RagsDavid Thomas Roberts(Stomp Off Records S.O.S.1021、1982年)
http://www.davidthomasroberts.com/

A面
1.Teddy In The Jungle(1910)Edward J. Freeberg
2.Pride Of The Smokey Row(1911)J. M. Wilcockson
3.Missoura Mag's Chromatic Rag( ? )H. H. Farris
4.Mashed Potatoes(1911)Calvin Lee Woolsey
5.Kalamity Kid(1909)Ferdinand Alexander Guttenberger
(arr. by J. Russel Robinson)
6.X. L. Rag(1903)L. Edgar Settle
7.Texas Rag(1905)Callis Wellborn Jackson
B面
1.Cole Smoak(1906)Clarence H. St. John
2.Sweet Pickles(1907)Theron C. Bennett
[alias George E. Florence]
3.Back To Life(1905)Charles Hunter
4.Queen Of Love(1901)Charles Hunter
5.Holy Moses(1906)Cy Seymour
6.Sponge(1911)W. C. Simon

 

 今回は趣向を変えて、CDではなく、今のところ入手困難な「LP」のご紹介。毎回ご紹介しているデヴィッド・トーマス・ロバーツの真骨頂の一つと言えるジャンル、「フォーク・ラグ」研究の成果を示す最初のアルバムです。

 よほどラグタイム・マニアでないとわからないような、マイナーな作曲者の曲ばかりですが、スコット・ジョプリンの完成されたラグとは微妙に異なる印象を持った作品集で、私はここでもラグタイムの芸術性について確信を持つようになりました。

 「フォーク・ラグ Folk Rag」という言葉に、彼は独自の定義をしています。それによると、フォーク・ラグは田舎の音楽で、いわゆるクラシック・ラグのヨーロッパ的な作法から逸脱した、型にはまらない性格を持つとのことです。言葉を替えると、クラシック音楽家から見ると理論的に間違った音使いも含むようです。

 しかし、フォーク・ラグの中でも優れた作品は、例えばショパンのマズルカにも引けを取らないような熱情や表現力があると彼は主張しています。彼自身の作品も、「Pinelands Memoir」を筆頭に、フォーク・ラグに影響を受けているものが多く、またその後のアルバムでもたびたびフォーク・ラグを取り上げています。

 ラグタイムといえばジョプリン一辺倒だった時代に出されたこのアルバムは、地味ながらラグタイム界にとって非常に重要な作品だったと思います。型にはまってマンネリになりやすかったラグタイムの世界に、異なる視点から光を当て、新たなモチーフを生み出しているのです。

 

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