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Earthtones / Greenfield Bowie(B & B Music Folios POMB-015、2000年)

 私のEメールの友人のデビッド・グリーンフィールド・ボウイ David Greenfield Bowie さんについては、試聴の部屋やリンクの部屋でご紹介していますが、ここで改めて取り上げます。彼はミネソタ州出身、テキサス州在住の楽しいラグタイム・ピアニストですが、クラシックのトレーニングも受けた人で、その音楽は想像以上に幅広いものでした。ここでご紹介する作品集「アーストーンズ」は、全くラグタイムが入っていないクラシックのロマン派風の冒険作で、優れたソロ・ピアノ・アルバムです。

 ここに、全曲のタイトルを翻訳して書きます。

1.序曲(大地)/2.前奏曲(雪が降る前)/3.ファンファーレ(移住者)/4.狂詩曲(大地の音)/5.エア(習俗)/6.即興曲(蝶)/7.小奇想曲(先住民族)/8.アルマンド(牧歌曲)/9.フーガ(層積雲)/10.練習曲(ミサ)/11.舞曲(クレオール)/12.幻想曲(大草原の花)/13.ワルツ(おいしい水)/14.即興曲(小滴)/15.メヌエットとミュゼット(螺旋)/16.ロマンス(アメリカ杉)/17.夜想曲(祈る人)/18.瞑想曲(反射)/19.クーラント(飛行中)/20.フィナーレ(海の変化)

 タイトル通り、様々な形式による自由な発想で(形式名から想像されるモデルの枠にあまりとらわれていません)、色彩豊かな情景を楽しむことができます。クラシック風と言っても、一部の芸術肌の作品にありがちな敷居の高さというものはなく、それぞれが小品として聞き易いのも特徴の一つです。それは、比較的メジャーキーが多いというのも一因でしょう。しかし軽音楽やニューエイジピアノのように狭いモノトーンな感じではなく、意外な転調やメロディーの抑揚といった音楽のつぼを心得ているので、奥行きがあるのです。
 曲想は前述の通りロマン派の傾向が強く、そのピアノ・テクニックもすばらしいの一言。
美しく歌うメロディーは、細部までよく練られていて耳に心地よく、何度聞いても感心してしまいます。伝統的なものをよく取り入れつつ、その斬新な構成に新時代のものを感じます。こういっては何ですが、ジャズっぽいものが好まれるアメリカよりも、かなり日本人好みの音楽に感じました。

 そして、もう一つ注目すべき点は、マスタリングに Warren Trachtman の高品質なサンプリング音源を使っている点。といっても全く自然なピアノの音そのもので、打鍵や抑揚も含めてスタジオ収録と何ら変わらない出来です。むしろ、リバーブ成分を抑えた非常にクリアな記録が、通常のスタジオ収録を凌駕している部分もあります。こうした記録法は、実はこのアルバムだけではなく、デビッド・トーマス・ロバーツの多くのアルバム、ピアノマニア・レーベルの作品などにも言えることです(こちらはサンプリング音源を使っていませんが、ヤマハの高分解能MIDI記録ができるピアノを使っていて、実際のピアノ演奏を後から再現する点では共通しています)。
 使用ピアノやスタジオなどの偶発的条件に左右されないマスタリングができるため、こうした方法はおそらくこれからも多くのアルバムに使われることになるでしょう。自宅のDTMで、通常の市販音源を鳴らしているような人は、そのあまりに自然なピアノ音に驚くに違いありません。その辺に興味のある人も必聴です。

 アメリカのラグタイム・ピアニストで、彼のように本格的クラシックのジャンルにまで作曲の才能を発揮している人は、比較的珍しいと言えるでしょう。たまたま私の知り合いだからお勧めしているのではなく、本当に素晴らしい音楽です。ぜひ、ピアノ音楽の好きな日本のファンにもお聞きいただきたいと思います。
 彼のホームページは以下の通り。
 
Greenfield Bowie's Piano Music

 

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