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★ ブレインウォッシュド/ジョージ・ハリスン(東芝EMI TOCP-67074、2002年)
http://www.georgeharrison.com/

 元ビートルズのジョージ・ハリスンは、今思えば私の最初のギター・ヒーローでした。中学の時から本格的に聴き始めたビートルズのメンバーの中でも、一番のお気に入りでした。特に彼のソロ・アルバムが大好きで、『慈愛の輝き』をレコード店に予約して買ったのもよき思い出です。
 改めて、2001年に病気で亡くなったことは、本当に残念でした。

 このアルバムは、以前から噂に上っていた彼の遺作、正真正銘最後の作品です。死後約一年で発表されたこのアルバム、私は最近まで、CDショップでなかなか買えずにいました。これを買ってしまったら、もう次の楽しみが無くなってしまう、ジョージがもういないということを認めることになってしまうと思ったのです。しかし、やはり買ってしまい、とうとう聴いてしまいました。

 まぎれもなく、私の大好きなジョージ・ハリスンの歌でした。とても優しく、ほとんど衰えを見せていない歌声、あの丸っこい独特のスライド・ギター、美しいアコースティック・ギター、ディミニッシュの多い曲構成など、あまりにも期待通りの出来で、逆にびっくりしました。言い方は悪いかも知れませんが、ロック・ミュージックとして完全に仕上がっているのです。これをジョージの最高傑作という人がいたとしても、私は異議を唱えません

 歌詞の内容としては、病床での心の移ろいや人生の悟りを感じさせる、哲学的なものが多いのに、私はその音楽を心地よいものとして楽しむことが出来ました。1999年から制作を始めていたといいますが、これが仮にも死の淵にいた人の、しかも生前は未完成に終わった音楽でしょうか。これには、(「トラベリング・ウィルベリーズ」など共同の仕事が多かった)プロデューサーのジェフ・リンの手腕もさることながら、最後まで変わらなかったジョージの人生観のようなものが感じられます。

 もともと、ジョージは、常に神への敬意と賛美を、大衆ロックの中で違和感なく表現してきました。「マイ・スイート・ロード」「ギブ・ミー・ラブ」のような代表曲は、まさに賛美歌です。彼のそうした姿勢が、どんな苦しい状況の中でも最後まで一貫していたことに、私は心からの敬愛を感じるのです。
 タイトル曲「ブレインウォッシュド」を筆頭として、数曲に盟友だったボブ・ディランの音楽の影響が伺えるという、新たな興味もわいてきます。その「ブレインウォッシュド」の、サビでのコーラスが「God, God, God!」というもので(こんなコーラス聴いたことがない)、カッコよすぎて鳥肌が立ちました。

 これでもう次の新曲を聴くことは出来ませんが、最後の最後にこんな素晴らしいアルバムを残してくれました。ジョージの音楽は、ビートルズ・ファンだけでなく、すべての音楽ファンに聴いてもらいたいです

 

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