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A Little Lost Lamb / Sue Keller(Sue Keller & HV Recording HVR 0502、2005年)
http://cdbaby.com/cd/suekeller11
http://www.rtpress.com/

1. Jersey Rag (Joseph Lamb, 1959)
2. Chasin' the Chippies (Joseph Lamb, 1914)
3. Greased Lightening Rag (Joseph Lamb, 1959)
4. Mignonne (Joseph Lamb, 1901)
5. Gee, Kid! But I Like You (Joseph Lamb, 1909)*
6. Lorne Scots on Parade (Joseph Lamb, 1904)
7. Rapid Transit (Joseph Lamb, 1959)
8. I Want To Be A Birdman (Joseph Lamb, 1913)*
9. Red Feather (Joseph Lamb, 1906)
10. Ragged Rapids Rag (Joseph Lamb, 1905)
11. Walper House Rag (Joseph Lamb, 1903)
12. My Queen of Zanzibar (Joseph Lamb, 1904)
13. Beehive Rag (Joseph Lamb, 1959)
14. Joe Lamb's Old Rag (Joseph Lamb, 1959)
15. Ragtime Special (Joseph Lamb, 1959)
16. Spanish Fly (Joseph Lamb, 1912)
17. I'll Follow the Crowd to Coney (Joseph Lamb, 1913)*
18. Alaskan Rag (Joseph Lamb, 1959)

 現代アメリカ随一の女流ラグタイム・ピアニスト・ヴォーカリスト、スー・ケラーの最新作は、何とジョセフ・ラムの未発表曲を集めたラグタイム・マニア垂涎のアルバム。

 ラグタイム三巨頭の一人、ジョセフ・ラムは、「アメリカン・ビューティー」「ラグタイム・ナイチンゲール」「エチオピア・ラグ」などの作者ですが、不幸にもこれまでに多数の未発表曲(または未出版曲)があることで知られていました。しかしこれで、全部とは言わないまでも、その多くが明らかになったと言えるでしょう。

 特に、ラムが1907年頃、憧れのスコット・ジョプリンに直接聴いてもらったラグの一つとしてその名が伝記に登場していた「Joe Lamb's Old Rag (Dynamite Rag)」は、まだ荒削りながら、彼の初期を代表するラグタイム。他にも多くのラグタイムが収録されていますし、それだけでなくマーチや歌曲(*)まで、様々な曲が取り上げられています。

 これほど多くの未発表曲を、スー・ケラーは実に誠実に、端正な演奏で聴かせてくれます。2005年の同名楽譜出版にも尽力し、ラムの典型的なクラシック・ラグを何とか後世に伝えたいという使命感が、このアルバムをさらに素晴らしいものにしています。
 もともと歌手としても実力のある人で、歌曲でも非常に楽しい雰囲気を演出。17曲目では、今回の企画の功労者でもあるラムの娘、パトリシア・ラム・コンさんとデュエットまでこなしていて、これはまさに歴史的名演となっています。

 私も決して少なくないラグタイム・アルバムのコレクションがありますが、その私でさえ全く知らなかった曲が多く、ラグタイムの歴史上からも重要な資料だと言えるでしょう。ラグタイム・ファン必聴のアルバムです。

 

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