【も】
もたる【モタる】[動詞]
「モタモタする」「モタつく」から来ている動詞。音楽演奏の場合、想定された速度よりもついつい遅くなってしまうこと。「モタモタするな!」「グズグズするな!」という悪口があるように、一般社会はスピードが優先される傾向があるが、ハシるのもモタるのも、正しい時間軸から外れているという意味では共通している。どちらか一方を非難するのは片手落ちというものだ。いや、むしろ今のせっかちな時代だからこそ、モタる事が奨励されるべきである。たまにはモタったスパニッシュ・ギターとか、モタったメタルとか、モタったラップとかに出会ってみたいものだ。対語:走る(ハシる)。もにたー【モニター】[名詞]
英語の「monitor 監視(警告)するもの」。
@何かをチェックして感想を報告するという、読書感想文のようなしちめんどくさいアンケートに答えるヒマな人たち。しかし、放送関連ならば、なぜか希望者が多いらしい。私のCDにも、強制買いによるモニター制度を適用できないだろうか。
Aパソコン画面などの画像表示装置。ディスプレイとも言う。あなたは今これを見ているかも知れない。
B音楽、特にステージやミキシング・ルームなどでの、音のチェック用スピーカーや再生装置のこと。モニターから出てくる音のことを、ステージ上では「返し」と言う。あんまり良い音で鳴りすぎるスピーカーは、チェック用には適さない。ひどい音でも良く聞こえてしまうのである。一般に、音が響く場所では、モニターがないとバンド全体の進行状況がわからず、自分のパートのタイミングが把握しにくくなる。ではソロ奏者なら要らないかと思いきや、やはり自分の音が聞こえない状況でプレイに集中するのは難しい。ただしモニター音が大きすぎるのも困りもので、抑揚のコントロールがしにくくなる。万が一開演後、モニターや全体のサウンドに不備がある場合は、ステージ上からPA担当者に手振りで指示を送るミュージシャンもいる。PAと阿吽の呼吸を見せることで、通でイナセな雰囲気を演出したいロック・ミュージシャンがよくやりがちである。しかしかわいそうに、突然イチャモンを付けられたPAさんにとっては、彼の手旗信号みたいな曖昧な指示が一体何を意味するのかよくわからず、結局そのままという事もある。PAさんはこう言いたいに違いない、「リハで何やってたんだ、このヤロウ」。もんく【文句】[名詞]
不平不満を口にすること。文句には、傾聴に値するものから、犬にでも喰わせるべき心ないものまであり、受け取る人間の裁量によっても実質的価値が変わってくる。たいていは無価値よりもタチが悪いのだが。文句は決して悪口と同義ではないが、ほとんどの場合直接的な悪口よりも皮肉たっぷり。そのため、客商売に従事している多くの人たちが、お客様の文句を(その是非を考える前に)心の中で飼っている犬に景気良く喰わせている。心の犬は、もう満腹状態。