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【わ】

わーきんぐぷあ【ワーキングプア】[名詞](補遺)
 英語の「working poor 働く貧乏」。2006年に日本の公共放送の番組で取り上げられてから、一躍流行語の世界に飛び出した、かなり嫌な言葉。どんな言葉でもそうだが、日本人なら日本語でピシッと言ってほしい。いくら働いても貧乏だという古今東西ありきたりの主張から、我々は果たしてどんな教訓を汲み取れるだろうか。この語は「自称ミュージシャンは、たとえ貧乏でも今さら働かなくていい」という意味ではないのだが、裏返してそのように受け取る人が急増中と聞く。

わいやれす【ワイヤレス】[名詞/形容動詞]
 英語の「wireless 無線の」。電波を授受するのにコード(線)を用いないことを指す。ステージでは、無線で信号をやりとりするPAシステム(ワイヤレス・マイクや送受信機など)の略称となる。アコースティックな音楽は、そもそも本来は電気を使わないのだが、いくら線が無くてもさすがに電気を使わないとワイヤレスの条件を満たさない。ワイヤレスの電波は非常に強力で、送信機からは観客を洗脳するための毒電波まで発せられているという噂もある。かくしてステージは、様々な信号や怒号や爆音、そして子供の泣き声が乱れ飛ぶ電磁波的カオスの場となる。なお、メーカーによって技術的配慮が為されているとはいえ、ケータイの通話と万が一混信したらエライことになる。せっかく会場までご足労いただいたお客様の通話を邪魔しないように、これからはワイヤレスの方を切る配慮が求められるだろう。

わかい【若い】[形容詞]
 年をとっていない。若年である。若さはもちろん相対的なもので、例えば90才から見た85才も若いと言う。つまり、人はいくつになっても若い可能性があるし、逆もあり得る。ミュージシャンは、ありがたいことに実際の年齢よりは若く見られがちである。人から常に見られているからだとか、派手派手なカッコをしているからだとか、好きなことをやっているからだとか、いろいろ好意的に思われるのだが、実は良いことばかりではない。この前、仕事で催し物のステージ演奏をしたとき、余裕を見て控え室から開演7分前くらいにステージ裏に行ったら、現場監督の人から「おい、開演10分前にはスタンバっとけよ、なっ、常識としてな!」などと学生アルバイトを諭すような口調で言われてしまった。かくいう私は既に39才(平成16年現在)、常識のないオッサンである。

わかれ【別れ】[動名詞]
 「別れる」の名詞形で、人と離ればなれになること。離別。歌に限らず、多くの芸術の基本テーマや動機の一つ。しかし今の時代、死別の場合以外はケータイでいつでもどこでも話せる人が多いため、昔とは人生における重みがかなり変わってきた。別れがドラマにならない時代なのである。何か得をするために別れるつもりで、むやみに人と出会おうとする人もいるが、それは本末転倒。→出会い。

わんどりんくつき【1ドリンク付き】[慣用句](補遺)
 チケット料金に飲み物1オーダーの料金が含まれているという事を表す慣用句。同じく、オーダー料金が含まれていないことを表す「+(プラス)1オーダー」と対比される。なぜか1はワンと英語読みしなければならない。このシステムに慣れていない人から「わかりにくい」とお小言を頂戴したことがある。しかし、自分で自分のライブを企画する者としては、ライブに来ていただけるのであれば、ドリンクどころかこっちからお金を差し出したいような気分である。

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