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【ゆ】

ゆにっと【ユニット】[名詞]
 英語の「unit 一個の集団」。ちょっと機械的な響きがある言葉。もちろん集団であれば何でもOKだが、普通はバンド・メンバーがたった二人しかいない場合にこう称する(デュオとも)。二人ではさすがにバンドとは呼びにくいから、ちょうどいい言葉だ。なお漫才芸人の場合はこんなカッコイイ言葉はもったいないので「コンビ」という。英国のロック・バンドのキンクスやXTCは、昔はバンドだったが今はコンビ、いやユニットである。このバンド形態は、恥ずかしくて双方が解散を言い出しにくいという利点がある。ユニットでも何でもいいから、ビートルズを再結成して欲しいと願う人も未だにいるが、ジョージのいないビートルズはビートルズではない。ジョンがいなくても新曲が出たバンドは、ジョージの死により完全に過去のものとなったのだ。

ゆめ【夢】[名詞]
 @眠っている間に心の中で何となく見るもの。たいていの夢は起きると忘れているが、眠りが浅いとつまらないところだけを覚えているときもある。アイヌ文化においては、夢は神様がその主張を人間に伝える通信手段であり、決して絵空事ではないという。寝る前に納得できなかった不満や問題点に対し、潜在意識が夢の形で警告を出したという解釈もある。
 A個人的希望や欲求。現状ではとうてい到達不可能な目標・理想。絵空事。本質的には夢(@)と全く異なる概念であり、どうしてこちらも「夢」と言うのか私には理解できない。英語「ドリーム dream」の意味領域に引っ張られた結果ではないか。例えば、いかがわしい店でつかの間の浅ましい喜びに浸った人が「良い夢、見させてもらいました」と家路につく場合の夢はこちらの方である。まわりにかける迷惑の程度は、夢のスケールに比例して大きくなる。人によってその程度は様々であるし、それが笑って許されるかどうかも家族によって様々に分かれる。夢は、言葉にしてしまうとその人の人間性まで云々される場合があるため、言わなくて済む状況ならばなるべく秘密にしておいた方がよい。責任ある立場の人ならなおさらである。「夢を叶えたい」「夢をあきらめない」などのフレーズは、つまり自分の分不相応な目的が達成されるまで執念深い人生を送りますよという意志表示であり、別にかっこ良くも悪くもない言葉なのだが、やはり歌詞の世界ではカッコイイ意味で多用される。いや、多用というより乱用に近く、あんまりヒドイので、バクにでも喰わせてやりたいところである。

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