ライブ日記2009春(2月with健さん)(2009年3月1日更新)

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 目 次

はじめに

2月14日(土)東京 新橋・レッドペッパー(with 小松崎健)
2月15日(日)東京 西荻窪・サンジャック(with 小松崎健)
2月16日(月)岐阜県 可児市・大きなきりかぶ(with 小松崎健、富安秀行)
2月17日(火)移動日
2月18日(水)大阪 上本町・ダ・スポンジ・カフェ(with 小松崎健、河栄、永田義明)
2月19日(木)大阪 吹田市・Sann Cafe(with 小松崎健、ROOTS)
2月20日(金)兵庫 西宮市・アイリッシュパブ・カプリシカ(with 小松崎健)
2月21日(土)名古屋・遊器ゆあさ(with 小松崎健)
2月22日(日)愛知県春日井市・カフェ・カレドニア(with 小松崎健)  NEW!!

 

◎ はじめに

 2009年2月、もはやおなじみ、HARD TO FINDのハンマーダルシマー奏者・小松崎健さんと、1年ぶり2度目の本州ツアーを行いました。

 昨年の二人のツアーも、とても有意義で楽しいツアーでしたが、私がものすごく大きな忘れ物をしたり、心ならずも風邪をひいてしまったりと、決して順風満帆とは行かなかったのでした。しかし、今回のツアーではそのような大きなトラブルもなく、演奏もスケジュール管理もバッチリ、多くのお客様にもご来場いただき、今までで最高のツアーになりました。ここに、そのツアーについての解説をまとめてみました。

 

★ 2月14日(土)東京 新橋・レッドペッパー(with 小松崎健)

 今回のツアーでは、新作CD制作が間に合わず、昨年作ったCD『運河のカラス』と、それぞれのCDを持ち寄る形での物販となりましたが、唯一の新製品として、新たにリング製本で制作した『運河のカラス』の楽譜・TAB譜集を持っていきました。私にとっても初の試みですが、ハンマーダルシマーを想定した楽譜は世間一般でも珍しいようで、それなりの意義はあったものと自負しています。
 さて、その楽譜は全13曲、68ページです。15部を束にして重さを図ると、何と4キロほどもありました。よく考えたら本とは紙の束ですから、丸太を運ぶのと大体いっしょです。さらに、ダメもとで30部持って行くという方針だったため、例年のようにギター二本を持って歩くことは出来ないと判断し、今回はマスターOM1本だけを持っていきました。もし2本だったら違うギターを選んでいたと思いますが、どれか1本ということなら、マスターは私のギターの中で最もオールマイティーに弾くことの出来る、頼れる相棒です。それでも30部(8キロ)は重いので、半分は三宮のTさんの家に別便でお送りしました。

 荷物以外の心配事がありました。この日の天候はかなり荒れるとの天気予報があったため、果たして本当に飛行機が飛ぶかどうか、前日までは不安だったのです。しかし、幸いにも当日は何事もなく飛行機は予定時刻に到着。
 前回、東京での宿泊はギタローさんご夫妻のおうちにご厄介になっていましたが、その後ギタローさんたちは小樽に引っ越した(その後「なまらや」を開店した)ため、今年は、私がソロ・ツアーでよく使う、南千住の安ホテルに2連泊しました。健さんのハンマーダルシマーは12キロくらいあるらしいので、駅からの徒歩での移動距離がちょっと心配でしたが、これも何とか乗り切っていただきました。


[写真:レッドペッパーでの初共演!]
 そして、初めて新橋・レッドペッパーでの共演が実現しました。
 私たちのライブの前に、別の方々のバレンタインデー・イベント・ライブがあったらしく、リハはちょっと駆け足状態のところがありましたが、すでに1年以上一緒に合わせてきた私たちですから、その辺はキッチリ合わせていきました。

 私にとっては、昨年のソロツアーからあまり間が空いていないせいもありますが、全く違和感なく、まるで長年お世話になっているホームグラウンドのような気安さで、楽しんで演奏できました。


[写真:私が観客に回りたいくらい、いい雰囲気の店内。]
 健さんとの共演曲は、約半分はスタンダードを基本としたチューニング、もう半分はオタルナイ・チューニングなので、1本のギターでチューニングに手間取る局面もありましたが、開き直って私はゆっくり合わせ、足りない時間を健さんのトークで補っていただいたりして、ライブ・ユニットとしての連帯感を感じました。

 マスターのカズ大塚さんも、私たちの演奏を大変気に入っていたご様子。なにせ、バリバリのラグタイムだった私の音楽とはちょっと趣の違うセットですから、今まで以上に新鮮にお聞きいただいたのでしょう。

 ご覧の通り、店内もリラックスモードで、くつろぎの時間が流れていきました。


[写真:ライブを見に来てくれたギタリストのNemさんと記念写真。]
 昔のジャズ喫茶的な印象から、鉄道マニアをはじめ、様々な方たちが集う隠れ家的なお店へと変化しつつも、東京のど真ん中にありながら、この居心地のいいオーラは今も昔も変わりません。

 レッドペッパーの企画ライブ、これからも続けますので、首都圏の皆さん、次回もよろしくお願いします!

 そうそう、この日は健さんのお兄さんも見に来て下さいました。これ以降も、各所で小松崎さん一族のご厚意を受けることになります。

 安ホテルに戻り、健さんとビールでささやかな祝杯。
 健さんはお酒にはかなりのこだわりがあり、ビールもコーンスターチが入っているものはたいていNG。
 (それでも「麦とホップ」はいいという、不思議な一面も...)
 この日以来、健さんにお付き合いする私の酒量が、飛躍的に増えていくことになります...(笑)

 

★ 2月15日(日)東京 西荻窪・サンジャック(with 小松崎健)

 ホテルでの一夜はあっという間に過ぎ、私たちは朝8時半から再び出発、都内のハンマーダルシマー愛好会の会合にお邪魔することになりました。


[写真:ハンマーダルシマーの大群! まさに壮観です。]
 私は健さんに連れられて行っただけの部外者でしたが、会の皆さんの和気藹々とした雰囲気と、こういう機会でもなければ一生見られなかったかも知れない複数のダルシマーの清涼な音色に、思わず和んでしまったのでした。

 皆さんの練習に混ぜていただいたり、練習がてらユニット演奏したり、お食事をごいっしょしたりと、充実した時を過ごしました。みなさん、どうもありがとうございました。

 なお、写真中央は会員の方の創作打弦楽器。正方形の胴体に無数のギター弦を張っている不思議な楽器。健さんは「(ダルシマー+楊琴[ヤンチン]で)ダルチン。」と勝手に命名していましたが、多分却下でしょう(笑)。


[写真:バイオリンの音色を聞きながら一休みする健さん。]
 その後、ライブの時間まではかなり空いていたので、近くの井の頭公園で、二人で軽く練習しようと思ったのですが、この日は週末で、「アートマーケッツ」という大道芸・露店・ミュージシャンなどの登録制出展が行われていました。公園中で、所狭しといろんなパフォーマーが腕を競っていて、よそ者は練習など出来そうにありません。

 ヘブンズアーティスト制もそうですが、都会の路上演奏は全く面倒ですね...。小樽運河のストリート・ミュージシャンには、どうもよく理解できない制度です。仕方ないので練習はあきらめて、見物がてら少し休んで、ちょっと早めにお店に行くことにしました。
 それにしても、この井の頭って、「いのかしら」と読むんですね〜。てっきり「いのがしら」だと思っていました。

 さて、吉祥寺駅から西荻窪駅まではたった130円の運賃なのですが、健さんが「面倒だから歩いていこう」と言うので歩いてみたら、これが全く大間違い。都内の移動なのに、ものすごい大冒険になりました(笑)。

 しかし、おかげで時間がつぶれましたし、とにかく健さんは楽しい人で、話していると笑える話が次から次へと繰り出されますから、全く退屈しません。結局、私は腹がよじれるほど笑いながら歩き続けて、我々はいつの間にか西荻窪・サンジャックに着いていたのでした。


[写真:ユニット演奏でも首を振る私!]
 奇しくも、昨年のライブと同じ日に行われることになったサンジャック・ライブ。おかげさまで満員御礼で、私たちもヒートアップして演奏しました。昨年とは違い私の体調も万全、健さんとの息もピッタリで、現時点でベストのパフォーマンスが出来たと思います。

 新曲「ファンファーレ」は、回を重ねるごとに健さんとのシンクロ率が上がってきて、私が当初思い描いた以上に「はまり曲」になっていきました。改めて、こんな変わった曲をハンマーダルシマーで叩いてくれる健さんに感謝です。
 終演後は、マスターの絶品料理もご馳走になり、美酒に酔ったのでした。

 しかし、明日は朝早くに出発する高速バスの移動を控えていたため、名残惜しいですが早めにホテルに戻りました。

 

★ 2月16日(月)岐阜県 可児市・大きなきりかぶ(with 小松崎健、富安秀行)


[写真:東京・八重洲口近くでバスを待つ健さん。]
 関東圏のライブが2日間だけというのはちょっと少なかった気もしますが、この日の朝8時半、名古屋行きの高速バスに乗りました。

 この高速バスは、JAMバスという格安高速バス会社を利用しました。新規参入業者らしく、決まった停留所がなく、東京のブリジストン本社前に赤いエプロンをした係員さんがお客を整列させて乗り込ませるという、なかなかおもしろいアイデアでした(そのためか、この係員さんは、ブリジストンの警備員か誰かに苦情を言われていたようです...)。

 全席にブラインドの役目を果たすホロが付いていて、座り心地も快適そのもの。安いし、いいバスでした。
 なお、ここの運転手さんの説明には、独特の「くどさ」があり、健さんと二人でひそかに揚げ足を取って笑い転げていました。


[写真:左から富安秀行さん、黒田かなでさん。]
 名古屋から名鉄線で犬山まで行き、そこで本日お世話になるシンガーの富安秀行さんにお会いしました。

 富安さんは1978年、「ライムライトキャンキャン」というバンドでメジャーデビュー、高石友也などのサポートなども務め、シンガー、タレント、プロデューサーなど多くの肩書きを持つ才人です。ヤイリギターのエンドーサーでもありました。とても気さくな方で、私たちは初対面にもかかわらず、リラックスしてお付き合いさせていただきました。

 富安さんの歌はとても力強く、誰もが楽しめる包容力のある歌で、すっかり引き込まれてしまいました。サポートを務める黒田かなでさんの珍しいラッパ付きバイオリン(なんと、あの川合ケンさんから入手したとのコト!)とのコンビネーションも絶妙。富安さんの最新CD「音もダチ!」、みなさんにお勧めします。

[写真:マイナスイオン飛び交う中、大いに盛り上がった!]
 初めてのお店「大きなきりかぶ」は、美しい姉妹が喫茶コーナー(大きなきりかぶ)とマイナス電位治療コーナー(ひまわりサロン)を受け持つという、まるでドラマにでも出てくるような形態。オーガニックコーヒーもおいしく、気分の安らぐステキなお店でした。

 手書きの横断幕までご用意いただき、泣きそうなくらい感激でした。何がうれしいといって、歓迎されていることほどうれしいことはありません。

 椅子が足りなくなるほど超満員の中、前半の富安さんたちのライブから、一人ずつ紹介を受ける形で私たちも参加させていただき、後半から健さんとのユニット演奏になりました。
 この日の演奏もバッチリ決まり、また最後は4人全員でセッションとなり、大フィナーレとなったのでした。

 終演後は、ダルシマー愛好家の方、ヤイリギターの若手職人さんなど、いろんな方との語らいも楽しかったです。
 さらに、この日の宿泊は、富安さんのご自宅にご厄介になり、最後までいろいろお世話になりました。
 改めまして、心からお礼申し上げます。

 

★ 2月17日(火)移動日


[写真:JR美濃太田駅にて。発音が「ミノオタ」と聞こえます。]
 富安さんの家から美濃太田までお車で送っていただき、そこから私たちはJRでテクテクと移動しました。

 この日が唯一のオフ日でしたが、前例に漏れず移動日なので「空いている」という感覚があまりありません。企画段階で健さんはこの日にも何か入れたかったと言ってましたが、やはり一日くらいは空き日程を作るのが、長いツアーを余裕を持って回る秘訣だと思います。


[写真:岐阜から京都に向かう車窓から撮影。]
 途中、京都周辺で雪が降っていました。初日の東京は24度もあったのですが、なぜか南下するたびに気温が下がっていくという、逆転現象でした。

 そして、この日から4泊もお世話になる三宮のTさんの元へ。奥さん(マダムTさん)に最寄り駅からお車で送っていただいたりして、これまたお世話になりました。

 Tさんは、今までにもたびたびお世話になってきた大人物。マンドリンやギターも弾く方で、独特の低い語り口調(「アイツ、メチャクチャやで〜」のような)と悠然としたキャラクターが非常に魅力的です。
 健さんはよくふざけてTさんの口真似をするのですが、ご本人のユニークさはさらにその上を行っているということを、今回再認識しました。

 以前Tさんの家に泊めていただいたときは、知らない間に伝説のアイリッシュ・バンド「シフォーク」のメンバーだった赤澤淳さんと同宿していたことに気づいたり、また別の時には、ハード・トゥ・ファインド+前澤くん+私というすごいメンツで泊めていただいたりと、まさにワンダーランドの様相。
 今回も、Tさんご夫妻の人徳のおかげで、大変楽しい時を過ごしました。
 ツアーの成功は、こうした回りの方々に支えられて初めて実現したのでした。


[写真:糀屋のすじ玉丼、ネギが非常にイイのです。](健さん撮影)
 おっと、うっかり書き忘れるところでしたが、この日の夕方は、すじ玉丼の「糀(こうじ)屋」さんに行くという目標もありました。
 健さんと二人で三宮の地下街をかなり探して、途中何度もあきらめかけましたが、何とか目的のお店に到着しました。閉店が5時のところ、4時40分くらいに着いたので、ギリギリセーフでした。

 このお店はそもそも、私が2002年10月に神戸・ロッコーマンでライブをする前、Tさんと一緒に食べに行ったことのある、思い出のお店。今では神戸の名物店になっていますが、ちょうどこの2002年に開店したてだったのです(この当時のことは、過去の日記に記してあります。あれ、Tさんの名前が書いてある...)。

 それから早6年以上の年月が経ち、すじ玉丼の定価も昔に比べてちょっとだけ高くなりましたが、このなんとも言えぬさわやかな旨さは不変で、うれしくなってしまいました。

 

★ 2月18日(水)大阪 上本町・ダ・スポンジ・カフェ(with 小松崎健、河栄、永田義明)

 この日のお昼は割とのんびり。
 格安のインターネット喫茶に入って1時間ほどメールチェックしたり、二日連続すじ玉丼はマズイということでカレー屋に入ったり。

 その後、阪急梅田で、前回のツアーでもお世話になった健さんのお姉さんと待ち合わせして、三人で上本町(うえほんまち)まで行きました。そこからお店「ダ・スポンジ・カフェ」までは割と近いのですが、三人ともお店の場所がよくわからず、結局タクシーに乗ってしまいました。しかし、それでも迷いに迷って、ぐるっと回ってやっとたどり着きました...それにしても、健さんのお姉さんは、その場にいる人たちの心が和むような、とてもいい人です。


[写真:永田義明さん。ラグタイム・ブルースを歌う!]
 そこで河栄さんと永田義明さんに再会。お二人とも大阪のナイスガイな友人たちです。
 河栄さんとはすでに何度も共演していますが、永田さんとは初共演。私とはもう長い付き合いのラグタイム・ブルース・ギタリストで、日本ラグタイムクラブのオムニバス第一弾『メイプル・リーフ・ラグ』でもギターソロ2曲を弾いています。

 オープニング3曲だけでしたが、実にワイルドで楽しいラグタイム・ブルースの世界。堂々たるパフォーマンスに感激しました。マーチンOOO-18の出音も、ナチュラルで素晴らしいものでした。


[写真:河栄さん。クラシック・ギターで歌うレゲエ風オリジナル!]
 河栄さんは、実は永田さんと以前からお友達で、初めて河栄さんが小樽運河で私と出会ったとき、たまたま置いていた上記のオムニバスCDに永田さんの名前を見つけて、私とはそこからのお付き合いでした。重ね重ね、人の世の縁は不思議なものです。

 写真でお分かりの通り、河栄さんといえば、床にビールを置いてMC時に乾杯という、いわば「酔拳奏法」でもおなじみ。はつらつとした元気の出る歌声に、ますます会場は盛り上がっていきました。


[写真:指に馴染んだ「運河のカラス」演奏!](Youseiさん撮影)
 私と健さんの音楽は、必ずしも「さあ、もういっぱい飲もうぜ!」的なノリだけではないのですが、時に応じてヒートアップとクールダウンを繰り返しながら、お客様からお力をいただきました。
 健さんの新曲「福寿草」は、春の訪れを知らせる愛らしくてさわやかな曲で、こういうワイルドな雰囲気の中にも、上品な光を放っていました。

 この日のライブだけは投げ銭制でしたが、皆さんからの惜しみないお心遣いをいただき、心も懐も暖まった一夜になりました。


[写真:そして最後は4人のセッション!](Youseiさん撮影)
 最後のセッションでは「スタンド・バイ・ミー」の熱唱。英語に詳しいギタリストの益田洋さんも見に来ていたので、私たちの超アヤシイ歌詞には内心ヒヤヒヤしていましたが、まあ、知らん振りして歌いまくり...

 終演後も、大勢のお客さんや、アマチュアのアーティストの皆さんなどとの語らいで大いに盛り上がり、出来ればこの店で夜を明かしたいくらいの気分でした。帰り際にCDが売れたりして、三宮に戻る終電の時間が、ちょっと恨めしく思いました...。

 ともあれ、河栄さんや永田さん、そしてお店の方々のご協力があって、ダ・スポンジ・カフェは今年も大盛況のライブになりました。本当にありがとうございました!

 

★ 2月19日(木)大阪 吹田市・Sann Cafe(with 小松崎健、ROOTS)

 この日も朝昼はのんびり。
 下着やシャツの洗濯は、いわばツアーの風物詩。5日分以上の下着類は、荷物になるのでなかなか持っていけないのです。その意味で、そろそろ洗濯をしなければいけない時期でした。健さんは、前回のツアーでも「足りなくなったら100円ショップで買うよ」と言っていて、洗濯はあまりやらないらしいのですが、Tさん家近くにコインランドリーがあるので、私が説き伏せて、今回はいっしょに洗濯することになりました。
 ところが、入ってみると、ここは最新式のコインランドリーで、洗剤投入も乾燥も全て全自動なのはいいのですが、お値段も通常よりかなり高めでした。そもそもコインランドリーでの洗濯にはあまり乗り気ではなかった健さん、途端にモチベーションダウン。「じゃあ、いっしょに洗濯しよう。そしたら半額で済むよ」ということになり、大いに不本意ながら、ついに私たち二人はパンツを一つの洗濯槽で洗い合った仲になってしまいました。
 最後に、互いの絡まったパンツや靴下をより分けながら、トホホ...また一つ増えた珍妙なMCネタに苦笑するのでした。


[写真:色がわかりにくいですが、これがトマトラーメン。](健さん撮影)
 お昼は、Tさんご夫婦に導かれて、近くにあった「トマトラーメン」のお店でトマトラーメンを食べました。

 イタリアンスープを思わせるあっさり系トマトスープが特徴の変り種ラーメンで、言うまでもなくかなり美味。あっという間に食べてしまいました。今回のツアーでは、すじ玉丼に続くヒットです。

 打田十紀夫さんをはじめ、知り合いのミュージシャンにはラーメンマニアが多いので、ちょっと自慢したい気分になりました。

 さて、西宮で再び健さんのお姉さんと待ち合わせ。今回はありがたいことに、お姉さんのお車で直接Sann Cafeまでお送りいただきました。
 一年前のツアーでも同じようにお送りいただいたことがあり、足を向けては寝られないほどお世話になりました!
 健さん姉弟の強い絆を感じつつ、楽しい車の旅になりました。 


[写真:ROOTS(左から平野有希さん、天満俊秀さん)。]
 一年半ぶりにお邪魔したSann Cafeで、ギタリスト仲間の天満俊秀さんたちに再会。
 天満さんとバイオリンの平野有希さんから成るROOTSは、高いクラシックの素養を活かしながら、アイリッシュ音楽から日本の隠れた天才作曲家・貴志康一の作品集まで、様々な音楽を情感豊かに演奏する名ユニットです。再びアイリッシュを取り上げた新作CDの完成が、ギリギリ間に合わなかったのは残念でした。

 天満さんは、以前から私と健さんの両方とコンタクトしてくれていて、私たちの事を先輩格としていろいろ気を遣ってくださいましたが、こちらの方こそ恐縮です。この日のROOTSの気合のこもった演奏に、私たちは思わずうなってしまいました。
 お互い対等のミュージシャン同士として、これからも切磋琢磨していきたいと思います。


[写真:叙情派の運カラ兄弟!]
 私たちにとっては大阪での連続ライブになりましたが、昨日のノリとはまた一味違った、叙情的な音の響きが印象的なステージになったと思います。

 このメロウともいえる雰囲気から、私はソロコーナーで、前から歌おうかどうしようか迷っていた歌「パズル」(10年以上前に作った未発表の歌)を、ついつい歌ってしまいました。健さんが後に、「そう来るとは思わなかった」と述懐するくらい、ちょっと恥ずかしい歌謡曲みたいな歌でした。別のライブの日に、「浜田くん、パズルは(やらないの)?」とまた茶化されてしまいました...いやはや、穴があったら入りたい。

 アンコールでは、名曲ダニー・ボーイを4人で演奏し、美しい終幕となりました。


[写真:打ち上げで、伝説のサム・リゼッタ製ダルシマーを弾く健さん。]
 この日はSannに泊めていただくことにして、ゆっくり終演後の打ち上げを楽しみました。開演中に雨が降り出したので、泊めていただくのは、いつも以上に大変ありがたい事でした。

 打ち上げ中に、近くにお住まいの方が、何と現代ハンマーダルシマーの元祖・サム・リゼッタが作った初期のダルシマーをお持ちだったことがわかり、健さんはしきりに感嘆しながら、好きなお酒もそこそこに、夢中になって叩いていました。

 天満さん、ぜひ今度は北海道に来てください!

 

★ 2月20日(金)兵庫 西宮市・アイリッシュパブ・カプリシカ(with 小松崎健、hatao)

 Sann Cafe のおかみさんも、三宮のTさんに負けず劣らずの大人物です。
 いつもお会いできるのを楽しみにしています。
 宿泊のみならず、朝食までご馳走していただき、さらに千里丘駅までお車でお送りいただいたりして、本当にお世話になりました。
 ここはコーヒーもお食事もとてもおいしいので、この場を借りまして皆さんにもお勧めします。

 さて、再びTさんの家に戻り、まだ時間があるので、駅前で明日の名古屋行きの格安チケット(三宮→大阪、なんば→近鉄名古屋)をゲット。
 三宮は新神戸の駅がすぐ近くなので、本当は新幹線で名古屋まで行ければかなり楽なのですが、そんな楽な旅程を選ぶと罰が当たります(?)
 いかに安く安く目的地までたどり着けるか、値段だけでなく到着時間も鑑みながら、戦略的に考えるのが楽しいのです。
 (まあ、お金を節約したいというのが一番ですが...)


[写真:初めてのアイリッシュ・パブ前で。]
 この日は、ツアーで唯一のギャラ制のお仕事。アイリッシュ・パブで2ステージの演奏でした。ちょっと早めに着いてしまいましたが、演奏前なのでビールも飲まず待っていると、あれよあれよと言う間に店内はお客様でいっぱい。

 札幌のブライアン・ブルーでのセッションの長い歴史がある健さんと違い、私はアイリッシュ・パブは全く初体験。
 アイリッシュ・セッションは、あのブルーグラス以上に、ある程度の曲や奏法を知らない人は立ち入れない世界で、全編アイリッシュで弾くのは私には不可能です。


[写真:またもや満員の会場で、心を込めて演奏。]
 ここでは、自分たちのオリジナルなどに続き、この場の案内役であるhataoさんと数曲を交えると言う興味深いセットになりました。

 PA機器の制限から、私はここで珍しくもハイランダーのピックアップからアンプで音を出しました。こういう事態もあるだろうと予期していたわけでもないのですが、ギターにマスターOMを選んだのはこの意味でも正解だったようです。

 健さんのハンマーダルシマーの音色がパブの中に響き渡り、ステージ観覧用でない奥の一般席のお客様にも注目されていたようです。おととい共演した河栄さんも見に来てくれて、正直、燃えました!


[写真:hataoさん(左)とのトリオ演奏。至福の音楽です。]
 天才的なアイリッシュ・フルート奏者のhataoさんは、ケルト伝統音楽の専門家で、数多くのバンドなどで活躍されている、その筋では知らない人のいない音楽家です。この日はいろいろお世話になり、有意義で楽しい語らいも出来ました。どうもありがとうございます!

 三人で演奏したリールは、もはやついて行くだけでアップアップの私をよそに、「まだまだご飯三杯はいけるぞ」的な、いつ果てるとも知れないエネルギッシュかつ流麗な演奏になりました。いやあ、実に素晴らしい、と、私は演奏しながら傍観者のように感動しました。

 終演後にご馳走していただいたギネス・ビールのうまいこと!

 最後は、健さんの甥っ子さんにお車でお送りいただき、またまた大感謝。
 明日の開場は早く、電車もかなり早い時間に出発するので、とてもありがたかったです。
 小松崎さん一族には、もう何と言うか、とてつもない恩義ができました。

 

★ 2月21日(土)名古屋・遊器ゆあさ(with 小松崎健)

 朝はさすがに眠かったですが、再び駅までお車でお送りいただいたマダムTさんのおかげで、何とか間に合いそうな時間に乗れました。
 いや、ホントに私たちは果報者。出来ることは精一杯やらなければならない、という気持ちになります。


[写真:眠いのにこんなもの持たせて、全く...。]
 大阪から御堂筋線でなんばまで。
 健さんは、昨日甥からもらったオーストラリア土産が大のお気に入りになってしまい、車内でも私にしきりに見せびらかしてきます。
 これ(写真)、実はカンガルーの○×袋で、これを持っていると文字通り金運に恵まれるというお守りなんだそうです。
 わかりましたから、中を開けてにおいをかがないで下さい(笑)。

 そして、なんばから近鉄線で名古屋まで。
 安い割には快適な列車の旅。アーバンライナーは、新幹線にも負けていません(気持ちだけは...)。
 幸いにも、遊器ゆあさは近鉄名古屋駅の出口から遠くありません。


[写真:時間は前後しますが、終演後のマーミンカさんとたつやさん。]
 遊器ゆあさには、すでにマーミンカさんとたつやストラマーさん(あえてmixiネーム)が準備していました。前回のツアーに引き続き、今回もこの方たちのおかげでツアーを企画できたのです。
 今年もマーミンカさんたちのご尽力で、大変盛り上がった2ステージ(入れ替え制)になりました。

 ツアー出発前、私と健さんのユニット紹介とツアー全体の宣伝のために、8ページの小冊子まで作っていただいたのです。ここだけでなく各会場で、私たちのよい宣伝材料になりました。ツアー用のチラシというのは初めてで、私もひょっとしたら次回のソロツアーで参考にさせていただくことになるかもしれません。


[写真:リハ中の浜田と健さん。たつやさんのPAもバッチリ!]
 昨年のライブでは、風邪の熱で意識朦朧の中、なぜか反作用のように冷静な気分になって、何とかステージ演奏を乗り切ったのですが、今回はやる気満々状態の所をキッチリ意識的にコントロールしつつ、前回よりよいパフォーマンスを維持できたと思います。

 今までやってきた健さんとのジョイント・ライブの積み重ねがもたらした、一つの財産だと思います。


[写真:必要最小限の歌を歌う浜田。毎度ながら、衣装はプロ失格!]
 作った当初は(「ハンバーグ・ランチ・ラグ」に似ていて)少し凡作だと思っていた新曲「ボーナス・ラグ」。しかし、結果的には、健さんとのコンビネーションの妙をうまく表現でき、我ながらなかなかいい曲になったと思います。

 入れ替え制の2ステージ、またまた多くのお客様にごらんいただき、大感激!


[写真:遊器ゆあさでの、楽しい打ち上げ!](健さん撮影)
 終演後は、スタッフを中心に楽しい打ち上げ。ビンゴ大会まで開いていただき、ライブも打ち上げもすごいテンションでずっと走り続けた感じでした。

 ゆあさのマスター夫妻、そして温かい笑顔が印象的なおばあちゃん、スタッフの皆さんたちの暖かい歓待を受け、旨いお酒にも酔い、出来ることならいつまでもここにいたい気分でした。昨年に引き続き、ハヤシライスも大根の煮付けも最大限においしかったです!

 お開きの後は、マーミンカさんの息子さんのお車に荷物を預け、遠方から来ていたこーしかさんを含め総勢5名でスーパー温泉に入り、少し休んでからマーミンカさんの家へ徒歩で行くことになりました。

 歩いた全員がうすうす感じていた通り、本当はタクシーを使えばよかった(後にマーミンカさんは風邪をひいたとのことで、すみません!)のですが、図らずも道行く景色の美しいこと。JRの広大な敷地の中、不思議な架け橋を通ったり、高速道路の入口が遠景に見えたり、なかなか風情のある小路を通って、やっとお家にたどり着きました。そこでまたまた乾杯! 宴会になりつつ、今までの私は深酒をする健さんをとがめるという、自制心のあるっぽい人の構図が続きましたが、実はお酒は嫌いではないのです。この日はまあ、ちょっと飲んで、また健さんのギャグに窒息するくらい笑いながら、いい気分で寝入ったのでした。

 

★ 2月22日(日)愛知県春日井市・カフェ・カレドニア(with 小松崎健)  NEW!!


[写真:マーミンカさんに朝からご馳走になった味噌煮込みうどん。]
 マーミンカさんのお家でぐっすり寝たのもつかの間、すぐに次の予定のために飛び起き、荷物をまとめました。

 この旅での大事な目的の一つに、名古屋のクラウンである北のモジャ君が参加しているクラウンファミリー「プレジャーB」の定期公演を鑑賞することがありました。昨年のツアーでも見に行く予定だったのですが、そのときは私は風邪をひいてしまったため、健さんやマーミンカさんたちがステージを見に行くのについていけなかったのです。

 去年の今頃は、名古屋の安ホテルに缶詰になり、柿ピーを食べながら命を繋いでいたことを考えると、いかに今年が充実していたかが改めてわかります。


[写真:団長のクラウンKさん(左)、モジャくん(中央)と記念写真!]
 しかも今回の公演は15周年記念ステージということで、まさに最高の形で、昨年見られなかった雪辱が果たせました。

 想像していたより何倍も素晴らしい、まさにクラウン・エンターテイメント。もちろん圧巻のジャグリングも次から次へと繰り出される、ブロードウェイ・ミュージカルを超えるパフォーマンス満載のショーで、もう拍手の連続。会場いっぱいの子供たちといっしょに大いに楽しみました。

 モジャくん、そしてプレジャーBのみなさん、ブラボー!

 終演後は、受付で預けていたギターやダルシマーなどの荷物類を受け取り、その足でマーミンカさんたちと一緒にJR高蔵寺駅への旅となりました。次のライブ会場であるカフェ・カレドニアでは、割と早い時間での開場となるため、あまり時間の余裕はありませんでした。高蔵寺駅から2台に分かれてタクシーに乗ったのですが、私と健さん、シャルロさんの載ったタクシー乗務員はたまたま土地に不慣れな方だったようで、正しい住所を知らせているのに見当違いの方向を走ってしまい、ぐるぐる迷いながらやっと到着しました。
 昔なら、少なくとも地元のタクシーが地元で迷うなんてありえない話ですが、これは今の時代を象徴した出来事だなあ、と後になって思いました。


[写真:カレドニアで最後のアフタヌーン・ライブ!]
 カフェ・カレドニアは、アイリッシュ音楽愛好家であるマスターの平手さんのお人柄がうかがえる、とても暖かい雰囲気のお店でした。まだ晩にならない時間からのライブでしたが、ツアー最後のライブにふさわしく、完全生音による、しっとりとさわやかな演奏会になりました。

 楽しかったツアーの思い出を振り返りつつ、私たちは感謝の思いを込めて演奏しました。


[写真:思いのこもった演奏(首振りは控えめ?)。]
 たまたま歌った歌もののおかげで、このツアーで初めて歌もののCDを買っていただき、感激というか「ホントにいいのかな?」というか、ともかくうれしかったです。

 終演後は、再びハンマーダルシマーやライアー(最近静かなブームになっている西洋竪琴)の愛好者の方たちと、楽しく語り合いました。

 その後、平手さんのご紹介で入ったお好み焼き屋で打ち上げした後、マーミンカさんたちとお別れ。今年も本当にいろいろお世話になりました。ありがとうございます!


[写真:平手さん(右)と健さんのツーショット。]
 私と健さんはそのままカレドニアに戻りました。平手さんと健さんの一進一退にして非常に濃い〜マニアックなアイリッシュ関連話を聞きながら、私は心地よい時の流れを感じました。

 アイリッシュ・ビールも、そして健さんからいただいた日本酒も、最後の宴会を締めくくる美酒となりました。
 ここで平手さんにも一宿のお世話になり、改めて感謝いたします。

 翌日、おいしいモーニングをいただいた後、私たちは名古屋のセントレア空港から北海道に戻ったのでした。
 当日の名古屋の気温は16度、札幌はマイナス2度で、実に18度も気温差がありましたが、やはり故郷に戻る気分は格別でした。
 ここには全て記せないくらい、多くの方々からのご支援のおかげで、こうして私たちのツアーは大成功のうちに幕を閉じたのでした。
 どうもありがとうございました!

 今度は秋、九州に行こう!という話を健さんとしています。
 また、私の次のソロ・ツアーは、やはり同じく秋頃になりそうです(春は予定を入れそびれてしまいました)。
 どちらにしても、本州方面の方々とはしばらくお会いできなくなりますが、またぜひ機会を作りますので、そのときはよろしくお願いします!

(完)

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