<外国産>
3.モスマン 
S. L. Mossman

DY(No.167)(現在無し)

表面板:スプルース単板(?)
側板:ハカランダ単板
背面板:ハカランダ単板の3ピース
指板:黒檀(?)
ネック:マホガニー(? 一本)
 
使用アルバム:「歌棄の歌
 
  
 
 1992年頃、東京・荻窪のギター店で購入。もちろん中古で、今のところ私が買った最後の外国産ギターである。モスマンのホームページ(http://mossman-guitars.com/index.html)によると、これはオリジナルの初期型ロゴで、シリアルナンバーを見ると1970年から1973年までに作られたらしい。モスマンといえば、フィンガースタイル・ギタリストでは、クリス・プロクターが最上位機種の「ゴールデン・イーラ Golden Era」を使っていたことが思い出される。
 
 このギター、写真ではわかりづらいかも知れないが、個性的な特徴があった。
 まず使用材の豪華さ。正真正銘のハカランダ単板で、ヤマハのようなニューハカランダとは違う、独特の木目。音もそれとわかる、枯れた味わい深いものだった。飾り気のないモデルと思いきや、ピックガードがべっ甲だったり、バインディングにヘリンボーンが使われていたりと、高級モデルの特長も十分。
 ネックとフレットの接合は14フレットからほんの少しずれていて、14.5フレットほどになっていて、慣れないとちょっと戸惑うところである。少しでもハイポジションの運指を楽にするためであろうか。しかしネックは、私が今まで持ったどのギターよりも抜群に太く、握っても左手親指が回りきらないほどだった。残念ながら、サウンドホール上部が割れていたり、ネックがまっぷたつに折れた跡があったりと、かなりの傷物ギター。そのためか、ハカランダのギターなのに売価はとても良心的だった。
 私はその素晴らしく野太い音に心から惚れ込み、何度か録音に使用し、カセット『歌棄の歌』の二曲に使われた。しかし、やはりいくら何でもネックが太すぎた。セーハを多用する私としては弾きづらいのはいかんともしがたく、故障ネックのためリシェイプも無理があるだろうと判断し、1995年札幌に引っ越した際に手放してしまった。今持っていれば、確かに投機的価値は上がっていたかも知れないが、音が良くても快活に弾けないギターでは仕方がない。過酷な実戦で使えないヨレヨレギターの面倒を見る経済的余裕は、私にはない。
 
 もしも機会があれば、今度はハカランダでなくても全然構わないので、ちゃんとした状態のモスマンを弾いてみたいところである。

 

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