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9.2006年11月2日(木) 東京・日暮里サニーホール コンサートサロンでのコンサート風景。

この日は関東圏での最終日。
日暮里サニーホールは、友人のギタリスト、前澤勝典くんもドン・ロスの公演で使っていた場所で、
生音の響きがよい理想的なホール。ピアノはやはりスタインウェイのグランドで、
デヴィッドさんに「録音で使いたい」と言わしめたほどの素晴らしい音でした。


(リハ中のデヴィッドさん。)

さて、開演前、私のラグタイム世界の先生でもある、クラシック・ギタリストの新間英雄さんがいらっしゃいました。


(左:浜田、デヴィッドさん、新間さん。)
 
 デヴィッドさんは、新間さんが持ってきた貴重なLP『Pinelands Memoir』を手にしています。

(右:ラゲディアンさん撮影。スゴウくん、新間さん、浜田、デヴィッドさん。)


新間さんは、日本人として初めてデヴィッドさんの音楽に注目して正しく評価し、本人とコンタクトした人物。
もう20年も前、新間さんは、主宰していた「ラグタイム音楽研究会」の会報で、ラグタイム愛好家に彼の概略を伝えました。
私も、その貴重な情報を読んだ愛好家の一人だったのです。
つまり、この来日ツアーの実現は、新間さんの啓蒙活動無くしてはあり得なかったのです。
さらに近年になって、日本ラグタイムクラブの仲間であるスゴウくんも新間さんに教えを請い、
世代を越えた音楽の伝承となってきたのです。

新間さんに「浜田くんのおかげで夢が実現した、ありがとう」と言われて、ジーンときてしまい、
私は泣くのを堪えるのに必死でした。
違う違う、そうじゃないんです。ありがとうはこっちの方なんです。
素晴らしい音楽を伝えてくれて、本当にありがとうございます!

さらに、多くのスタッフの皆さんのご協力により、またも大勢の皆さんにお越しいただき、
本州の最後の日程にふさわしい、素晴らしいコンサートになりました。


(開演前に記念撮影する、日本ラグタイムクラブの有志たち。まだ始まってもいないんですよ!)

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(写真:ラゲディアンさん撮影、グランパズ・ラグタイム・デュオ。)

オープニング・アクターは、日本のラグタイム音楽家で最も精力的な活動をしているグランパズ・ラグタイム・デュオ。
ロシア人ピアニストのアレェクスェイさん、奥さんでヴォーカリストの裕美さんが繰り広げるラグタイムの世界。
まさに夢の共演でした。
私もコントロール室で思う存分楽しみました。
デヴィッドさんも彼らの演奏に感動した様子。アレェクスェイさんの演奏する「Quality」には、
「あれは難しい曲なんだよ」と言いながら、食い入るように見つめ、もちろん拍手も惜しみませんでした。

そしていよいよデヴィッドさんの登場。
この日の演奏は、本人も後に述懐した通り、素晴らしいものでした。


(写真:ラゲディアンさん撮影、デヴィッド・トーマス・ロバーツ。)

通常のプログラムにはない新作「Adam's Rag」は感動的なエレジー。
事故で亡くなった子供(トレバー・ティチェナーのお孫さん)を悼んだ作品で、その深い精神性が
このようなラグタイムの形で表されていることに、改めて彼の才気を感じました。

昨日のプログラムにも入っていた意欲作「DeBorgia To Thompson Falls」(2000-2001)は、「コラール」と同じく、
もともとシンセサイザーのために書かれた曲でしたが、スタインウェイの可能性を存分に引き出した
圧倒的な音圧により、実に魅惑的な世界を構築していました。

終演後は、デヴィッドさん、グランパズ・ラグタイム・デュオ、そして何と本日は何もしていない私まで
花束をいただいてしまい、大変恐縮しました。
こうして、最良の形で東京公演が終了したのでした。


どちらもラゲディ・アンさん撮影。
(左:出演者で記念撮影。デヴィッドさんが「ボクは君たちの仲人みたいだね」と言ったとか。)
(右:デヴィッドさんと浜田。なぜリュックを背負う?)

さて、いよいよ翌日は北海道へ。
ラストが見えてきました!

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 またもエピソード。
 デヴィッドさんは画家でもあり、来日時に絵画作品のコピーも販売していました。
 もともと私が来日企画時に提案したアイデアでしたが、控えめに持ってきた20部(1部4000円)が、
 結局ほとんど売れてしまいました。
 これは本人にとっても大きな喜びだったようで、「次は個展を開けないだろうか?」と言ってました。
 メディアミックス的に活躍する芸術家ですから、その日も遠くないかも知れませんよ。
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