ライブ日記2008冬(初期アルバム再発記念)(2008年12月24日更新)

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 目 次

はじめに

12月4日(木)横浜・ぐりふぉれ屋 (with 南澤大介)
12月5日(金)国分寺・クラスタ(with 冨田健二、覆面シンガー)
12月6日(土)東京 新橋・レッドペッパー(with 伊藤賢一、一卓嗣)
12月7日(日)東京 四谷・pocotan(with 赤猫トム)
12月8〜9日 空き日程
12月10日(水)名古屋・ウエスト・ダーツ・クラブ(with 川合ケン)
12月11日(木)大阪・Bar THIRD STONE(with Yousei)
12月12日(金)岡山 笠岡・カフェド 萌(with masakiμ) NEW!!
12月13日(土)広島・OTIS!(with SHiMA、ウパシクマ) NEW!!
12月14日(日)安芸(空き)日程 NEW!!
12月15日(月)小樽に帰還 NEW!!

 

 

◎ はじめに

 2008年12月、私は恒例の本州ツアーを行いました。
 小松崎健さんとのジョイント・ツアーを勘定に入れると三回目の本州ツアー(ソロでは5月に続いて二度目)となりました。

 今回は、カセットで発表した最初期のアルバム『最後のペンギン』(1986)と『ラグタイム・シサ』(1988)の再発CD発表記念ということで、初期のスタンダード時代の曲を中心に幅広い選曲でのステージとなりました。また、ツアー直前にたまたま購入したバンジター(バンジョー・ギター)をおおいに気に入ってしまい、図らずもギターとバンジョーの二つの音色を楽しめることになりました。
 寒さに負けず、人からもらった暖かさで生かされたこのツアー、また概要をここに記します。

 

★ 12月4日(木) 横浜・ぐりふぉれ屋 (with 南澤大介)

 当然ながら、格安航空チケットは事前購入済み。JALのマイルを少しでも溜めるため、JALのページから予約した1泊3000円の安ホテルをさらにカードで支払い、生活の知恵が全開状態(笑)です。行きが新千歳空港→羽田空港から横浜というのは、スムーズに移動できるので割といい感じ。

 さてここで恒例の忘れ物。機内に持ち込んだソフトケース入りのバンジターが上の荷物棚に入らず、アテンダントさんに別の棚に入れていただいたものの、自分で取りに行くという約束をすっかり忘れてしまい、そのまま機外へ出てしまったのでした。荷物の受付に頼んで、ギターを無事に受け取ることが出来ましたが、ツアーが始まっていきなりこれです。だいたい、荷物に入れるはずだった着替えのシャツも入れていなかったことが後で判明したので、ツアーが始まる前からすでに忘れ物をしていたということになります。

 それにしても、暑かった...この日は確か16度くらいまで気温が上がったようで、北海道からシャツ+セーター+ジャンバー+ももひきという完全防備で行った私は、まさに汗ダルマ状態でした。


[写真:南澤大介くんとお店の素晴らしい絵。]
 南澤大介くんと久しぶりの再会。2006年1月にSketchさんと三人で行ったオムニバス・ライブ以来の競演でした。

 私は『最後のペンギン』で、彼の「夢を追って」を収録しているので、許諾のお礼にお菓子をプレゼント。南澤くんは「そんなの気にしなくていいのに」と言ってくれますが、やはり気は心、そしてその心は何らかの形にしたいものです。

 ぐりふぉれ屋のきょうこさんにもいつもお世話になってます。店内に飾られた絵画があまりにステキだったので、つい写真をパチリ。


[写真:リハ中の南澤くんと、モーリスのシグネチャーモデル。]
 南澤くんの編曲や演奏の巧みさは、「ソロギターのしらべ」シリーズを一冊でも持っている人なら十分お分かりでしょう。

 クリニックでのミニライブをご覧になっている方も多いと思いますが、ギター演奏以外の仕事で多忙を極めている人なので、普通のライブとなるとなかなか機会がありません。最新CD『Covers Vol.1』からの曲も含め、ファンにはたまらない生演奏だったと思います。

 リハで歌っていた歌、本番でも歌ってほしかった!


[写真:なかったので、あぎひとさんのページから拝借しました。]
 そして私。いきなりバンジターから入ると、思った以上に弾いていて気持ちいい自分がいました。

 ゴールドトーン製のバンジター、そして往年の名器・ジャンボJ−35の2本を駆使して、「デジタル・ディレイ・ラグ」「中古品の夢」「ジンギスカン・ラグ」など初期の曲を中心に演奏しました。
 最後は私の「忘れません」に南澤くんが合わせてくれて、美しいエンディングになりました。

 終演後は、きょうこさん特製のシチューをごちそうになり、心もおなかも満ち足りたライブになりました。

 帰りは意外と遅くなりましたが、24時間シャワーが使える安ホテルの居心地は最高。
 前回は部屋の位置が高速道路寄りで、寝るには耳栓が必要だったのですが、今回は静かな部屋でぐっすり眠れました。
 ただ、不景気の折、翌日の朝食サービスは無くなっていました。まあ、しかたないか!

 

★ 12月5日(金) 国分寺・クラスタ(with 冨田健二、覆面シンガー)

 春のツアーでは横浜と東京のライブが交互にあったため、移動や宿泊に難がありましたが、今回はここから3日間、東京の例の安宿に連泊でした。ただ、チェックインが4時からなので、移動を含めてもかなり時間が余ります。メールチェックは横浜でやっていたので、ネットカフェに入るのも気が引けました。


[写真:バンジターを練習する浜田。]
 そこで、新たに考えをめぐらし、南千住駅からちょっと歩いたところにあるカラオケボックスに入りました。平日のお昼の料金は、3時間で300円というものすごい安さ(ただし、最低でも1杯100円以上のワンドリンクオーダーが必要)。

 ネットカフェでは狭いシートで身動きすらままなりませんが、ここでは隅に並ぶ3つのソファのどれに寝そべってもいいし、ギターも歌もどんな音量を出してもいいし、まさに最高の練習場所です。

 これからツアーで時間をつぶすための新しい選択肢として、心に留めたいと思います。


[写真:リハで私のジャンボを弾く冨田さん。]
 あいにくの雨の中、いつもの安ホテルにチェックインし、折り返し国分寺のクラスタへ。

 そして、今日の共演者にして我が古い音楽仲間の一人、冨田健二さんと再会しました。冨田さんは札幌出身、スチール弦ギターでバッハやクラシック、さらにバーデン・パウエルの曲を弾く日本人ギタリストの草分けともいえる人で、私とは前澤くんの後で知り合った仲でした。

 私のプロデュースしたオムニバスCD『アコースティック・ギター/ソロ』(1997)にオリジナル曲「セレナード」で参加、高い評価を受けています。荻窪の「グッドマン」での定期ギターソロライブを続けていた時期もありましたが、今回は久しぶりの登場でした。

 この写真ではジャンボを弾いていますが、本番ではカナダのサイモン&パトリックを弾いていました(横のギター)。冨田さんの鋭いギターソロの世界、私も楽しませていただきました。


[写真:浜田。ちゃんとジャンボも弾きましたが、やっぱりこっちを。]
 バンジターは、ネック以外はバンジョーとほとんど変わらないもので、実はギターよりも重たい楽器です。最初は肩にストラップをつけて弾こうとしましたが、予想以上に締め付けがきついので、エンドピンにストラップの両端を付けて輪を作り、それを左足に通して滑り止めにして弾くという姿勢を考え付きました(写真参照)。

 左足の血流が悪くなりますが、肩よりなんぼかマシで、これのおかげで、ツアーではリラックスして弾くことができました。
 特許取りたい! (ムリ?)


[写真:向かって左から前澤くん、冨田さん、そして浜田。]
 当日は亀工房の親友、前澤勝典くんもはるばる長野から駆けつけてくれて、思わず昔のギター仲間が集結した形になりました。

 前澤くん、冨田さん、そして打田十紀夫さんの三人が、1987年ごろ、今は無き大森・チャレンジャーで行ったオムニバスライブ(伝説の「三人の変態」ライブの元祖でした)で、私は東京のギター音楽の盛況振りを体験していました。この日はそんなことも思い出されて、懐かしくも感激の一日でした。

 帰りは、大変ありがたいことに、今年春のツアーと同じくFさんのお車で送っていただきました。
 CDまで買っていただいて、本当に感謝いたします!

 

★ 12月6日(土) 東京 新橋・レッドペッパー(with 伊藤賢一、一卓嗣)

 この日は、新しく移転した新橋のレッドペッパーにて、初めてのライブとなりました。
 このお店では、以前から「三人の変態」ライブシリーズを企画していましたが、ついに復活。
 ただし、変態と呼ぶにはきれい過ぎるメンツ(?)なので、今回は「三人の○×」として開催しました。

 新生レッドペッパーは、前の店より新橋駅に近くなり、利便性が倍増しました。多少小さくなりましたが、ギターソロのライブではむしろベストともいえる適度な広さだと思います。店の入り口付近には、鉄道ファンの憩いの場として本格的な鉄道模型のジオラマがセットされていて、雰囲気も以前のジャズの聖地的なイメージから一味違っています。これからもお世話になりたいお店です。


[写真:新しい大屋ギターを演奏する伊藤賢一くん。端正です。]
 「出演順は年功序列」としてご配慮をいただき、トップバッターとなった伊藤賢一くん、いつも素晴らしいパフォーマンスをキープしている人です。

 今回初めて聴いたバッハのプレリュード(無伴奏チェロ組曲第一番より)、とてもよかったです。多くのオリジナル曲の一方で、伝統的なクラシック音楽にも光を当てていくステージは、彼の持ち味の一つでもあると思います。

 新しい大屋ギターの音はしなやかでピアノライク、やはり見事なものでした。


[写真:愛器ラルビーを演奏する一卓嗣くん。裸足です。]
 二番手は、やはり古くからの音楽仲間の一人、一卓嗣くんです(読みを間違えた人がいたそうですが、「イチ」くんではなく、「ハジメ」くんです〜)。

 久しぶりにラルビーでの演奏を拝見。マイク録りだったため音量が控えめでしたが、彼の繊細で印象的なアルペジオの魅力が十分に楽しめました。

 特に、熊本から松戸に引っ越してから作ったといういくつかの新曲は、新しい環境でのみずみずしい希望を感じる佳曲でした。


[写真:浜田。ギターはジャンボJ-35。]
 私といえば、やはり今回はどうしてもバンジターをついつい弾いてしまうのですが、古い時代の曲はスタンダード・チューニングでないと弾けません。今回は、スタンダード・チューニングがジャンボ、オタルナイ・チューニングはバンジターという分担で、使い分けていました。

 3人オムニバス・ライブは、必然的に時間数に制約があるのですが、それをいい方に捉えて弾いていると、楽しい時間があっという間に過ぎてしまいました。


[写真:向かって左から伊藤くん、浜田、そして一くん。]
 最後のアンコールではクリスマス・ソングで共演し、時流に合ったフィナーレになりました。

 また次回、何らかの形で「三人のヘンタイ」ライブの機会があると思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 

★ 12月7日(日) 東京 四谷・pocotan(with 赤猫トム)

 空き時間は、ホテルで休むことが多かった今回のツアーですが(TABの打田さんがちょうど同じ時期にウッディー・マンとのツアーで移動中だったので、ご挨拶に伺うこともできませんでした)、この日は長年お世話になっているカワセ楽器に行って四方山話。一くんから「いいよ〜」と言われていた新しいマスターも試奏させていただき、その響きの良さに驚いたり、充実した時を過ごしました。


[写真:アストリアスを弾く赤猫トムさん。この箱は...]
 初共演となる赤猫トムさんは、ウクレレやギターを駆使してオリジナルを中心にパワフルな演奏をする実力派。

 この日は、まるで小さいギターのような6弦ウクレレや、ギターの表面板に物理的に取り付ける「スプリング・リバーブ」(本物のバネが入っている共鳴箱!)を使い、オリジナルからカバー曲まで、幅広いレパートリーを聞かせてくれました。

 特に最後の「ソーラン節」のカバーは、朴訥としたMCからは想像も出来ないくらいの、魂のこもった熱演でした。

 それにしても、リバーブ、私も欲しい(笑)。


[写真:浜田。光っているギターはお店のアヴァロン。]
 私は、リハのときにお店のギターである「アヴァロン」(旧ローデンの工場で作っているという、ローデンタイプのギター)を弾かせていただき、その素晴らしい音にビックリ。お店のご厚意により、本番でも何曲か弾かせていただきました。
 このギターに限って言えば、本物のローデンよりいい音じゃないかなあ、と思いました。

 おととい共演した冨田さんも見に来てくれて、自然と演奏に熱が入ります(冨田さんとは、リハ後に偶然に外でお会いして、トムさんと三人で晩御飯も食べたのでした)。
 東京での今年最後のライブを、私も熱演で締めくくったのでした。


[写真:やっぱりバンジターで合わせる浜田と、トムさんの絶唱。]
 最後のアンコールは、キャンディーズ&クリスマスソング。こういう思わぬセッションも、ライブ・ツアーの大きな魅力の一つです。

 終演後、お客としてきてくれていたトムさんのお知り合いのNemさんがギターを弾いてくれました。あのドン・ロスを髣髴とさせるようなダイナミックなプレイに、またビックリ。この日はいろいろサプライズが多かったです。Nemさんとは完成する予定というCDを交換する約束もしました。

 改めまして、休業日にライブをさせていただいたお店の方々、お越しいただいた皆さんに感謝したいと思います。

 

★ 12月8〜9日 空き日程

 関東4連続ライブの後は、2日の空き日程。
 この間、私は長野県高遠市の前澤勝典くんの家にご厄介になり、彼のギター録音を手伝ったりしていました。

 前澤くんは、もちろん亀工房での3枚のアルバム発表があるわけですが、私はずっと前から彼のギター・ソロ・アルバムを期待しています。私は過去、いいと思った人にはだれかれ構わず「ソロ・アルバムを作って」と言ってきています。南澤くんにも一くんにも斉藤光始さんにも益田洋さんにも、とにかく会うたびに何らかの形で言い続けたと思います。そのように言い続けて20年近く、未だに作っていないギター仲間は、冨田さん、前澤くん、そして星(直樹)くんくらいかも知れません。

 ドン・ロスとの共演でその実力をアピールしてきた前澤くんの、完全ギターソロでのアルバム!
 完成する日を、私は本当に首を長くして待っています。


[写真:内田ギター「ヌーヴォー」を弾く前澤くん。]
 前澤くんの家には、録音用に借りているという内田ギターの素晴らしいモデルが二種類ありました。一つはハカランダ・サイドバックの倍音豊かなモデル、もう一つが写真に写っている個性的なシェイプのモデル「ヌーヴォー」でした。

 その奇妙なルックスから想像も出来ないくらい、オールマイティーに響く至福の音が出ていました。鳴りも響きも音の分離も良いという、ギター的には一見矛盾する要素を見事に両立している素晴らしい一品でした。さすが日本トップレベルのルシアーの作品、このままエフェクトなしでも十分録音で使える音だと思います。

 この空き日程、ただの「ライブの無い日」ではなく、私にとっても有意義な時間を過ごさせていただきました。
 改めて、前澤くん一家に感謝いたします。

 

★ 12月10日(水) 名古屋・ウエスト・ダーツ・クラブ(with 川合ケン)

 今回のツアーに限らず、費用の削減はいつも課題の一つです。前日までの空き日程に前澤くんの家に泊めてもらったのも、普通であればホテル代を考えなければいけないところです。私はプロとして、ツアーで最低限掛かる費用は掛けなければいけないという考え方で、どこに行っても友達の家を泊まり歩けば宿泊費はゼロ円で済むじゃん、という人とは意見を異にするものです。ただしもちろん、その費用が安くなるに越したことはありません。

 名古屋の宿は直前まで取っていなかったので、ダメモトで以前泊まった最低ランクの簡易宿泊所に電話すると、なんと空いていたので速攻でチェックインしました。どの程度最低かというと、そのお金では市販の正規価格のCDが買えないかも?というくらい(あっ、リンク先にはっきり値段が書いてあった!)。ここに泊まるのは最後の手段と思っていましたが、ちょっと財政が苦しくて、いきなり使ってしまいました(笑)。


[写真:左ひざを立ててサンタ化。黒の衣装はこのためでしたか!]
 時間がなかったので、ホテルに荷物を置いて、休む間もなくすぐにウエストダーツクラブへ。ここでのライブは、2005年のノダゴローさんとのライブ以来3年ぶり。川合ケンさんとのライブも2年半ぶりで、思ったよりも久しぶりのライブでした。

 その川合さん、お仕事を済ませてから来たためリハの時間がなかなかとれなかったのですが、いざウクレレを持つと相変わらずのエンターテナー振り。ラグタイムから宮崎アニメまで、誰もが楽しめる曲の数々。

 写真の通り、クリスマス芸まで披露したりと、素晴らしいステージでした。


[写真:「女の魅力」を歌う浜田。]
 懐かしさと心地よさを感じつつ、私も3日ぶりのライブで弾きまくり。

 普段とは違うスタンダード・チューニングの曲や歌ものを加え、まともに全レパートリーをやったら5時間を越えてしまう恐れがあるのですが、さすがにそんなにやると終電がなくなります。
 でも、いつかノンストップで5時間ライブとか、やってみたいものです。...誰が最後まで聞けるんだか(笑)。


[写真:浜田と川合ケンさん。漫才コンビみたい?]
 やはり時間が押し押しで、終演後はあまり皆さんとお話できなかったのが残念ですが、来年2月にライブでお世話になるマーミンカさんと帰路をご一緒しました。
 どうもありがとうございました!

 さて、例の安ホテルには風呂も無いし、この時間では銭湯も閉まっているので、帰って寝るだけでした。
 安いのは確かに魅力ですが、壁が薄いので隣の音が筒抜けだったり、やたら口うるさい古株の人(たぶん定住している人)もいて、正直言ってあまり心地よくありません。
 このホテルを利用するのは、やはり可能な限り最後の手段にしておきたいところです。

 といっても、次に安いホテルが4千円台ですから...(門限が11時とかなら選択肢がまだありますが、それでは帰れません)。貧乏ミュージシャンの悲哀は、かくして未だ続くのでした。

 

★ 12月11日(木) 大阪・Bar THIRD STONE(with Yousei)

 名古屋から大阪までの移動は、やはり近鉄の特急。割安チケットを使えば、各駅停車の値段+数百円くらいでスムーズに移動できます。それでも3時間近くかかる旅路で多少疲れるところ、大阪では心強い旅の味方がいます。いつも泊まる天王寺動物園前の安ホテルです。ここはチェックインの時間が割と自由だし、1Fでネット端末も使えるし、コインランドリーもシャワーも24時間使えるし(この日一日で全部使わせていただきました!)、さらに一泊2300円と破格の安さ。
 特に、シャワーが24時間使えるというのは、チェックインとアウトの狭間で彷徨う人にとっては、とてもありがたいのです。

 さて、益田洋さんから教えていただいた大阪・梅田のライブハウス、サードストーンには初めてお世話になりました。繁華街のはずれにある隠れ家的なお店。同じビルの何階かにメイドカフェがあったりしてあせりましたが(笑)、中に入るとめっちゃ渋い、雰囲気抜群の素晴らしいバー。マスターの藤井さんのお人柄にも癒され、初めて来た気がしないような親近感を覚えました。これからもぜひお世話になりたいお店です。


[写真:マーチンD-28を弾くYouseiくん。]
 Youseiくんとは、前回5月のツアーでもいっしょに演奏しました。アメリカン・プリミティブ・ギターの感覚にここまで本格的に取り組んでいる人は珍しく、もっと多くの人に知っていただきたいギタリストです。

 この日は新作の第二弾CD『Three Daydream』からの曲を中心に演奏。
 会うたびに完成度が高まっていく彼のギター音楽に、これからも注目していきたいと思います。


[写真:バンジターを弾く浜田。]
 益田洋さんにも見に来ていただき、恐縮しながら私もバリバリ演奏。この日のバンジターはいい音してました、って、いつもそんなに変わらない音ですが...。

 初めてのお店で、お客さんに喜んで聞いていただくのは、また格別のうれしさです。唯一の心残りは、メモリーカードに余裕が無くて、H4(ポータブル・レコーダー)での録音がMP3にならざるを得なかったこと。今までは、ずっとCDクオリティーで録音していたのです。

 来年、できればライブアルバム第3弾を制作したいところです。


[写真:こんな感じの照明。いい雰囲気でしょ?]
 この日のラストは、Youseiくんとの即興セッション。最初はクリスマス・ソングで合わせようとしましたが、やはりこの二人の組み合わせでは、即興が一番。リハより数倍息の合った、いいセッションになったと思います。

 実はこの日は私の誕生日で、Youseiくんからプレゼントをもらったり、来年コーエーさんと一緒にゲストで出てくれる永田義明さんとYouseiくんの三人で打ち上げをしたりと、いろいろお世話になりました。
 この場を借りまして、お礼申し上げます。

 

★ 12月12日(金) 岡山 笠岡・カフェド 萌(with masakiμ) NEW!!

 大阪から岡山までの移動には、やはり都市間高速バス。

 久しぶりに大阪→岡山→倉敷というバスに乗って、倉敷からJR在来線で笠岡まで、という経路を辿ったのですが、まずこの「バス戦略」に失敗しました。どういうことかというと、岡山までは高速道路で快速に行けるのですが、岡山→倉敷間は一般道路で、しかもかなり込む時間帯だったので、予定よりかなり時間が掛かってしまいました。バスは岡山駅で降りて、そこからJR在来線を使った方が良かったのです。さらに言うと、昨日からの課題だったH4(ポータブルレコーダー)の一杯になったデータ吸い上げのためには、ネットカフェに入らないといけないところでしたから、本来は岡山でその用事を済ませれば一石二鳥だったのですが...。
 案の定、倉敷にも笠岡にも、駅前にネットカフェらしきものはどこにもなく、またメモリーカードを売っているようなお店もなかったため、結局この日のライブを録音することは出来なくなってしまいました。

 さて、この笠岡で泊まった旅館がまた、今までとは一味違う、興味深いところでした。
 インターネットで検索してプリントしていた場所に行く道すがら、線路を横切って、古くて立派な病院の路地を曲がったところ、猫を連れたおばさんが見えました。横目にして通り過ぎながら、当該地になんとか行ってみると、ここかな、と思われる古風な建物に、どうも人の気配がありません。旅館の名前は確かに小さく看板に書いているのですが、受付も無く、奥に続く廊下があるのです。行って見ると、民宿のような旅館の中庭に出ました。何度か呼んだのですが、返事が無いので、「あれ〜ここじゃないのかな〜」と思い、私も疲れていたので冷静な判断力が無く、なんと一旦外に出てしまいました。

 そして来た道を戻ってもう一回考えてみようとすると、先ほど通り過ぎたおばさんがいました。
 「あの、このへんに◎×旅館というところはありませんか?」と勇気を出して訊いてみると、
 「ああ、それならそこだよ」と、やはり私が入って出てきた建物を指しました。
 「いえ、でも誰もいないみたいなんですが...」
 「じゃあ、わしが言ってやる」といって、いっしょに入ってくれました。
 そして中庭に行き、「おおい、◎×さん、お客さんだよ!」 とふすまの部屋に向かって呼びかけると、やっと旅館のご夫婦が出てくれました。
 どうやらテレビを見ていたらしく、気が付かなかったらしいです。

 ああよかった! やっぱりここだったんだ!
 後でお聞きすると、電話すれば駅まで迎えに来てくれたとの事で、返す返すも失敗続きでした。


[写真:広い窓、古いけど暖かい雰囲気の和室。旅の醍醐味です。]
 この旅館、建物はとても古く、部屋は完全和室のふすまだけで鍵も掛からず、万人向きの環境とは言いがたい部分もありますが、しかしまるで昭和映画のセットの中にいるような、不思議な空間でした。

 中庭に学校みたいな洗面所があり、トイレもお風呂も一言では語れない独特の趣があります。二階に上る木製の階段はものすごい急。窓の外から望む瀬戸内海がまた良い雰囲気。近くの線路を通りかかる電車の音以外、物音一つ無し。

 年配のご主人が話し好きらしく、晩や翌日の朝にもいろいろ四方山話をしてくれたりして、ちっとも退屈しませんでした。

 このツアーで泊まった宿の中で、一番思い出に残っています。


[写真:オベーションを持つmasakiμさん。]
 そして一年ぶりに訪れたカフェド萌。せっちゃんさんの豪快な笑顔に癒されつつ、masakiμさんと共演。一年前、私がここでソロライブをしたときにお客として見に来てくれて、「じゃあ次は共演しましょう!」という約束がここで果たされたのでした。

 今回のmasakiさんは、割とブルース中心の選曲。masakiさんの演奏するブルースは、理知的かつ深いふところを持つ独特の節回しで、素晴らしいと思います。

 毎回、ステージ衣装が全く私と同じ周波数を持っている(つまり全くステージ衣装では無い!)というのがまた、masakiさんならではの味です。


[写真:浜田とmasakiμさん。普段着ギタリストのセッションだ!]
 私の写真はうかつにも無かったので、マイミクのあがるたさんの写真を転用します。

 一年前の萌さんで「シャコの歌」を無理やり演奏した記憶も新しいのですが、今回の演奏はあの時とはほとんど違うレパートリーで、おまけにバンジターも加え、我ながらまた独特の良い感じになったのではないかと思います。

 最後のセッションは、「ノダゴローの優しさ」と銘打って、破天荒だけどどこか憎めないあの人のことを思い出しながら、叙情的に締めくくったのでした。
 こういうのをちゃんと録音しておきたかったなあ。


[写真:「萌」近くの公園に普通にたたずむ、遍照寺多宝塔。美しい...]
 翌朝、思い出深い旅館(意外にも朝、エスプレッソをいただき、とてもおいしかったです)に別れを告げ、近くの公園にあった重要文化財・遍照寺多宝塔を横目に見ながら、再びカフェド萌におじゃまして、モーニングセットをいただきました。

 せっちゃんさんには本当に感謝します。また来年、ぜひお会いしたいです。

 

★ 12月13日(土) 広島・OTIS!(with SHiMA、ウパシクマ) NEW!!

 笠岡から広島までの移動は、JR在来線を使いました。本当はまだ営業時間ではない格安チケット屋さんがたまたま開いていたので、無理やり格安チケットをゲットできたのもラッキーでした。広島に着きましたが、ホテルのチェックインまではかなり時間があり、懸案だったポータブルレコーダーのデータ吸い上げのために、ネットカフェに入る余裕がやっとできました。返す返すも、この作業は二日前にやっておくんでした...。


[写真:ヘッドウェイのOMタイプを弾くSHiMAさん。]
 SHiMAさんは、今年の夏ごろ北海道にいらっしゃり、私は札幌のラムジーズで偶然お会いして、ファニーでライブ鑑賞したりしました。今回は逆に私が広島に行ってお世話になりました。

 演奏したギターは、いつものレイクウッドではなく、ヘッドウェイのOMタイプ。これがまた良い音していました。いつも楽しみにしている、キッキング・ミュール時代のラグタイム編曲のメドレーまでやっていただき、一人のギターファンとして堪能しました。


[写真:様々な楽器を駆使するウパシクマの二人。]
 広島でライブをするときにいつもお世話になっている、冴えキングさんといもりんさんの二人組、ウパシクマの演奏も素晴らしかったです。

 今回は、樺太アイヌの弦楽器トンコリの比率が高く、いもりんさんの歌も絶妙で、とても楽しませていただきました。摩訶不思議な民俗音楽的編曲の中に、誰もが楽しめる普遍性がいつも以上に感じられるステージでした。

 リハや終演後には、ウードの演奏もあり、これがまた良い音なのです。ギターとは全く違うフレットレスの微妙な音世界が、かなり刺激になりました。


[写真:ツアー最終日を飾る浜田の演奏。]
 ご家族連れもいらっしゃるアットホームな雰囲気の中、当初の予定から多少アップテンポの曲にシフトしつつ、私もツアー最終日を飾るギター演奏をしました。

 今回のツアーではバンジターが思わぬ大活躍をしましたが、やはり私はギタリストなので、普通のギターであるジャンボを弾いたときのほっとした気分も感じていました。
 まあ、これからもバンジターは要所で効果的に使っていきたいと思います。

 さあ、次の日は、いよいよ待ちに待った宮島観光の日です!

 

★ 12月14日(日) 安芸(空き)日程 NEW!!




[写真:広島の路面電車、大鳥居、大しゃもじ、記念写真。]
 泊まっている広島のホテルから、路面電車で宮島口までのんびり走り、ついにフェリー乗り場へ。JRともう一つの会社のフェリーの2つがありましたが、とりあえずJRの方に乗り込み、かきの養殖場などを見ながら、あの洋上の大鳥居を海から鑑賞。

 宮島に着くと、鹿がいるは、外人さんがいるは、お土産やさんの街があるは、団体さんがいるは、もうとにかく想像以上に観光地の世界。ここで投げ銭なんて出来るかなあ、なんて思いながら、いろいろ通り過ぎます。

 途中、世界一大きなしゃもじがあったり、うろうろとあちこち歩き回ったり、記念写真したり。荷物を持っていないので、とても楽ちんでした。




[写真:本殿の荘厳な美しさ。感激です。]
 私は別に歴史マニアでもなんでもない(というかむしろ不勉強な方)なのですが、一生に一度は拝観したいと思っていた厳島神社本殿の幾何学的な美しさに、夢中で写真を撮りまくりつつ、心から感動しました。

 水没してもいいように廊下の張り板にスキマがあると聞いていましたが、実際に目で見て確認すると、なるほど確かに、とうなってしまいました。

 ちょうどこの日はすす払いの日だったらしく、宮司さんたちのちょっとした作業も目の当たりにすることができ、ラッキーでした。よく見ると、洗面所や火災報知器などもあったりして、意外な生活感も感じました。

 ああ、高舞台、いやせめて能舞台でギターが弾きたい...もちろん、足踏みなんてしませんから。




[写真:多宝塔、後白河法皇御行幸松、五重塔、豊国神社。]
 他にも、ごらんのような様々な歴史的神社・仏閣があり、時間はあっても全て回るのは大変。

 自然豊かな島でもあり、公式ホームページによると、観光には6時間コースというのもあるくらいです。

 でも、厳島神社の美しい姿をこの目で見てきただけで、私は大いに満足できたのです。数年前の名古屋万博のとき、ユカギル・マンモスの足や牙を見て満足したように、自分の目で見て得たものは、これからも自分の中でずっと残っていくことだと思います。


[写真:可愛くても、あんまりえさをあげないように。]
 最後に、かわいい鹿のツーショット。

 これで、このツアーの大きな目的(単なる空き日程の暇つぶしのはずが、いつのまにか昇格していました)が、無事達成されたのでした。

★ 12月15日(月) 小樽へ帰還 NEW!!


[写真:広島空港から見た、美しい雲海。]
 翌日は、広島バスターミナルから広島空港行きのバスに乗りました。広島は空港が中央部からかなり離れているため、1時間は見ておかないと大変です。多少早めに行って正解でした。

 妙に寒い日で、北海道への帰路にふさわしい雰囲気。空港のロビーで見た美しい雲海を見て、ヘッジスの「エアリアル・バンダリーズ」のジャケット写真を連想しました。

 さらば、広島!

 決して楽なツアーというわけでもありませんでしたが、終わってみると、やはり自分が幸せ者だということを改めて感じます。
 ツアーでお世話になった皆さん、そしてお忙しい中お越しくださいましたお客様に、心から感謝したいと思います。

 次のツアーは2月14〜22日、ハンマーダルシマー奏者の小松崎健さんとのジョイント・ツアー第二弾です。
 どうぞよろしく!

(完)

 

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