15.クレオバンブー Creo Bamboo

ST−LH カスタム(2006年製)(現在無し)


表面板:竹
側板・背面板:竹
指板:ローズウッド
ネック:メイプル

使用アルバム:「
太陽の音楽
 
 2005年11月、今は亡きノダゴローさんと北海道−本州ジョイント・ツアーを敢行したとき、当時ノダゴローさんが住んでいた名古屋でクレオバンブーの中村正夫さんにお会いして、思いがけずギターを作ってもらう話になりました。クレオバンブー・ギターとの出会いなど、詳しくは『ライブ日記2005年秋』参照のこと。また、初めてのツアーでの使用経緯は『ライブ日記2007年春』参照のこと。
 
 何といってもボディーの全てが竹でできているというのが、このギターの大きな特徴です。以前、ヤマハが一時期作っていた竹ギターを試奏した事がありましたが、あまりに鳴らないショボイ音に、さすがのヤマハフリークである私もうなだれてしまいました。しかし、このギターはそれとは全く比べ物にならないくらいよく鳴り、まさに「竹を割った」ような快感があります。
 私の個人的な印象では、戦前ブルースマンが使っていた渋いギブソンのサスティンを大きく伸ばしたようなイメージがあります。そう、このギターはサスティンが非常に長く、ナチュラルリバーブが掛かっているかのように長い音が出ます。そして低音もラウドに響き、骨太の印象があります。この豊かな音を聴けば、「竹ギター」に対する偏見の目は一変するに違いありません。
 
 材質だけでなく、アーチトップを基礎とした構造も一見してユニークです。まずサウンドホールが中央ではなく左肩に設定されています。これは、弾いているギタリストにギターの一番良い音がフィードバックされるようにと設定されたらしいです。
 胴厚は薄く、代わりに表面板は広く取ってあります。さらにメイプル製のネックは、ヘッドの裏側がコブのように盛り上がっていて、豊かな響きとサスティンの秘密はこういう独特の構造にも求められそうです。
 
 このギターはテイルピースが固定式、ブリッジが可変式なのですが、テイルピースの体裁は他のクレオバンブー製のギターと少し違うようですが、欲を言えば弦をピンで留めて欲しいところでした(テイルピースの反対側から弦を通すのですが、間近に迫ったブリッジが邪魔になってかなり通しにくい形状なのです)。
 
 なお、もともとはポジションマークがありませんでしたが、私は指板をそんなに見ないくせになぜかマークがないと嫌な人間なので、無理やりポジションマークを貼り付けてしまいました。貼ったシールは、ビデオテープの「120(分)」「160(分)」などのラベルシールで、モーリスのRA-801Pにも同じことをしています。
 
 ともあれ、ノダゴローさんとのご縁からこのギターを作っていただいたことは、今となってはとても感慨深く、私はこのギターを一生大事にしようと心に決めたのでした。
 
追記(2022-5-26) NEW!!ノダゴローさんゆかりの思い出深いギターでしたが、2016年に現在の愛器マーチンD-18を入手する資金工面の一環として、残念ながら手放しました。せめて、以下の残ったSB-LHカスタムをこのギターの分も大事にしていきたいと思います。

 

SB−LH カスタム(2006年製)

表面板:竹
側板・背面板:竹
指板:ローズウッド
ネック:メイプル

使用アルバム:なし

 (写真はいずれアップ予定)
 実はもう一本作っていただきました。こちらはギターの底部から伸びたテイルピースと固定式ブリッジが特徴的で、他のクレオバンブー製ギターと共通する仕様です。本当はこちらが最初に私のために作っていただいたギターだったのですが、輸送の際に事故が起こって一部が壊れてしまったため、直していただいたのでした。
 上記のモデルと比較すると、少し音がおとなしい印象ですが、固定式ブリッジの高さが簡単に調節できるようになっていたり、テイルピースに弦を通すのが容易だったりと、プレイヤビリティーはこちらの方が勝っている印象です。

 

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